食料品配達のInstacartが4億ドル調達 ― バリュエーションは34億ドル

食料品配達を手がけるInstacartが約4億ドルの資金調達を完了したことが明らかとなった。今回のディールの内情に詳しい情報提供者によれば、バリュエーションは34億ドルとのこと。巨大な規模となった今回の資金調達の噂を最初に報じたのはAxiosだった。Instacartの幹部から今回の件についてコメントを得ることはできなかった。

過去数年間、サービス料金の引き上げと給料の引き下げを行ったInstacartは論争の的になっていた。同社のこれまでの累計調達金額は2億6000万ドルで、バリュエーションは20億ドルと報じられていた。

Instacartが前回の資金調達を終えたあと、同社の競合は行き詰まりを見せていた。例えば、Good Eggsは経営陣の刷新とレイオフをせざるを得ない状況に追い込まれてる。そして、インドでライドシェアリングサービスを提供するOlaは、同社の食料品配達サービスを完全にシャットダウンしている。

今のところ、Instacartのサービスを利用できるのはアメリカ国内のみに限られる。U.S Department of Agricultureの最新の調査によれば、アメリカの一般家庭では合計で年間7270億ドルの食料品が消費されているという。

InstacartのAporva Mehta氏

これまでにもTechCrunchでお伝えしたように、Instacartは単純にデリバリーサービスだけから収益を得ているわけではない。同社のサービスでは、食料品の値段に加えて、最寄りのストアでのピックアップと自宅までの配送(1時間以内で到着)のそれぞれの方法で配送料がかかる仕組みになっている。

しかし、Instacartはそれに加えて、消費者向けブランドを同社のプラットフォーム上で宣伝し、その代わりに彼らから広告料を受け取っている。従来の食料品店では、目のつきやすい棚に商品を並べる際にはブランドに料金を課しているが、それと同様の仕組みだといえる。

Bloombergによれば、本調達ラウンドをリードしたのはSequoia Capitalだ。InstacartはY Combinatorの「startup factory」から2012年に誕生したスタートアップ。Sequoiaの他にも、Andreessen Horowitz、KPCB、Whole Foodsなども同社に資本参加している。Whole Foods MarketsとCostCoのスーパーマーケットの中にはInstacart会員専用の特設エリアが設けられており、支払いをスピーディに終えることができる専用レジ「express lanes」も設置されている。

Instacartの競合となるのは、ShiptPostmatesStorePowerなどの企業だ。今回Instacartが巨額の資金調達を完了したことにより、これらの競合はプレッシャーを感じているのかもしれない。一方、Instacartは今回の資金調達によって競合を出し抜くチャンスが生まれたといえるだろう。

 

― 本稿では、Ryan Lawler氏がこの件の追加報道に協力をしてくれた。

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。