スマホ証券のスタートアップ、One Tap BUYが米国株に加えて2月13日から日本株の取り扱いも開始すると発表した。これまでFacebook、Alphabet、コカ・コーラ、アップル、ウォルト・ディズニーなど日本人にも馴染みのある有名ブランドかつ優良企業の個別銘柄30種を1000円単位で手軽に売買できることを売りにしてきたが、今回新たに3つの日本株ETFを1000円単位で売買できるようにする。
1つは日経225連動型のETF(銘柄コード:1321)で、標準的なインデックスファンドだ。トランプ騒動で日米とも株価は上げ調子だが、これに連動する分かりやすいもの。これまでの個別銘柄の売買と違って分散投資となるため長期投資に向いているという点でもOne Tap BUYとしては新しい。
もう1つのETFは、同じく日経225連動だが、日経平均の2倍幅の値動きをするもの。具体的商品としては「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」(銘柄コード:1570)。3つ目は、逆に日経平均と反対の動きする「NEXT FUNDS 日経平均インバース・インデックス連動型上場投信」(銘柄コード:1571)だ。市場全体が下がる時に収益を上げるもの。
以下のように分かりやすい、ブル(雄牛)、ベア(クマ)のキャラクターで表示するのがOne Tap BUYらしい。ブルはもちろん相場が上がることを予想する「強気」の象徴、ベアは反対に「弱気」の象徴だ。
One Tap BUYは2016年6月にローンチ。これまで2016年7月にソフトバンクから10億円を調達している。ローンチ当初は1万円単位の売買だったが、後に1000円単位とするなど、少額で手軽に投資できるようにすることで、これまで株売買に縁のなかった投資未経験の20代後半〜40代前半の取り込みを続けている。現在までアプリダウンロード数は約15万件で、ユーザー数は1万2000人という。
国際分散投資の基本方針の1つに市場規模に比例した比率で、異なる国の上場銘柄を保有すること、というのがある。でも、どんな国の国民にも「ホームバイアス」と呼ばれる偏向がある。スウェーデンの上場企業の時価総額は全世界の1%にすぎないが、スウェーデン人の多くはスウェーデン株ばかりを保有している、というようなことだ。1991年の研究調査によれば、国内銘柄の所有比率はアメリカ人で92.2%、日本人で95.7%、イギリス人で79%などとなっているそう。日々ニュースを聞く日本企業の銘柄からなる株を日本人が持ちたくなるのは当然といえば当然。国際分散投資の統計モデルに妥当性を感じるぼくとしては、1国や2国だけに限定して銘柄を保有するのは合理性に欠けるように思うのだけど、One Tap BUYがそういう議論をする層をターゲットにしているわけではないのも、また明らかだとは思う。