Qualcomm、350ドルのToqでスマートウォッチ市場に参入

Qualcomm Toqの登場だ。350ドルのスマートウォッチは、来たる12月2日からQualcomm自身が販売する。この時計にはいくつか興味深い特徴があり、その一つはQualcomm独自の低消費電力画面、Mirasolで、直射日光の当たる場所でも読みやすい。スマートウォッチレースがいよいよ面白くなってきた。

Qualcommは、Toqの小画面でAndroidの通知を受けられるよう設計した。Samsung Galaxy Gearを思わせるこのデバイスは、少し大き目かもしれないがちょっと魅力的だ。接続できるのはAndroid端末のみで、Bespoke OSを塔載している。

スマートウォッチ市場は、最終的にiPodが支配する前のMP3プレーヤー市場と非常によく似ている。消費者向け電子機器市場のほぼすべてが、それぞれ独自の解釈をもって参入している。しかし、消費者がまだ状況を把握できていないのは、コンセプト自体が未完成なのが主な理由だ。Samsungのスマートウォッチは、言うなれば不自由なスマートフォンだし、Sonyは通知機能が中心で、Pebbleは基本機能を低価格で提供している。

スマートウォッチ市場は、市場をこじ開ける機種を必要としている。なぜスマートウォッチが必要かを消費者に訴えるデバイスだ。スマートウォッチ市場にはiPodが必要だ。そしてQualcommのToqはそうではなく、Qualcommもそれを知っている。

Qualcomm自身、Toqが大ヒットすることはないと思っている。一種の概念実証だろう。限定モデルであり、発売時点ではQualcomm自身からしか入手できない。つまるところQualcommは、小売店の棚でまともに戦うために必要な家庭電子機器の販売チャネルを持っていない。

Qualcommが家庭用電子機器に挑戦したのはこれが初めてではない。FLO TVを覚えているだろうか? おそらくノーだろう。テレビ番組を見るための小さなデバイスは本体価格が350ドルで、他に月間8.99ドルの料金が必要だった。3.5インチ画面とステレオスピーカーを内蔵し、予想通り、FLO TVは生き延びられなかった。Qualcommは購入者に端末代金を返金し、無線帯域を20億ドルでAT&Tに売却した(おそらくそれがQualcommの当初の目的だったのだろう)。

QualcommがToqについても似たような結末を予定している可能性は高い。もし、自社製スマートウォッチで十分な宣伝効果を得られれば、Mirasol画面やカスタムOSといった主要技術をライセンスあるいは売却する際有利になる。Qualcommは家庭用電子機器に深入りしようとは考えていない。そうするには賢明すぎる。

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(翻訳:Nob Takahashi)