わりかんアプリの「paymo」やオンライン決済サービス「AnyPay」を提供するAnyPay。同社は8月28日、ICO(Initial Coin Offering:仮想通貨による資金調達)のコンサルティング事業へ参入することを明らかにした。9月にも事業を開始する。
最近テック系メディアを中心に、その名前を聞くことが増えたICO。海外では、2017年に入って調達額が急増、200億円近くを調達する企業も出ているという。直近ではエストニアが政府主導でのICOを計画しているということでも話題になったばかり。
一方で日本の状況を見てみると、テックビューロが日本の仮想通貨法をベースにしたICOプラットフォーム「COMSA」を発表するなどしているが、ICOを実施している、もしくは実施予定の企業はまだまだ少ない。米国のThe DAOの事例などもあり、法規制などを考慮した設計も必要になる。
AnyPayは、日本は既存の金融システムが優秀であり、また新しいモノについて懐疑的なところがある。さらに過去にマウントゴックス社の事件などもあって投機目的以外でまだまだ仮想通貨に対してネガティブな考えもあると分析。その上でICOは実施企業にとって資金調達のコストが低く、調達規模の自由度が高く、グローバルである。また投資家にとっては、高いキャピタルゲインを得られる可能性があるとメリットを説明する。
今回のICOコンサルティング事業では、通常の資金調達に必要な検討事項に加えて、ICOで必要な法律や会計観点でのサポート、トークン発行・組成、国内外へのPRなどをAnyPayが国内外の有識者や取引所と組んで行う。これに先駆けて、仮想通貨発行事業者と連携して、仮想通貨の発行システムも開発しているという。料金についてはプランにより異なるが、「ICOでの調達額の何パーセント」といった設計もあり得るとしている。
ICO実施の支援を行う対象は、スタートアップや未上場の中小企業など、資金調達需要の高い企業を優先する。また将来的には著名人などのプロジェクトについても対応していくことを検討中だ。ターゲットとするエリアは設定せず、グローバルに展開するという。
AnyPayでは今回の事業を展開する理由として、これまでFinTech領域の事業を展開してきたこと、またAnyPay、代表取締役社長の木村新司氏個人それぞれでFinTechや仮想通貨領域への投資を行ってきたこと、またそこで培ったリレーションがあるからだと説明する。
実際にICOを実施してトークンを発行しても、それが流通する取引所がないと流動性が生まれず、トークンの価値にならない。そういった点についてパートナーと協力することで補完できる、ということも強みだと木村氏は語る。例えば日本の取引所であるbitFlyerも木村氏の投資先の1社だ。
また仮想通貨では、詐欺の可能性が疑われる、いわゆる「詐欺コイン」の存在もあるが、社内のコンサルタントチームで(ICOする)事業内容を精査することで、これを防ぐとしている。
案件についての詳細は非公開だったが、すでに計画中の企業もいるとのこと。AnyPayではこの事業を通じて、年内にも2社程度のICOを支援する予定だ。なお、自社のICOについては、現状予定がないとしている。