超小型ロボットについて指摘すべき問題があるとすれば、十分な装備を持たせられないことだ。カメラやモーターは小型化が難しいため、ロボットに何かをつかんで欲しければ、ものを見てしっかり握る方法を新たに考え出す必要がある。フィンランドの研究チームが生物をヒントにして作ったこの超小型グリッパーはまさにそれだ。
タンペレ工科大学の研究チームは、ハエトリグサを真似てデザインされている。好物が来るのを辛抱強く待って捕まえる食虫植物だ。ハエトリグサの場合は細かい繊毛が引き金になるが、このグリッパーは光に反応する。
それは、装置全体が単なる短冊状の感光性液晶エラストマーだからだ。中央に光ファイバーの束が貫通していて青色の光がそこを通って照射される。近くにあるものから光が反射してくると、エラストマ―片が前方に折れ曲がってそこにある物体をつかむ。
単純で低消費電力で柔軟性があるという特徴は、小さくて壊れやすいものをつかむ必要のある超小型ロボットに最適だ。実験に使う結晶や、培養中の細胞群などに応用できる。
「今はエラストマーをもっと賢くする方法を研究しているところ」と研究グループを率いるArri Priimägiは言う。「次はこのハエトリグサに色を見分けることを教えるつもりです」。
同チームの研究成果はNature Communications誌の最新号に掲載されている。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook )