岡山大学が本気の大学・地域改革へ、起業マインドを育てる「SiEED」プログラムを来春開講

写真左から、岡山大学・研究推進産学官連携機構医療系本部長の那須友保氏、岡山大学の槇野博史学長、ストライプインターナショナルの石川康晴社長、SiEEDエグゼクティブアドバイザーの外村 仁氏、SiEEDディレクターの山下哲也氏

国立大学法人岡山大学は12月6日、ストライプインターナショナルとともに、岡山から未来創造に向けた新たな学びの場を通して、新たなビジネスが創出されることを目指すプログラムを発表した。岡山大学内に「SiEED」(STRIPE & intra Entrepreneurship Empowerment and Development)」と呼ばれる全学対象の教養科目として講座を開設する。

ストライプインターナショナルとは?

ストライプインターナショナルは、岡山が拠点で創業25年のアパレルメーカー。石川康晴社長が23歳のときに4坪のセレクトショップとして起業。その後SPA(製造小売り)となり、最近はライフスタイル&テクノロジーにも力を入れている企業だ。

社名は知らなくても、earth music&ecologyやKoeなどのブランド名で知っている読者が多いかもしれない。同社はアパレルメーカーの枠を超えてさまざまな社会貢献に取り組んでおり、その一環として岡山で人を育てるために「SiEED」を岡山大学とともに立ち上げた。

SiEEDにおけるストライプインターナショナルの初期の役割は、主に資金協力。具体的には、国内外の起業家や投資家などを講座に招く際の費用などを負担するそうだ。石川社長は「数年間の活動資金としては20億円程度を用意しているが、SiEEDプログラムへの取り組みはその後も死ぬまでやる」と非常に力強いコメントを残した。

石川社長によると、SiEEDユースといった小中高校生を対象としたプログラムも考えており、大学だけでなく地域を巻き込んでの改革を進めていくとのこと。

SiEEDの具体的な取り組み

エグゼクティブアドバイザーとしてSiEEDに参加する外村 仁氏(Scrum Venturesパートナー、前エバーノートジャパン会長)は、「海外で生活していたときに地方に誇りを持って生いる人々と出会い、日本でも地方出身、地方で働くことを誇れる環境を作りたい」と意気込みを語った。ちなみに石川社長とは、ストライプインターナショナルが外村氏がパートナーを務めるScrum VenturesのLPになったことで知り合ったとのこと。

日本では過去にあった課題を素早く読み解く能力が必要とされてきたが、現在では未知の問題をどう解決するかが重要であるとし、そしてこれからは新規の問題設定力を養うのが大事になると外村氏。そのためには若いうちから「役に立っているという実感」が必要だと語った。SiEEDの具体的なスケジュールとしては、4月に基礎編、8月に応用編の講座を開講する。2019年春には岡山でカンファレンスを開く予定とのこと。

ディレクターとして参加する山下哲也氏(500 KOBEリエゾンオフィサー)によると、SiEEDは起業そのものを目指すプログラムではなく、起業家精神・発想法を学ぶ場にしたいとのこと。基礎プログラムでは、次世代に求められる思考習慣と新基礎概念、応用プログラムではイノベーションの鍵となる専門知識や応用実践手法を学べるという。講座はインターネットで無料公開され、誰でも視聴することができる点にも注目だ。

地方の大学や地域の課題

岡山大学の槇野博史学長は、東京に一極集中している現状を打破し、SiEEDプログラムによって岡山大学が得意な医療やロボティクスなど分野の強化も図っていきたいとのこと。現在、国立の岡山大学いえども、少子高齢化による学生数の減少が深刻な問題になっているそうだ。医学部は5倍超の倍率を維持しているものの、他学部の倍率は2倍強まで下がってきているとのこと。こういった状況を打破するためにもSiEEDプログラムなどを通じて、岡山大学の魅力を高めていきたいとのこと。

SiEEDの座長で、岡山大学で研究推進産学官連携機構医療系本部長を務める那須友保氏は、卒業生の県内の人気の就職先が県庁や市役所になってしまっている現状を変えたい、起業やスタートアップへの投資は岡山で他人事のように捉えている現状を打破したいとコメント。岡山大学としては、学生の起業・投資マインドを高めるのが第1の狙いだが、講座をネットで無料公開することで、大学の教職員はもちろん、県庁、市役所の職員などに学んでほしいと呼びかけた。

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TechCrunch Japan

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