Xiaomiが正式に香港市場にIPO申請、公開価格は推定100億ドルか

かねてより噂のあったXiaomiのIPO(株式公開)だが、この中国の巨大スマホメーカーはようやく正式に香港証券取引所にIPOを申請した

申請書類のドラフト初版には上場に伴う財務諸表といった詳細は記載していないものの、地元メディアSouth China Morning Postは「設立8年のこの会社は公開価格100億ドル、時価総額にして1000億ドルを狙っている」と報じている。これは、今年最大のIPOとなるばかりでなく、アリババが2014年にニューヨーク証券取引所に上場した時以来の規模となる。時価総額に基づくと、Xiaomiは上場により中国で3番目に大きなテック企業となる。

Xiaomiは同業他社と異なり、少ない利ざやでスマートフォンやスマートデバイスを販売し、その代わりサービスや利用料などで利益を出している。スマホ販売にとどまらず、自ら小売やオンライン支払い、ストリーミングなどの事業を展開している。CEOのLei Jun氏が言うところの「トライアスロン」戦略では、ハードウェア部門で5%という最大の純利益を達成して以来、さらに成長するためにサービス部門に最も注力している。

Xiaomiは上場申請書類に、中国では1億9000万人超がXiaomi独自開発のMIUIバージョンAndroid携帯を使用している、としたためている。これは、MIUIデバイスが何台出回ってしるのかを知る良い洞察だ。一方で、Xiaomiはこれまでスマートウォッチやフィットネス用バンド、スマート体重計など接続デバイスを1億台以上販売している。Xiaomiは、同社のユーザーが1日に4.5時間スマホを利用し、顧客140万人が5台以上の接続デバイスを使用している、と述べている。

分析会社IDCによると、Xiaomiはスマホ出荷台数で見ると世界第4位で、販売台数がこのところ低迷している中国マーケットで健闘している数少ない企業の一つだ。

Xiaomiの財政状況はまったく驚くべきものだ。

2017年には1146億人民元(約180億ドル)の売上を記録した。2016年の684億人民元、2015年の668億人民元から大幅なアップだ。

一方でXiaomiは2017年に投資家への優先株式発行(540億人民元)で439億人民元(約69億ドル)の損失を計上したが、成長路線はゆるぎない。営業利益は122億人民元(19億2000万ドル)と、前年の3倍超となっている。

売り上げの70%がスマホで、20%超がスマートデバイス、残りがサービス関連となっている。

中国というと、多くの人が収入を上げるマーケットととらえている向きがあるが、Xiaomiは中国マーケット頼りではなくなってきつつある。2017年の売上では中国マーケットが72%を占めたが、2015年は94%、2016年は87%だった。Xiaomiにとって、いま中国以外で最も成功しているマーケットはなんといってもインドだ。シェアでいえば、Xiaomiはインドでナンバーワン、他のエリアではまだ不安定な状況だ。

興味深いことに、Xiaomiはこれまで米国スマホ市場への進出について言及したことがない。しかしながら、IPOで得る資金の30%は東南アジや欧州、ロシア、そして“その他地域”での市場開拓にあてるとしている。近年、Xiaomiは世界74カ国で販売していて、そこにはアクセサリーなどスマホ関連商品を販売している米国も含まれている。

IPOで調達する資金の別の30%は研究開発や製品開発にあて、またさらに別の30%はモノのインターネットやスマート製品エコシステムに、そして残り10%は運転資金にあてる。

Xiaomiは、同社の主要投資家がどれくらいの割合で株式を保有しているのか正確な数字は明らかにしていないが、CEOのLei Jun氏が最大の株式保有者の一人だとされている。Jun氏が同社株式の75%超を保有しているとのレポートもあり、今回のIPOによりJun氏は中国で最も裕福な中国人の一人となりそうだ。

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(翻訳:Mizoguchi)

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TechCrunch Japan

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