スマホアプリと連動した置き配バッグ「OKIPPA」を展開するYperは6月24日、日本郵便が再配達の削減を目的としてOKIPPAを10万世帯に無料配布することを明らかにした。配布先は毎週1回抽選で決める予定で、本日から8月26日まで専用サイトで募集を行う。
これまでも何度か紹介しているOKIPPAは、手軽に置き配を利用できる“簡易的な宅配ボックス”のようなバッグだ。面倒な設置工事も不要で、玄関口に専用ロックで固定しておくだけ。普段は手のひらサイズに折りたためるので、限られたスペースでも簡単に宅配ボックス環境を構築することが可能だ。
専用ロックと内鍵が付属していて、宅配物を玄関口にダンボールのまま置く通常の置き配に比べて盗難のリスクを軽減できるのも特徴。プレミアムプランでは東京海上日動と共同開発した置き配保険も提供する。
バッグと連動したスマホアプリを併用すれば、荷物が預入されたタイミングでスマホに通知が届く仕組みだ。
OKIPPAは2018年9月中旬の発売開始から現在までに全国1万2千世帯以上で導入済み。昨年12月には日本郵便と共同で東京都杉並区の1000世帯にバッグを無料配布し、再配達率への影響を調査する実証実験を実施している。
結果はこちらの記事にて取り上げた通り、対象の世帯数や期間は限定的ではあるものの最大で再配達率を61%削減することに繋がった。今回の取り組みは、ユーザーの荷物待ちストレスや再配達ストレスを解消しつつ、配送員の負担も減らす仕組みとして「置き配」をより多くのユーザーに体験してもらう目的もあるようだ。
Yperによると本日OKIPPAが日本郵便から正式に荷物受け取り容器として公認されたとのこと。これまで宅配ボックスを利用する際に必要とされていた利用申請の提出が不要となり、OKIPPAを受け取った日から利用できるようになるという。
このことからも再配達率を削減するべく、日本郵便が本気で置き配を普及させようとしていると言えそうだ。
今回の日本郵便との取り組みは、OKIPPAを通じて置き配をスタンダードな選択肢とすることを目指しているYperにとっても大きい。同社の代表取締役を務める内山智晴氏は以前「100万個設置することが今年の目標」と話していたが、一気に10万個を配布することでその目標にも一歩近づく。
「厳密に各社の数字が公表されているわけではないので、あくまで業界内で聞いている範囲だが、設置数が10万個を超えてくると個人用の宅配boxとしては普及個数が国内トップクラスになる。OKIPPAを通じて置き配への抵抗やハードルを下げることで、(OKIPPA以外も含めて)簡易宅配boxをインフラとして広げていきたい」(内山氏)
Yperは2017年8月の創業。同社は昨年ニッセイ・キャピタルから5000万円、今年4月にも同じくニッセイ・キャピタルとみずほキャピタルから3.5億円の資金調達を実施している。