11月15日、16日の2日間にかけて開催される「TechCrunch Tokyo 2018」。その中でも特に注目なのは、創業3年未満のスタートアップによるピッチイベント「スタートアップバトル」だ。今年も100社を超えるスタートアップから応募があり、厳正なる書類審査の結果、イベント当日にピッチを披露する20社が決定した。
グループA
15日午前10時30分から行われるグループAの出場企業は、KURASERU、inaho、Yper、電脳交通、BrainCatの5社。
KURASERU
KURASERUは、要介護者を受け入れる介護施設と、退院後に要介護者を送り出す病院とをマッチングする「KURASERU」を提供する。テクノロジーにより病院と介護施設とのあいだに存在する情報格差をなくし、誰もが暮らしたい場所で“クラセル”世の中を作ることが彼らのミッションだ。2018年6月には500 Startups Japanなどから5000万円を調達している。2017年10月創業。
inaho
inahoは、画像処理とロボットアームの技術をベースにした農作物の自動収穫ロボットを開発するハードウェアスタートアップ。農作物のなかには、農家が目視で収穫可能か(収穫に適しているサイズか)どうかを判断する必要があるものもある。そこでinahoは、これまでは人の手でしか収穫できなかった野菜類でも自動収穫可能なロボットを開発。それをRaaS(Robot as a Searvice)として提供する。2017年1月創業。
Yper
Yperは再配達問題の解決とラストワンマイル物流の効率化に挑戦するスタートアップだ。玄関口に吊り下げるだけで宅配物を受け取れるアプリ連動型バッグ「OKIPPA(おきっぱ)」などを開発している。2018年5月にはニッセイ・キャピタルから5000万円を調達、東京海上日動とともに「置き配保険」なども開発する。2017年8月創業。
電脳交通
電脳交通は、タクシーの配車業務を効率化するバックオフィスシステムの開発、配車業務を代行するコールセンターを運用するスタートアップ。アプリで位置を指定するだけでタクシーを呼べる配車システムは近年増えている。だが、特に地方ではいまだに電話による配車依頼も多い。そうした電話を介する配車業務はアナログで無駄も多いが、それをテクノロジーのちからで効率化する。2018年6月には1億5000万円を調達。徳島県に拠点を置く地方スタートアップの1つだ。2015年12月創業。
BrainCat
日本には古くから、互助会という概念が存在する。メンバーがお金を持ち寄り、何らかの目的を達成するためのコミュニティだ。BrainCatはそうしたコミュニティをアプリで実現する「Gojo(ゴジョ)」を提供している。2017年11月にはメルカリ、GMO Venture Partnersなどから5000万円を調達している。2016年6月創業。
グループB
グループBに出場するのは、ムスカ、GVA TECH、NearMe、エアロネクスト、RESTARの5社だ。
ムスカ
ムスカの強みはずばり、旧ソビエトの時代から約45年の歳月をかけて選別交配を重ねたイエバエだ。通常は飼料と肥料の生成には数ヶ月の期間を要するが、ムスカのイエバエを活用すれば有機廃棄物を1週間で堆肥化することが可能だ。ムスカはこのテクノロジーにより、タンパク質の需要に供給が追いつかなくなる「タンパク質危機」の解決を目指す。こちらの過去記事も参考にしてほしい。
GVA TECH
GVA TECHは、AIによる契約書レビューツールの「AI-CON レビュー」や契約書作成支援サービス「AI-CON ドラフト」などを提供するリーガルテックスタートアップ。契約書の条文ごとに、それが自分にとって有利なのか不利なのかを5段階のリスク度で自動判定する機能などが特徴だ。本格的な法律業務をテクノロジーで効率化し、ビジネスにおける「法務格差」の解消を目指すという。詳しい機能などは、こちらの過去記事も参考にしてほしい。
NearMe
NearMeは、“タクシーの相乗り”で日本の交通インフラの改善を目指すスタートアップ。タクシーという日本の既存資産を活用し、ライドシェアとは違うやり方で問題解決を目指す。同社はこれまでにニッセイ・キャピタルなどから5000万円を調達している。最終的には、相乗りだけではく、さまざまな分野で「瞬間マッチングプラットフォーム」を展開し地域活性化に貢献することを目指すという。過去記事はこちらだ。
エアロネクスト
エアロネクストは、UAV(無人航空機)やマルチコプターの機体フレームのあるべき姿を追求するドローンスタートアップ。機体の軸がブレることなく飛行する重心制御技術「4D Gravity」を武器に、来たるドローン社会に求められる機体の開発を行う。2018年秋に開催されたB Dash Campピッチアリーナでは見事優勝を飾った。B Dash CampとTechCrunch Tokyoのスタートアップイベント2冠となるか、注目だ。
RESTAR
不動産事業者や金融機関向けに、投資用不動産の分析・評価ツール「REMETIS」を開発するのがRESTARだ。物件周辺の空室率や家賃状況など、これまでは複数の資料を参照する必要があったアナログな業務をテクノロジーで効率化しようとしている。三菱UFJフィナンシャルグループが主催する「MUFG DIGITALアクセラレータ」の第3期採択企業。
グループC
グループCの出場企業は、HiCustomer、JobRainbow、ワンディー、タイミー、Smart Tradeの5社だ。
HiCustomer
HiCustomerは、顧客の離脱兆候やアップセル(顧客単価の向上)の可能性検知を行い、受注後の売上最大化を目的としたカスタマーサクセス管理プラットフォームを提供している。2018年4月よりクローズドβ版を提供開始。これまでに上場企業含む数十社の導入実績を持つ。2018年7月には500 Startups Japanなどから6000万円を調達している。
JobRainbow
LGBT求人情報サイトや企業や行政機関向けのLGBT研修・コンサルティングを行うのがJobRainbowだ。求人サイトは現在、月間約11万人が利用しているという。代表取締役の星賢人氏は、東京大学大学院に在学中に起業した学生起業家。Forbesが発表したForbes 30 under 30 in Asiaには日本人で唯一、社会起業家部門で選出されている。2018年7月にはジェネシア・ベンチャーズなどから5000万円を調達した。
ワンディー
ワンディーは、歯科医療者が臨床知見や顧客から受けた相談内容をシェアするプラットフォーム「1D 」を運営するスタートアップだ。2018年7月ローンチ。これまでに、2000人を超える歯科医療者がサービスに登録、プラットフォーム上に掲載された症例は500件以上だという。
タイミー
タイミーは、“今すぐ働けて今すぐお金がもらえる”単発バイトアプリ「タイミー」を提供するスタートアップ。ちょっとした隙間時間と、店側の人手の足りない時間をマッチングする。ユーザーは応募も面接もなく働くことができるのが特徴だ。2018年8月のリリース以降、これまでに100社以上に導入されているという。また、同月には5600万円の資金調達も発表している。
Smart Trade
Smart Tradeは、株式のシステムトレードに利用するアルゴリズムのマーケットプレイスなどを提供するスタートアップ。ユーザーは、第三者の開発者が構築したアルゴリズムを購入して自身のトレードに利用できるほか、それらのアルゴリズムを利用した資産運用をSmart Tradeに委託することもできる。
グループD
グループDに出場するのは、Eco-Pork、POL、すむたす、HERP、アートローグの5社だ。
Eco-Pork
人口増加と中間層拡大により「世界タンパク質危機」という言葉が叫ばれるようになった。それをイエバエのちからで解決しようとするムスカ(グループB出場)に対し、“養豚×最新テクノロジー”で問題解決を目指すのがEco-Porkだ。世界で最も消費されている食肉である豚肉んも生産性を高めることを目指す。具体的には、農家の経営改善を支援する養豚経営支援システム「Porker」などを提供している。
POL
POLは研究者版LinkedInとも言える「LabBase」産学連携を加速する研究者DBの「LabBase R&D」などを提供するスタートアップ。東大工学部生の加茂倫明氏と元ガリバー専務取締役の吉田行宏氏により2016年9月に共同創業。2017年4月にはBEENEXTなどから5000万円を調達した。ICC KYOTO 2018内で行なわれたスタートアップコンテストでは準優勝を受賞している。
すむたす
すむたすはAIを用いた不動産査定サービス「すむたす買取」を提供するスタートアップ。オンライン査定で買取価格を即座に表示し、マンション売却後、最短2日間で入金可能なシステムを構築した。2018年10月には500 Startups Japanなどから5000万円を調達している。テクノロジーで「住まいに価値を足す」新しい形の不動産会社を目指す。
HERP
HERPは求人媒体と連動した採用管理システムの「HERP ATS」などを提供するスタートアップ。企業と候補者を中心に添えた新しい採用のかたち「採用2.0」を実現することがミッションだという。HERPの庄田一郎氏はリクルートとエウレカで実際に採用現場に携わった人物。2017年12月にはエウレカ創業者の赤坂優氏などから数千万円規模の資金調達も行った。
アートローグ
アートローグは、芸術領域のメディア「ARTLOGUE」やeコマース事業、シンクタンク事業などを展開するスタートアップ。「文化芸術を守るためにも、活かし、誰もが、いつでも、どこからでもアートを楽しめる世界へ」をビジョンにしている。2018年6月にはマネックスグループCEOの松本大氏や森美術館館長の南條史生氏らエンジェル投資家から資金調達を行っている。
TechCrunch Tokyo 2018のイベントページには当日のフルプログラムも公開されているので、ご確認いただきたい。チケットをまだ購入していない皆さんは以下のページから購入可能だ。