SpaceX、アメリカのX-37B宇宙往還機の打ち上げに成功――ブースターの回収は16回目

イーロン・マスクの宇宙企業、SpaceXは再び成功を収めた。昨日(米国時間9/7)、SpaceXはアメリカ空軍の宇宙往還実験機、X-37Bの打ち上げに成功した。これによりSpaceXはロッキード・マーティンとボーイングの合弁宇宙事業、ULA以外では唯一のX37B打ち上げ企業となった。今回の実績はSpaceXにアメリカの国防予算からの契約をさらに多数もたらすことになるだろう。

SpaceXのFalcon 9ロケットは、現地時間で木曜日の午前10時にフロリダ州ケネディー・スペースセンターのLC-39A発射台から打ち上げられた。Falcon 9はX-37B Orbital Test Vehicle〔衛星軌道テスト機〕をペイロードとして搭載し、第一段目ブースターはケープ・カナベラル空軍基地のSpaceXのLZ-1ランディングパッドに予定どおり無事着地した。フロリダ州には猛烈なハリケーン、イルマが接近しているが、SpaceXはいわばイルマを出し抜く形で打ち上げに成功した。

空軍のミッションであるためX-37Bの詳細は「各種の実験を実施している」という以上には公開されていない。前回の発射でX-37Bは2年間軌道にとどまり、今年5月に帰還している。ボーイングが製作したX-37Bは無人機だが、引退したスペースシャトルのミニ版といっていいデザインだ。帰還の際もスペースシャトルのように水平飛行して通常の滑走路に一般の航空機のように着陸する。

X-37Bはアメリカ最初の経済性の高い無人宇宙往還機で、軌道上から安全にペイロードを持ち帰る実験が行われている。 今回の打ち上げの重要な目的はSpaceXにX37-Bを軌道に投入する能力があることを実証する点にあった。ボーイングによれば、SpaceXが打ち上げ能力を持つことはX-37Bを恒常的に運用する上で決定的に重要だという。

一方、SpaceXにとっては今回がFalcon 9ブースター回収の16回目の成功となった。 次回のミッションでは回収・整備されたブースターを用いたEchoStar 105 SES-11通信衛星の打ち上げとなる。これは来月に実施が予定されていおり、用いられるブースターは前回ISS(国際宇宙ステーション)への補給ミッションで使われたものだ。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+