Apple (アップル)の CEOを務めるTim Cook(ティム・クック)氏は、先週末スタンフォード大学の卒業式で講演した。いつものモチベーションについての話に加えて、クック氏は他の巨大IT企業を遠慮がちとは言えない表現で攻撃した。シリコンバレーの荒涼とした光景を描いた彼は、数多くの間違いの責任はここにあると語った。
「今、私たちは内省すべきときに来ている。スタンフォードの卒業生とドロップアウトたちは、カフェインとコード、楽観主義と理想主義、あるいは確信と創造性などに支えられ、テクノロジーを利用して私たちの社会を再構築してきた」とクック氏は話した。
「しかし、最近の状況は素晴らしいとも、単純明快あるともいえなくなっていることには、みなさんも同意すると思う。あなたがたがここにいたわずか4年の間に、物事はまるで急カーブを切ったように変わった。危機が楽観主義を抑え込み、結果が理想主義に疑問を呈し、現実がやみくもな信仰を揺るがしている。
自らの発言を埋め合わせるかのように、クック氏はシリコンバレーで生まれた偉大な発明をいくつか挙げた。Hewlett Packardのオーディオ発振器からiPhone、ソーシャルメディア、ビデオシェアリングにSnapchatのストーリーまで。なお、YouTubeとFacebookの名前は直接には言及しなかった。
「しかし、最近この業界はイノベーションに対する品格のなさで知られるようになった。責任を負うことなく功績を主張できるという発想のことだ。今や毎日のようにデータ漏洩やプライバシー侵害が起こり、ヘイトスピーチやフェイクニュースが国民の会話を汚すのを誰もが見て見ぬふりをしている。一滴の血液が奇跡を生むという嘘も蔓延した」。
「こんなことを誰かが言わなくてはならないのは何かがおかしいと私は思っているが、カオス製造機を作った者は、カオスの責任から逃れることができない。責任を取るということは、ものごとを考え抜く勇気を持つという意味だ」とクック氏は後に付け加えた。
そしてクック氏は、彼が大切に思っているプライバシーへと話題を移した。「もし、我々の生活のあらゆるものが集められ、販売され、さらにはハックされて漏洩されることが当たり前になったり避けられないとみんなが考えるようになれば、我々はデータよりはるかに大きいものを失う。人間であることの自由を奪われることになる」と彼は言った。「デジタル監視」の萎縮効果は深刻でありあらゆるものに影響を与えるのです」。
たしかに、アップルのCEOとしては言いやすいことだ。この会社は今も売上の大部分をハードウェアが生んでいる。そしてアップルはさまざまなビジネス手法について批判される立場にもある。それでも、この話題に関してクック氏に同意せずにはいられない。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook )