医療機器として不眠症治療用アプリの研究開発を行うヘルステックスタートアップのサスメドは6月4日、総額7.2億円の第三者割当増資を実施したと発表した。引受先は既存株主のBeyond Next Venturesに加え、SBIインベストメント、第一生命保険、エムスリー、Sony Innovation Fund、東京センチュリーの各社。
サスメドは2016年2月の設立(2015年7月に合同会社として創業)。2017年2月にはシリーズAラウンドでBeyond Next Venturesから約1億円を調達しており、今回の資金調達はシリーズBラウンドにあたる。
サスメド代表取締役の上野太郎氏は、睡眠医療を専門とする医師で、診療のほか睡眠の基礎研究も行ってきた。サスメドが開発する不眠症治療用アプリは薬を使わず、プログラムで睡眠障害の治療を行うというもの。ソフトウェア医療機器としての承認を目指して、2016年9月から複数の医療機関との臨床試験を進めてきた。
上野氏によれば開発・検証は順調に進んでいるとのこと。臨床試験の結果を受け、PMDA(医薬品医療機器総合機構)との協議や厚生労働省への届出を経て、6月からアプリの治験を開始する予定だ。
今回の調達資金の使途はこの治験実施にかかる割合が大きいということだ。そのほかにエンジニアを中心とした開発体制を強化し、アプリ開発やデジタル医療の開発を進めるという。
また上野氏は治験で得る実データを活用して、ブロックチェーン技術を臨床応用する実証実験も行っていくと話している。「医療データは重要なデータだが、過去に医薬品開発などで改ざんが行われたケースもあり、厚生労働省による規制が厳しくなった。ブロックチェーンを活用することで、データの信頼性を低コストで担保することができる。これは医療費の低減にもつながると考える」(上野氏)
上野氏は「ICTを医療の現場へ取り入れることで、医療の質を保ちつつコストを最適化し、持続可能な医療を目指していく」と語る。サスメドでは2020年をめどに、不眠症治療用アプリの医療機器としての承認を目指す。また治療効果のあるプロダクトを実現した上で、健康経営など法人向けサービスの提供にも応用していきたい考えだ。
医療機器としての治療用アプリ開発では、医療機関向けのニコチン依存症治療用アプリなどを開発するキュア・アップが2月に15億円の資金調達を実施している。また医療機器ではないが、法人向けに睡眠改善プログラムなどを提供するニューロスペースは2017年10月に約1億円の資金調達を行っている。