AdAsiaはシンガポールに拠点を置く、創業1年のスタートアップだ。AdAsiaはシリーズAラウンドでJAFCOから総額1200万ドル(約13.6億円)を調達した。
AdAsiaは2016年4月にCEOの十河宏輔氏が創業した会社だ。十河氏は、アドプラットフォーム事業などを展開するマイクロアドでAPACのマネージングディレクターを務めた経験がある。また、COOの小堤音彦氏もマイクロアドのベトナム事業に携わっていた。AdAsiaではリアルタイム広告取引、ソーシャルターゲティングの他、Adwords、DoubleClick、Facebook広告といった大型の広告取引といった機能を一括で管理できる広告プラットフォームを提供している。また、動画やモバイル向けのソリューションやインフルエンサー・マーケティング・プログラムも用意している。
事業を開始してから1年ほどだが、十河氏はAdAsiaはすでに利益を出しているとTechCrunchの取材に話した。2016年4月から12月の売上高は1200万ドルを達成し、毎月20%から30%のスピードで伸びているという。今年は年間売上3000万ドルを目指していて、現在300社のクライアントを抱えている。
AdAsiaはシンガポールに本社を構え、台湾、カンボジア、ベトナム(2カ所)、インドネシア、タイにオフィスを開設している。今回調達した資金は、中国(上海)、香港、フィリピン、マレージア、日本で事業を展開するために充てる。現在、合計で80名のスタッフを抱え、今年30歳になる十河氏は、来年末までにスタッフの人数を400人規模にしたいと話す。
シリーズAで調達した資金は、AdAsiaの既存の広告商品と将来提供予定の商品における機械学習と人工知能(AI)の機能を改善することにも充てる計画だ。そのためにベトナムに開発センターを開設するという。
「アジアで最大級の広告テクノロジー企業になるためにマーケットシェアを拡大していきたいと考えています。それを進めていくための調達です」と十河氏は言う。
東南アジアではデジタル広告というコンセプト自体まだ根付き始めたばかりであり、AdAsiaはそこでマーケットシェアを拡大したい考えだ。一方で、中国のデジタル広告市場はすでに飽和しつつあり、そこでマーケットシェアを獲得するハードルは高いかもしれない。十河氏は、中国市場でマーケットシェアを大幅に得るのは難しいと認めつつも、例えばTencentといった大手プレイヤーと連携することで「多少はマーケットシェアを獲得し、収益を得られるだろう」と話す。
この野心的な企業はすでにエグジットの選択肢も検討しているようだ。 十河氏は2019年、早ければ来年にも香港、あるいは日本でのIPOを視野に入れている。アメリカで上場する可能性については否定しなかったのも、それに関しては「考える必要があります」とTechCrunchに話した。
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(翻訳:Nozomi Okuma /Website)