OB訪問サービス「VISITS OB」を提供するVISITS Technologiesは7月6日、第三者割当増資および日本政策金融公庫の新事業挑戦支援制度を用いた借入により総額5.7億円を調達したことを明らかにした。第三者割当増資の割当先については、PERSOL INNOVATION FUND(旧 Temp Innovation Fund)、ベクトル、三菱UFJキャピタル、グローブアドバイザーズ及び既存株主やエンジェル投資家など。またパーソルホールディングスとは資本提携に加え、HR Tech領域の研究開発を協働で実施していくべく業務提携も結んでいる。
VISITS Technologiesは2015年にシードラウンドで4000万円を、2016年6月に代々木ゼミナールグループ、ウィルグループインキュベートファンド、エンジェル投資家数名から2.5億円を調達しており、今回はシリーズBに相当するラウンドだ。今後HR Techカンパニーとして成長を目指し、社名をVISITS WORKSからVISITS Technologiesへ変更したことも合わせて明かしている。
HR業界の課題をテクノロジーで解決するべく2014年に設立
同社の設立は2014年。元ゴールドマンサックスのトレーダーで、人工知能を用いた投資ファンド設立や大学生向けキャリア教育プラットフォーム「キャリア大学」の立ち上げなどを行ってきた松本勝氏が代表を務めるスタートアップだ。
松本氏を含め金融業界やコンサルティングファームでデータサイエンスに携わってきたメンバーが集結。「HR業界は市場が大きい一方で、まだまだアナログな部分が多く課題を感じていた」ことから、テクノロジーを用いてこの市場の課題解決に取り組み始めた。
2015年12月にリリースしたVISITS OBも、ファーストキャリアの選択はその後の人生に大きな影響を及ぼすにも関わらず、情報の非対称性が大きく、見える化されていない情報が多いという課題を解決するべく開発したもの。データ解析力を生かし「会えば会うほどいい人と出会える」ことが売りで、現在300以上の企業で活用されており、リリース1年8ヶ月で50万マッチを達成している。
「既存のOB訪問サービスは名簿をオンライン化したようのものも多いが、私たちの強みはそれを科学していること。一見アナログなサービスに見えるかもしれないが、裏側では培ってきたAIやビックデータ解析の技術を駆使しているので、特に導入企業様に対しては新卒採用に関する分析サービスを提供していると思っている」(松本氏)
今後はVISITS OBの改良に加えて、まだ課題が残る人材領域で新たな事業を立ち上げることを考えており、今回パーソルホールディングスの中核会社であるパーソルキャリア(旧インテリジェンス)と業務提携を実施している。パーソルキャリアが蓄積した人材領域における膨大なノウハウと、VISITS Technologiesのデータ解析力、技術力を合わせて、転職や社内人材管理に関するサービスを協働で研究、開発していくという。
「規模が大きく、アナログの要素が大きく残っている市場の代表が不動産とHR。特にHRは社会に対するインパクトも大きく、一部でデジタル化も進んできていて、今自分たちが培ってきた技術を発揮するには最適だと思っている。まだまだ日本のHR Techは世界に比べて遅れているので、一緒にこの市場を変えていきたい」(松本氏)