プリンターのように印刷ーーAPI型印刷クラウド「コーデンベルク」がリリース

codenberg

パソコンのボタン1つで、オフィスや自宅にあるプリンターから資料が印刷できる。それと同じくらい簡単に、本格的なデジタル印刷機で自社のチラシや販促物の印刷ができたら楽だろう。本日正式リリースしたAPI型印刷クラウドサービス「Codenberg(コーデンベルク)」が目指すのはまさにそのような世界だ。

フライデーナイトが手がける「コーデンベルク」は印刷工場と連携する印刷サービスだ。例えばチラシを印刷したい場合、コーデンベルクにデータを入稿し、用紙の種類や加工を指定して発注する。ダッシュボードからは、オフィスのプリンターさながら、現在印刷待ちや印刷中といった状況もリアルタイムで把握でき、これまでの印刷履歴も確認できる。dashboard

料金は印刷料と送料がかかる。月に100部まではサービス利用料はかからないが、それ以上利用する場合は月額プラン1万9800円に加入する必要がある。また、開発者向けにはAPIを提供している。企業やブランドは自社システムにAPIを組み込んで印刷の発注と管理を自動化することも可能だ。

チラシでも効果測定

コーデンベルク最大の特徴は、1部からでも印刷できる点だ。これにより例えば、チラシに1枚1枚個別のQRコードやクーポンコードを載せたり、各カスタマーにパーソナライズした販促物を作成したりすることができる。今まで印刷物では難しかったパッケージのA/Bテストや効果測定を行うことも可能になる。デジタルでは当たり前にできたことが、オフラインの印刷物でも簡単にできるようになるのだ。

通常印刷会社ではオフセット印刷を用いるため、このように柔軟な印刷のニーズに応えるのが難しかったとフライデーナイトで取締役CTOを務める木村俊範氏はTechCrunch Japanに話す。オフセット印刷では印刷の版を作成する必要があるため、手間と人件費がかかる。

フライデーナイトは佐賀県にある老舗の印刷会社サガシキと資本業務提携を行っていて、コーデンベルクの印刷はサガシキのデジタル印刷機で行っているという。デジタル印刷機では版を作成することなく印刷ができ、小ロットでの印刷が可能だ。ただ、印刷物は単に印刷して終わりではなく、製品として出荷するには、断裁したり、加工したりする必要がある。コーデンベルクでは、小ロットの印刷サービスを実現するために、印刷工場のラインを充実させることに力を入れているという。

フライデーナイトは、デザイン会社を経営していたCEOの長沼耕平氏とコンサルティング会社を経営していたCOOの中村直彦氏は2005年1月に立ち上げた会社。その後2016年7月よりコーデンベルクのベータ版を公開し、本日正式リリースに至った。

コーデンベルクでは今後チラシに加え、箱や冊子などの印刷物に対応していくとのこと。また小ロットごとの個別配送にも対応予定だという。

印刷工場には断裁、加工、組み立てなどの工程があるが、コーデンベルクは将来的に、そのような工場のリソースもネットワークでつなぎ、開放できるようにしたいと考えている。コーデンベルクはアマゾンAWSのようにリソースを割り振り、さまざまな人と印刷工場とがつながる世界の実現を目指している。

投稿者:

TechCrunch Japan

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