Uberの株式公開は米・中国間の貿易戦争が打撃に

期待が先行していたUberの上場は、主として現在進行中の米国・中国間で繰り広げられている貿易戦争のために冴えないものとなった。

米政府は昨夜、2000億ドルぶんの中国製品に課す関税を10%から25%に引き上げるというドナルド・トランプ大統領の脅しを実行に移した。

その結果、株式市場はさらに反応し、投資家の冷淡な態度がUberのIPOを直撃した。同社の株価は公開価格の45ドルより低い42.54ドルで取引を開始した。

初値でのUberの時価総額は755億ドルでウォールストリートが昨年後半に予想した1200億ドルを下回ったが、それでも史上最大の株式公開の一つだ。Business Insiderが引用したDealogicの分析によると、Uberよりも大きい上場はFacebookの810億ドルと、なんとも巨額のAlibabaの1690億ドルだけだ。

当初少なくとも900億ドルの調達が予想されていたUberの歴史に刻まれる株式公開は、米国、そして中国という新興経済大国との間で展開されているこれまでにない貿易摩擦とは無関係だった。

関税の引き上げはビジネス機器を直撃するはずのものだった。しかし、洋服から家具、冷蔵庫、洗濯・乾燥機に至るまで400億ドルぶんのコンシューマー向け製品の価格に影響を与えそうだ。

トランプ大統領は、中国が貿易交渉の中で合意していた、とある譲歩を反故にした後に関税を上げた。主に米国は、中国が国有企業への補助を減らし、中国で操業している米国企業に対する規制を緩和するという文言を盛り込んだ文書を求めていた。

Uberの落胆するようなデビューは貿易戦争だけのせいではない。米国での目下のライバルLyftの株価は公開初日に79ドル近くまで上昇した後、急落した。直近では55ドルほどで取引されている。

昨日Lyftは公開企業として初めて決算を報告したが、7億7600万ドルの売上高に対し損失は11億4000万ドルだった。


Lyftが消費者向けの交通サービスに特化している一方で、Uberは消費者と事業所向けのロジスティックのオールインワン・ハブになろうとする試みの一環として貨物輸送や食事配達にも手を広げてきた。

事業の拡大はコストを伴う。Uberは2018年に113億ドルの売上高を計上したが、30億ドルの損失となった。実際、Uberは火の車だ。2018年末までの赤字額は80億ドル近くに達した、とMarketWatchは指摘している。

貿易戦争はトランプ交通ディストラプトのようだ。

イメージクレジット: Thomas Peter-Pool / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。