人工知能の分野で先行する2社が手を組んだ。IBMとSalesforceがパートナーシップ締結を発表したのだ。
このパートナーシップにより、IBMはEinsteinとWatsonの両方を通じて同社のコンサルティングサービスを売り込むことができる。
今後、Watsonのビジネスから得たノウハウが直接SalesforceのIntelligent Customer Successプラットフォームにもたらされることになる。Einsteinがもつカスタマーリレーションシップのデータと、Watsonがもつ天気、ヘルスケア、金融、リテール分野の構造化/非構造化データが組み合わさるかたちだ。
「今後数年のうちに、私たちはAIや認識技術の手を借りて主要な意思決定 ― 個人、ビジネスを問わず ― を行うことになるでしょう」とIBM最高経営責任者のジニ・ロメティー氏は語る。
ロメティー氏によれば、Watsonに「触れた」ユーザーは10億人にものぼる ― 腫瘍学などの医療分野、リテール分野、税務分野、クルマ分野など、その入り口はさまざまだ(この数字に広告分野が含まれているかどうかは定かではない。たぶんそうだろうが、、、IBMはWatosonを頻繁に宣伝している)。
「EinsteinとWatsonのコンビネーションによって、ビジネスがよりスマートになり、私たちの顧客も恩恵を受けることができます」とSalesforce最高経営責任者のMarc Benioff氏は話す。「IBMと手を組むことができ、とても興奮しています ― これほどまでにSalesforceのコアバリューと共通した理念をもつ企業は、IBMの他にありません。両社にとってベストなパートナーシップだと言えます」。
Benioff氏の話は多少誇張されている部分もあるが、この2つの企業が手を組んだことによって奇妙なパートナーシップが出来上がったことは紛れもない事実だ。両社が展開する知能プロダクトがどのレベルまで統合されていくのか、そして彼らがどの程度手を取り合うのかは、まだ明らかにされていない。
両社の発表によれば、今後彼らはAPIを利用してWatsonとEinsteinの統合を進めていくという。彼らが例としてあげた用途として、Einsteinがもつ顧客データとWatsonがもつ天気データやリテール業界のデータを組み合わせることで、顧客にEメールキャンペーンをうつというものがある。
まさしく、天気データの統合はこのパートナーシップのなかで最も重要な要素だといえる。IBM傘下のWeather CompanyのサービスがSalesforceのアプリマーケットプレイス「AppExchange」に加えられるのだ。これにより、顧客に天気情報をもとにしたアップデートを提供することができるようになる。
最も重要なのは、WatsonとEinsteinを統合した機能の導入を支援するサポートチームをIBM傘下のコンサルティング企業「Bluewolf」が組織するという点だろう。両社の統合サービスは3月末から利用可能になる予定だが、すべての機能が利用できるようになるのは今年後半になる見込みだ。
この件についてSalesforceとIBMからコメントを入手することはできなかった。