みずからを「リテール店舗のWeWork」と表現するBulletinは5月24日、シードラウンドで220万ドルを調達したと発表した。
彼らのアイデアは、オンラインショップのオーナーなどに従来型店舗へのアクセス手段を提供するというもの。リース契約などのコミットメントやコストなしでだ。ユーザーはBulletinがもつ店舗内のスペースを月ごとに借りることができる。そして、その店舗の中でどのプロダクトを販売するのか、それをいくらで販売するのか、どのように展示するのかなどを決める。
同社は現在、2つの地域でビジネスを展開している。ニューヨークのSoHo地区とWilliamsburgの周辺地域だ。Williamsburgの店舗はもともと家庭用品にフォーカスしたものだったが、現在はBulletin Broadsとして「女性向けプロダクトを販売する30のブランド」(共同創業者兼CEOのAlana Branston氏)が商品を出品している――フェミニストTシャツ、ピンバッチ、書籍などの商品だ。
Broadsにも従来のBulletinのモデルが継承されている。ブランドが店舗のスペースを月ごとに借り、自分たちのイベントを開催することもできる。しかし、共同創業者兼COOのAli Kriegsman氏によれば、このBroadsの取り組みによりBulletinはより「トレンディングな」アプローチを実験的に行うことができるという。最新のニュースや政治動向によってプロダクトのラインナップを変えるという方法だ。
この結果、BroadsはBulletinのなかでも最も成功した店舗になったと彼女は話す――そして、売上の10%はニューヨーク市のPlanned Parenthoodに寄付されている。
「フレキシブルなシェアリングモデルによって、私たちはタイムリーでリアクティブなコンテンツをもった店舗をつくることができます」とBranston氏は加える。
今回のシードラウンドには、Flybridge、Kleiner Perkins Caufield & Byers、Afore Capital、Tim Draper、Kevin Hale、Y Combinator(BulletinはY Combinatorの卒業生)、Liquid 2 Venturesなどが参加している。Bulletinは今回調達した資金を利用して今後9ヶ月間に5つの新店舗をオープンする予定だ――ニューヨークに3店舗、ロサンゼルスに2店舗だ。
また、Branston氏によれば、ブランドが店舗スペースの契約と売上管理をより簡単にできるようなシステムの改良を進めていくという。
今後の展開についてBranston氏は、「消費者の購買行動が大きく変わっている」という今の状況に適した方法をBulletinはリテール業界に示していくという。そして、リテール・アポカリプスを防ぐため、BulletinはプロダクトではなくユーザーエクスペリエンスにフォーカスするとBranston氏は話す――これは、AppleがApple Storesでプログラミング教室を展開するのと同じことだと彼女は言う。
彼女の見方では、このユーザーエクスペリエンスへのフォーカスは、Bulletinのアプローチに「もともと織り込まれている」ものだという。出品するブランドが絶えず変化し、そして、それらのブランドが独自のイベントやパーティーを開催しているからだ。
「私たちの店舗を”良い体験ができる場所”として顧客に認識してもらいたいと思っています」とBranston氏は話す。
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