クラウド会計ソフトなど複数事業を展開するfreeeは3月12日、⺠泊事業を始めたい人向けの新サービス「⺠泊開業 freee」を発表した。民泊事業の事前届出が開始する3月15日より、同サービスを提供する予定だ(サービスサイトも同日公開)。
「6月15日の民泊新法(住宅宿泊事業法)施行」は2018年上半期において、多くの人が注目するトピックのひとつだろう(スタートアップの動向に関心があるTechCrunch読者であればなおさら)。
TechCrunch Japanでも「SUUMO」を運営するリクルート住まいカンパニーがAirbnbと提携して民泊事業を展開することを1月に紹介したが、すでに多くのプレイヤーが参入を発表している。
国内の大手IT企業では楽天がLIFULLとタッグを組んで、民泊事業会社の楽天LIFULL STAYを設立。ヤフー傘下の一休は2016年から11月から「一休.comバケーションレンタル」を運営している。スタートアップも「Relux」提供元のLoco Partnersが「Vacation Home」を、「スペースマーケット」提供元のスペースマーケットが「スペースマーケットSTAY」を通じて民泊事業を本格化する。
そのほかJALも「STAY JAPAN」を運営する百戦錬磨と資本・業務提携をして民泊領域に参入する動きが見られるなど、この盛り上がりは今後も続いていきそうだ。
2月末には観光庁が民泊制度のポータルサイトを開設。6月の新法施行に先駆けて、まずは3月15日から住宅宿泊事業の事前届出が開始する。これを機に民泊の間口が広がり、多くの法人・個人が民泊ビジネスを始めることも予想される。
ただし民泊新法によって民泊を始めやすくはなるものの、ポータルサイトの説明を見る限り届出に必要な手続きにはある程度の手間がかかるだろう。この届出手続きを中心に、個人事業主の開業手続きや民泊サイトへのホスト登録までを一気通貫でサポートしようというのが、冒頭で紹介した⺠泊開業 freeeだ。
届出手続き、開業手続き、ホスト登録を一気通貫でサポート
民泊開業freeeの主な機能は「住宅宿泊事業(民泊)の届出手続きサポート」「個人事業主としての開業手続き書類の作成」「⺠泊予約サイトSTAY JAPANへのホスト登録」の3つだ。
民泊の届出手続きのサポートについては同サービス上で必要書類が確認できるほか、行政が提供する「⺠泊制度運営システム」へのリンクを設置。リンク先から書類を作成する流れになる。そのためリリース時点では、ものすごく使い勝手がいいとまでは言えないかもしれない。
ただ担当者によると「今後は民泊開業freee上で必要書類の作成機能を提供することも検討していく」とのことで、この機能が実装されるとより使いやすくなりそうだ。
個人事業主としての開業手続き書類の作成は、以前から提供している「開業freee」を民泊用に少しカスタマイズした形で提供。簡単に質問に答えれば、開業届や青色申告承認申請書など各種書類を自動で作成できる仕様になっている。
またfreeeではサービスリリースにあたって百戦錬磨との業務提携を締結。STAY JAPANへのホスト登録をサポートする(登録ページへのリンクを設置、リンク先でホスト登録をする)。
民泊に興味はあるけれど、何をやったらいいか全くわからないという人も一定数はいるはず。そのようなユーザーにとって、民泊開業freeeは順番に沿って作業を進めると最低限やっておくべきことが一通り完結するため、便利なサービスといえるだろう。
必要書類の作成が同サービス上だけでは完結できない点や、民泊サービスのホスト登録がSTAY JAPANのみの対応となっている点などについては、今後さらに良くなる余地もありそうだ。