新興市場でのパートナーシップのチャンスを掴み取れ

【編集部注】著者のChen AmitはTipalti共同創業者兼CEOである。

シュリニヴァーサ・ラマヌジャンは1887年にインドのクンバコナムで生まれた。父親は店員で、母親は主婦だった。彼の初期の数学は明らかに非凡さを見せているが、彼は正式な数学教育を受けたことはなかった。ある時点で、彼は学校を退学になっている。彼がケンブリッジ大学に、定理を書き付けたノートを送ったことで、G.H.ハーディ教授が返信を行い、5年間の共同研究が始まった。

ラマヌジャンは学士号を取得し、最終的に王立協会のフェローとなった。彼は32歳で死亡したが、現代に至っても今だに数学者たちは彼の仕事の解読を続けている。その内容にはひも理論や宇宙の誕生の側面に関わるものもある。

ここでのポイントはこうだ:人間の可能性と天才は確かに存在しているが、その大部分は現在でも発見されないままだ。その原因は、政治的、地理的、そして経済的境界によるものである。地球上には70億人以上の人びとがいる。世界中の才能を結びつけるためのより良い方法があるはずだ。

国境を越えたパートナーシップ(世界の主要な多面的なビジネスとオンラインマーケットプレイスの多くが、既に関わっている)は、発展途上国の人びとが、世界経済に対して自分たちの価値を提供する際の障壁を下げる役割を果たしている。

国境を越えて拡大するかどうかを決定する際には、経済性とビジネスの成熟度は確かに考慮する必要があるものの、新しいチャンスも同様に考慮されるべきなのだ。マーケットにとっては、特定の国がユニークで多様な商品やサービスを提供できる可能性がある。メディア企業にとっては、地元の視点や特定の視聴者へのアクセスが得られる可能性がある。B2Bの分野では、24時間体制の、費用対効果の高い従業員たちの可能性が、魅力的に見えるかもしれない。

究極的には、グローバルなサプライヤーベースを活用することで、ビジネスの革新、サービスの差別化、競争力の強化、成長の拡大を支えることができる。これらの理由から、ビジネスリーダーたちにとっては、単純に無視するには重要過ぎるチャンスなのだ。

ということで、何が新興市場と良いパートナーシップを結ぶことを邪魔しているのだろうか?そしてそれらの問題を克服するにはどうすればよいのだろうか?

失敗に対処する武器としての効率性

新興市場に対するパートナーシップの試みには、リーンで効率的なオペレーションが必要とされる。それは何故か?理由は2つある。

リーンでない企業は効果的に拡大することができない。リーンな運営を伴わない成長は、身動きを鈍くして、ギャップと失敗の発生につながる。それはメリットの見出せない拡大であり、下手をすればコストや複雑さが増すだけのことだ。

もう一つの理由は、より感情的で、ビジネスの士気に根ざしているものだ。関係するすべての人たちの平静さを維持しながら、複数の国にまたがって仕事を進めるためには、それぞれに対応した現実的なプロセスを必要とする。コミュニケーション、関係、取引、税金、契約、詐欺、および期待に関してのルールがそれぞれ異なるからだ。国際的なパートナーとの作業に伴う夥しい違いに、スタッフたちがその場その場で正しく適応していくことを期待するのは現実的ではなく、グローバルな活動が失敗へと向かってしまう。

地球上には70億人以上の人びとがいる。世界中の才能を結びつけるためのより良い方法があるはずだ。

会社の成熟の早い段階で、こうしたルールたちを可能な限り成文化し(理想的には自動化し)て、フレームワークやプロセスという形で取り込むことで、ニューヨークのチームがフランクフルト、スリランカ、そして香港のパートナーとシームレスに連携できるようになる。そうすれば、それぞれが価値の低いタスクを場当たり的に処理することが無くなり、ストレスが軽減され、チームが重要な事柄――関係と成果――に集中することが可能となる。

効率的なプロセスはまた、遠隔パートナーと連携する際に生じる、内部リスクと規制リスクを軽減するためにも重要だ。エラー、詐欺、税リスクに晒される傾向は、国境を越えることで大きくなる。例えば、パートナーがテロリスト監視リスト(OFACなど)に載っているかどうかを意識しているだろうか?FATCAを満たすために、IRSは何を報告することを求めているだろうか?これらは偶然に任せておけば良い事柄ではなく、同様にプロセスを遅くさせるものであってはならない。これらのチェックに関わる摩擦を取り除くことで、ビジネスの全体的な実行効率が改善される。

リモートオペレーションと可視性の構造化

特定の国に対して何らかの進出をする必要があると仮定してみよう。臨時の開発チームを雇うか、ビジネスモデルにとって役に立つサプライチェーンを作るところまでは簡単だ。次に企業は決定する必要に迫られる:現地オフィスを設立するのか、それともリモートに運営するのか?

開発途上国ではさらに、現地のビジネスリソースや人材の不足、しばしば不安定な政治環境やインフラストラクチャー、そしてもちろん適切な銀行やデジタルコマースなどの不足が困難に輪をかけている。多くの場合、物理的な設置を行わずに運営できるなら、その方がより良いビジネスとなる、特に複数の地域にまたがって、規模を拡大することが望まれている場合には。

遠隔地を上手く管理するためには、海外業務の可視性を確保することが重要だ。地域毎にエンティティ構造が異なる場合に重要なことは、その情報を吸い上げて中央で管理する方法を確保することだ。例えば、子会社がある場合は、プロセスを標準化するために、それぞれに同じプラットフォームを導入しよう。確かにローカライゼーションの要素も組み込まれる筈だが、共通のアプローチを取ることで、レポートやコントロールの統一が容易になる。

最高のパートナーたちが離れていくことを防ぐ

パートナーたちがある程度離れていくことは仕方がない。運によるものもある。新興市場では、そうしたパートナーたちはしばしば複雑な状況に対処しなければならず、その状況が突然変化する可能性があるからだ。その場合は、彼らの離脱はあなたの運営のせいではない。だがそれ以外の場合は、あなたは一緒に働くことが困難なパートナーであるという評判を育んでいるということだ。

グローバルなサプライヤーベースを活用することで、ビジネスの革新、サービスの差別化、競争力の強化、成長の拡大を支援することができる。

一部のパートナーは、卓越したパフォーマーに成長し、優れたサービスや望ましい製品を確実に提供するようになる。彼らにとって、自分たちの努力に価値を感じ、あなたのビジネスで働くことに不満を感じることがない、という両方の意味で満足することが不可欠なのだ。疑う余地なく、違いを生み出すことに飢えたスーパースターたちを見出すことは可能だ。彼らは期待以上に働いてくれるだろう。それがまだ磨かれていない「あなたの数学者」の原石なのだ。

パートナーの離脱はまた、間断なく募集を続けなければならないことを意味する。パートナーネットワークの強みは数の多さにもあるので、迅速かつ積極的にそれらを増やして行く必要がある。そのことによってスーパースターたちを発見する可能性が増えるのだ。これが、Uber、Lyft、そしてAirbnbが消費者たちにとって信頼できる対象であり続ける理由だ。サプライヤーたちは常にそこにいて準備が整っている、たとえそれが国際的なものであっても。そして一部の者は離れて行くかもしれないが、より多数の新しいパートナーが参加し続けている限りは大丈夫だ。

より良いものに向けてのイノベーション

グローバルな人材を自分のサプライヤーのエコシステムに招き入れることは、最終的にはあなたのビジネスを、競合相手から差別化し、長期的にあなたの会社を成功に導くことに繋がる。そして、それがまさに世界の最も革新的なビジネスの多くが、グローバルな労働力と提携するために 大規模な取り組みを進めている理由なのだ。

そうすることで、世界はより楽観的な方向と導かれる。発展途上国の人びとに世界経済へのアクセス手段を与えることは、病気から政治的不安定に至るまでのすべてを緩和することに役立つ。私たち自身をより大きな人類への貢献へと向かわせ、繁栄の分かち合いを促進する技術と意志によって、ビジネス界は世界に大きな違いを生み出す絶好の機会を得ているのだ。

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(翻訳:Sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

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