米商務省、メキシコ、韓国他4ヵ国に「デジタル商務官」を派遣へ

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米国商務省は、同省のデジタルアタッシェ[商務官]プログラムに6つの国際市場を新たに加える。ペニー・プリツカー商務長官がサンフランシスコでTechCrunchに語った。

今年3月に始まったアタッシェ・プログラムは、米国企業がEコマースによるデジタル製品やサービスの輸出、その他のオンライン事業の進出を探っている国々に、担当商務官を派遣するものだ。

今回プログラムを拡大し、韓国、インドネシア、メキシコ、南アフリカ、ドイツ、およびフランスの6ヵ国に商務官を派遣する。これまではASEAN、ブラジル、中国、日本、インド、およびヨーロッパ連合がデジタル商務官プログラムの対象になっていた。

商務省のデータによると、オンラインで提供されたサービスは、米国のサービス輸出の半分以上を占め、米国の全商品およびサービスの1/6に当たる。

この数字は今後も伸びる可能性が高く、その理由は3つの大きなトレンドによる。

1つ目は、モバイルおよびブロードバンドの利用人口が世界で増加していること。2つ目は、従来のアナログサービスからデジタルへの転換が今も進んでいること。3つ目は、完全デジタル産業セグメント、即ちゲーム、メディア、エンターテイメント界で使われているバーチャルリアリティーや拡張現実の躍進だ。

プリツカー氏はデジタル商務官プログラムに追加した6か国について、既に米国企業が輸出やEコマースで大きな取り引きをしているためだと、選択の理由を説明した。

「担当商務官の主な仕事は、米国企業が当地のデジタル環境に馴じむのを手取けすること」とプリツカー氏は言った。

長官の任期はトランプ政権が始まる1月に終了する。新たに就任するウィルバー・ロス長官が、デジタル製品・サービスの国際流通に対してどのようなアプローチを取るのかは不明だが、新長官は海外投資と通信に長い経験を持っている。

在任中プリツカー氏は、4万6000人の商務省員を率いた。40ヵ国を巡り、政府高官と共に米国の起業家を引き連れていくことも多く、厳格なデータローカライゼーション等、デジタル製品やサービスの容易な取り引きの障壁となる政策を変更するよう海外のリーダーに迫った。

プリツカー氏は経済協力開発機構(OECD)と共にセーフ・ハーバー・ルールの交渉にも尽力し、米国と欧州の企業間によるオンラインでのデータのやりとりを可能にした。この協定によって2900億ドル相当の貿易が生まれたと同省は推測している。

海外には、米国企業がコンテンツや製品やサービスを送り込みたい市場が数多く残っているが課題も多い。恐らく最もよく知られているのが、中国の万里のファイアーウォールと検閲システムだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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