定型的・反復的な事務作業をロボットが代行するクラウドRPAサービス「BizteX cobit」。同プロダクトを運営するBizteXは8月7日、WiLとジェネシア・ベンチャーズを引受先とした第三者割当増資により総額約4億円を調達したことを明らかにした。
今回のラウンドは2017年7月にジェネシア・ベンチャーズから総額4000万円を調達したシードラウンドに続く、シリーズAという位置付け。BizteXでは近日中の公開を予定しているBizteX cobit APIにともなうシステム連携や企業間アライアンスの強化、開発体制・マーケティング体制の強化に調達した資金を用いるという。
近年RPA(Robotic Process Automation)というワードをTech系以外のメディアでも目にする機会が増えてきたように感じる。RPAはソフトウェアロボットを活用して定型的な作業を自動化する仕組みのこと。生産性向上や働き方改革を推進する手段のひとつとしても注目を集めている。
BizteXが展開するBizteX cobitは、この仕組みをクラウド上で提供するクラウド型のRPAサービスだ。プログラミングが不要で、Webブラウザからシンプルな操作でロボットを作成できることが特徴。インストールの必要がなく即日利用も可能なため、これまで一般的だったオンプレミス型と比べて導入のハードルが低い。
利用料金は初期費用にロボットの稼働ステップ数に応じた固定の月額費用が加わる(ステップとはロボットに覚えさせる動作ひとつひとつの単位のこと)。
2017年11月の正式版リリース以降、幅広い業種や規模の企業が導入。企業数は非公開であるもののアカウント数は1150、作成されたロボット数は4200、総実行ステップ数は1411万ステップを超えているという。
BizteX代表取締役の嶋田光敏氏によると、特に多いのがウェブ系の広告代理店、IT系の事業会社、人材系企業の3業種なのだそう。たとえばSEO業務で各キーワードの検索順位を調べてシートにまとめる作業をはじめ、与信審査や反社チェック時の反復作業、オファーメールの送信作業(タイマー予約)などが自動化される業務の典型例だ。
導入企業の規模も少人数の会社から、ソフトバンクグループの子会社やディップのような上場企業までさまざま。クラウド型の場合はセキュリティ面がひとつのネックとなりそうだが、嶋田氏の話では「金融系企業の子会社がグループ内で申請をしてまで使ってくれる事例も出てきている」とのこと。
BizteX cobitでは誰がいつ、どんなロボットを作ったかは全てログが残るような仕様で、“営業部”“マーケティング部”など組織ごとに分割して管理することが可能。管理者と一般ユーザーのような権限設定機能も備える。現在はセキュリティの要件レベルが高い企業にも徐々に採用してもらえはじめているという。
今回の資金調達も踏まえ、直近では近日公開予定のBizteX cobit APIにともなうシステム連携、コンサルティングパートナーなど企業間アライアンスの強化に取り組む方針。各種機能の拡張や使い勝手の改善にも引き続き力を入れる。
また将来的にはサービス上に蓄積された代行業務のデータを用いることで、ロボットの作成をさらに簡単にする仕組みも考えているようだ。
「たとえば過去のデータから顧客に向いていそうなロボットを提案したり、サイトのURLを入れたら類似する企業で活用されているようなロボットを提案したり。ロボットの代行業務データを活用しAIと連携することによって、ルールベースによるRPAから機械学習により進化するRPAを作っていきたい」(嶋田氏)