Facebookが6年前にグラフ検索を公開したとき、その目的はユーザーが公開投稿の中からコンテンツを発見するためだった。それ以来この機能は多くのユーザーにとってはあまり目立たない存在だったが(最後の大きな発表は2014年のモバイル版公開のときだった)、オンラインで人権問題や戦争犯罪や人身売買の証拠を集める研究者や活動家にとって価値の高いツールとなった。しかし、そんな人たちの多くがグラフ検索機能を使えなくなったことを、ウェブメディアのViceが報じた。
グラフ検索ではユーザーがふつうの言葉(キーワードだけでなく、人が話すように書かれた文)で検索できるほか、検索結果を細かい条件でフィルターできる。たとえば、誰がページや写真にいいね!をつけたか、誰がある町を訪れたか、あるいは同じ時、同じ場所にほかの人と一緒にいたかなどを調べることができる。プライバシー問題が起きる可能性があることは明白だったが、グラフ検索は調査報道ウェブサイトのBellingcatにとってもイエメン・プロジェクトの重要な情報源として、サウジ主導によるイエメン空爆の報道に利用された。
ほかの調査団体はグラフ検索を使ってStalkScanのようなツールも開発したが、グラフ検索がなくなれば、サービスを中止するか非常に限定された機能で提供するしかない。ちなみに現在StalkScanのウェブサイトには以下の注意書きが掲載されている。
「6月6日現在、このツールでは自分のプロフィールしか検索できない。2年間にわたり2800万回以上のStalkScanセッションが利用されていたにもかかわらず、Facebookは突然グラフ検索を見えにくくした。例によって活動家やジャーナリストなどこのツールを正当な目的で使っていた人々に相談も連絡もなかった。薄気味悪いグラフ検索自身は今もあるが、前よりずっと利用しにくくなった。データは今もそこにあるので、自分でツールを使って確かめてみるとよい。
Facebookは、これまで以上に注意深いスタンスを試しているのかもしれない。今でもCambridge Analyticaのデータスキャンダルや今年発覚した数億人分のパスワードが平文保存されていた問題の後遺症が残っているのだろう。
Vice宛の声明でFacebook広報は、「Facebookで検索する人のほとんどはキーワードを利用している。それがグラフ検索で一部の機能を停止して、キーワード検索の改善に注力する理由の一つだ。当社は研究者らと密に協力して必要なツールを提供できるよう努めている」と語った。しかし、Viceの情報源の一人でFacebookの現社員だという人物は、「人を探したり(Bellingcatのように)何かを調べたりするために情報にアクセスできるようにすることと、それを防ごうとすることの間で、さまざまな衝突が社内外で起きている」と言っていた。
TechCrunchはFacebookに連絡を取り、追加情報を求めている。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook )