不正確な製品が違法なら, 国は健康測定器具のほとんどを取り締まるべきだ

ぼくがかつて腕につけていたBodyMediaのカロリー計は、ぼくの一日のカロリー燃焼量が3000カロリーだ、と言った。もしもそれがほんとなら、ぼくはLord Of The Ringsの次回作でGollumの役をもらえただろう。消費者向けの健康ガジェット(gadget, 小道具)の精度には幅がありすぎるし、FDAは先日、23andMeの家庭用DNA検査キットの販売を禁じたばかりだ。23andMeを規制するのなら、ヘルステック(health tech)産業に属する企業の大半も、規制すべきではないか。

FDAがおそれたのは、機器の不良によって異常と判定された場合でも、消費者が不必要な手術などに殺到してしまうことだ。とくに女性の場合は、乳がんに結びつく遺伝子特性が見つかった場合には、医師のアドバイスに逆らって乳房切除を求める者が多い。しかしその検査は、“偽陽性”がよくあるのだ。

23andMeは製品のユーザに、乳がんの懸念があればより正確な検査をしてもらうよう忠告しているが、しかしFDAは、いったん持ってしまった不安はより正確な検査によってもなかなか消えないことを、十分承知していたのだ。

23andMeの製品の欠陥については議論の余地があるだろうが、でもあれを欠陥製品として規制するのなら、もっと大量に出回っている歩数計や体重計、血液検査器、睡眠検査器なども規制の対象にすべきだ。

幅がありすぎる
少なくともぼくの体に関しては、一部のヘルストラッカー(health tracker, 健康検査機器)は不正確だ。BasisのウォッチとNikeのFuelBand、それにJawbone UPとBodyMediaとFitbitは毎日、ぼくのカロリー出力に関してばらばらな値を報告する。最大と最小の差が、1000カロリーを超える日もある(そのほかの機種でも、同じような違いがある)。

これらの、ばらばらな計測値を修正して把握したいので、まず、サンフランシスコのBreakaway Performanceへ行って、自分の代謝量を測ってもらった。その検査は、測定用のマスクをつけてトレッドミルの上を走り、肺から出る二酸化炭素の量からエネルギー出力を測る。この夏やってみたテストでは、Breakawayの検査で140カロリーとなる運動量に対して、各機器はこんな結果になった:

Jawbone UP: -13% (123カロリー)
Nike FuelBand: -8% (129カロリー)
Basis: -3% (136カロリー)

10カロリー前後の違いは大したことない、とお思いかもしれないが、丸一日の数千カロリーという値を測定するときには相当大きな違いになる。ダイエットの目標達成にも、影響してくるだろう。上のテストをした日の、一日のカロリー燃焼量はこうなった:

Jawbone UP: 2,072
Basis: 2,440
BodyMedia: 2,753
Fitbit: 2,408
*Nikeはエクササイズ時の燃焼カロリーしか測定しない。

二つの体脂肪計も、比較してみた

Fitness Wave(18.9%)
Withings Smart Body(22.8%)

〔訳注: 平常体重と水中体重の比率から求める測定方法。〕

男性の場合、4%程度の誤差は“ふつう”であり“妥当”だそうだ。ただし、肥満ではない人の場合。

もちろん、これだけのデータでは、どの製品が正しい/正しくない、なんて言えない。また、同じ製品でも人によって違うかもしれない。それに、たとえばサイクリングの場合は単純に距離を測定するから、UPやFuelBandやFitbitなどは、サンフランシスコの名物である坂道と、なめらかな競技用トラックを区別できない。ぼくはwalking desk(歩行エクササイズをしながら使用するデスク)を持っているが、これは、腕を振って歩いているときと、キーボードをタイプしているときでは違う値を出す。

ほんとうはもっとたくさんのデバイスを集めて、それらが出す歩数、カロリー、睡眠などの値を網羅的に比較したかったが、機種毎の仕様の違いがありすぎて、それはあきらめた。たとえば、毎分の値を教えてくれるのはBodyMediaとBasisだけだ。次世代型のデバイスも、近くテストをやってみたい。

というわけで、おすすめできる最良の機種は分からなかったけど、なにしろ人を誤解に導く製品が多いことは、確かだ。

規制するなら徹底的に
これら消費者製品メーカーの多くが、値がそれほど正確でないことをしぶしぶ認めた。Jawboneにぼくが経験した測定結果を伝えたら、広報は、“UPは全体的なライフスタイルに焦点を当てており、人びとがその日の主な活動の基準値を知ることのお手伝いをする”、と言った。社内でも、各製品の科学的な比較をやってみた、とは言わなかった。

23andMeも、BRCAテストについて、家族の履歴の中に乳がん罹患者が多いなら、本格的な‘臨床検査’をするよう、わざわざ反転高輝度文字で注記している:


【中略】

でも、FDAが、遺伝子テストの不良は人びとを不安に駆り立てるが、ダイエット用のヘルストラッカーなどは精度が雑でもよい、と考えているのなら、それは大きな間違いだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


投稿者:

TechCrunch Japan

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