米国時間6月5日、 オンライン配車サービスのUberの終値は5%アップし、1株当たり45ドルとなった。5月10日にニューヨーク証券取引所に上場して以来、初めて売り出し価格を上回って取引されたことになる。
この値動きは、上場にあたってUber株を引き受けた証券会社がいっせいにポジティブな見通しを流し始めたことによる。インサイダー取引防止規定により、こうした証券会社は四半期終了前の4週間は意見の公表を禁じられていた。四半期決算の発表によってこの禁止が外れた証券会社はUber株について一斉に「買い」をシグナルした。
Uberは5月の上場で81億ドル(8800億円)を調達し、時価総額70億ドル(7600億円)前後を達成したものの、上場としては失敗だったと見る意見が強かった。上場初日の株価は売出し価格から大きくアップするのが普通なのに、売出し価格を下回って42ドルに下落したからだ。Uberは創立後10年間でベンチャーキャピタルから巨額の資金を調達しており、上場直前の会社評価額は72億ドル(7800億円)だった。
ただし上場後4週間の値動きは比較的安定しており、40ドルから43ドルの間を往復していた。
Uberについての最初の業績見通しは著名なアナリスト、Raymond James Financialのジャスティン・パターソン氏によるもので、Uber を「オフライン・アプリの時代のリーダー」として高く評価し、予想価格を50ドルに設定した。CNBCによれば、パターソンはこう述べている。
他の伝統的企業とは対照的に、Uberはデジタルアプリで人々のオフラインの行動に大きな変化をもたらしている。これには当初膨大な資金を必要とするが、長期的にみればこのコストは容認しうるものだ。
Uberが先週発表した初の四半期決算では、2019年第1四半期に31億ドルの収入があったが、10億ドルの損失を出していたことが判明した。この数字はおおむね予想どおりで、アナリストは1株あたり調整済み純損失は0.76ドルと計算した。UberのCEOであるダラ・コスロウシャヒ氏は四半期決算に対して次のようにコメントした。
今月始めに我々は株式上場という重要な一歩を踏み出した。今後は地域内の移動と配送のためのワンストップサービスを目指すというビジョンの実現に全力を挙げていく。第1四半期におけるユーザーのUber利用はすべての分野で予想を上回り、平均して1日あたり1700万回に上っている。粗収入を通年換算すると590億ドルに相当する。
画像:pencer Platt / Getty Images
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(翻訳:滑川海彦@Facebook)