3DCADデータをVR上で“体験”できる「SYMMETRY alpha」、DVERSEが公開

sub2

2016年6月に500 Starups JapanやColopl VR Fundなどから約1億1000万円の資金を調達したVR制作ソフトウェア開発のDVERSE(ディヴァース)。同社は2月14日、VR体験ソフトウェア「SYMMETRY alpha(シンメトリーアルファ)」の提供を開始した。ゲーム配信プラットフォームの「Steam」から無料でダウンロード可能だ。

DVERSEが開発するSYMMETRY alphaは、3DCADデータを取り込めば、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を通じてそのデータをVR空間に表示し、体験できるというソフトだ。データは容量にもよるが数秒から数十秒のほぼリアルタイムで取り込み可能。ただし現時点では、3DCADデータはTrimble社のSketchUpのファイル形式にのみ対応。対応するHMDもHTC Viveのみの対応となっている。今後はほかのファイル形式に対応するほか、Oculus RiftやAndroid Daydreamといった環境での利用にも対応していく予定だ。

「SYMMETRY alpha」上で模型のように表示した3DCADデータ(右)と、等身大で表示した3DCADデータ(左)

「SYMMETRY alpha」上で表示した3DCADデータの「模型」(右)と、VR空間上に実寸サイズで表示したデータ(左)のイメージ

VR空間で3Dデータを表示できると言っても、体験していない読者には分かりにくいかも知れない。実際にHMDをつけてデモを体験をした僕の目線で説明すれば、SYMMETRY alphaでCADデータを取り込むと、まず目の前(のVR空間)にCADデータを元にした模型が表示される。その模型に対して、Viveのコントローラーを使ってポイントを指定すると、今度は実寸サイズで、その指定したポイントからCADデータを眺めることができる。VR空間上でさらにポイントを指定すれば、瞬間移動するがごとく指定した位置に移動できる。CADデータさえ取り込めば、その建物の好きな場所に中にいるかのような感覚で、データを閲覧できるというわけだ。フィードバック用のコメントを残す機能なども提供する。

DVERSEではまず、建築や土木といった分野での利用を想定している。例えばCADデータで作った店舗を、工事を始める前に体験するといった使い方だ。すでに大手の建築事務所やゼネコン、家具、自動車といったメーカーなどに導入を提案しているという。

また同社では、SYMMETRY alphaを「AdobeにおけるAcrobat Readerのようなもの」だと説明する。いわばこれは3Dデータを読み込むためのリーダーソフトだ。今後は対応ファイルや対応環境を拡充しつつ、オーサリングツールを開発。有料で提供する予定だ。

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。