「Facebookの白人至上主義対策は限定的」と監査チームが報告

米国自由人権協会ワシントン支部の前ディレクターLaura Murphy氏による、Facebook(フェイスブック)の市民権に関する取り組みを監査した2回目のレポートが発表された。レポートによると、過去6カ月、Facebookはヘイトや広告での差別対策の実施、きたる米国大統領選と2020年国勢調査での誤情報と隠蔽の防止に取り組んできた。

Facebook3月に白人至上主義を禁止するなど、こうした分野のいくつかの点で変更を行ったが、監査チームは「Facebookの政策はまだ限定的だ」と指摘している。というのもFacebookは露骨な表現や「白人ナショナリズム」「白人分離主義」といった言葉の支持や表記を完全に禁止しているが、テクニカル的にはそうした表現やイデオロギーの言及を禁止していないからだ。

「政策の限定的なスコープは、白人至上主義者という言葉を使うことなく白人至上主イデオロギーを明らかに支持するコンテンツを許容している」とレポートにある。「その結果、同じような害を引き起こすであろうコンテンツがプラットフォーム上に残ることになる」。

それゆえに、監査チームはたとえコンテンツが「白人ナショナリズム」「白人分離主義」という言葉をはっきりと使っていなくても、「実際にはそうした意味を表現している言葉や支持、白人至上主義イデオロギーの支持を表すコンテンツを禁止するよう、政策の適用拡大をFacebookに勧めている。

FacebookCOOSheryl Sandberg氏はメモの中でこの勧告を認めている。

「我々は政策を実行するために、白人ナショナリズムや白人分離主義に関係するヘイトスローガンやシンボルを特定することでこの問題に取り組んでいる」と彼女は書いている。

Sandberg氏はまた、人々を脅したり悩ませたりするイベントを組織するのにFacebookを使うことがないよう、Facebookがいかに政策をアップデートしたかについても触れている。

「政策を正しく実行することは解決策の一部にすぎない」とSandberg氏は言う。「我々はコンテンツの分析と、正しいコンテンツのみにするという点でさらに取り組みを進める必要がある」。

Sandberg氏は、Facebookが時々人種差別や差別についての啓発を意図したコンテンツを間違って分類してきた事実にも言及している。

Murphy氏はレポートの中で「定義と、プラットフォーム上でのヘイトスピーチ・ハラスメントの取り締まりは重要な分野だった。市民権コミュニティはまた、コンテンツの決定を構成する市民権の専門性の欠如が、軽んじられたコミュニティのユーザーに非常に異なる結果をもたらしている、と主張している」。

Facebookは、いまこれに取り組んでいる、と言う。Sandberg氏によると、取り組みのひとつが、ヘイトスピーチにフォーカスしたコンテンツレビュワーの配置だ。

「レビュワーがヘイトスピーチを専門とすることは、精度向上につながるであろう専門性の構築に貢献すると考えている」とSandberg氏は書いている。

加えてSandberg氏はFacebookでの市民権問題部隊を正式に発足させた。専門部隊はFacebook上での市民権問題に関して啓発を続けるために監査以上の業務を行う。

そして大統領選挙を控え、Facebookは投票者への干渉についての新たな対策に取り組んでいて、「投票しないで」広告を禁止する政策を加える。この政策は2019年の州選挙の前に導入される見込みだ。国勢調査に関しては、Facebookは今秋に導入を予定している干渉についての政策に取り組んでいる。

今年3月、FacebookACLUや他の団体と、差別的な仕事の広告に関して取り決めを行なった。その数日後、米住宅都市開発省が、Facebookは広告ターゲットツールで公正住宅取引法に違反している、とした。このケースはまだ未解決だ。

一方、Facebookは住宅、雇用、信用の広告を展開する米国の広告主が年齢や性別、人種、宗教、郵便番号でターゲットを絞ることができないようにする新たなシステムの開発を始めた。

このシステムが立ち上がる時は、ターゲットを絞るオプションは限定的となる見込みだ。加えて、FacebookACLUと他の団体との20193月の取り決めが反映されたものでなければ新たに契約はしない方針だ。

この新システムの実施に伴い、Facebookは広告に住宅、雇用、信用機会が含まれているかどうかを広告主に意思表示させる。もし含んでいるのなら広告主は新システムに案内される。Facebookはまた広告主が知らせなかった広告を特定するためのツールも導入する。

加えてFacebookは、ユーザーが広告の対象かどうかにかかわらず、ユーザーが展開されている住宅広告を広告主別やロケーション別で検索できるようになるツールにも取り組んでいる。これは今年末までに利用できるようになる見込みだ。そして将来は同じようなツールを雇用と信用機会でも提供する計画だ。

「住宅や雇用、信用機会へのアクセスがいかに重要かを考えた時、これは人々の暮らしに大きな影響を及ぼす」とMurphy氏はレポートに書いた。

この監査は、誤情報やFacebookの政策、非白人ユーザーに関して次から次にあったスキャンダルを受け、20185月に始まった。最初の6カ月でMurphy氏は問題を特定するために市民権団体にインタビューを行なった。そして後半の6カ月は主にコンテンツのモデレーションと実行にフォーカスした。市民権の監査は終了には程遠く、Facebookによると来年始めに次のアップデートがある。

イメージクレジット: BRENDAN SMIALOWSKI/AFP / Getty Images

 
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(翻訳:Mizoguchi)

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TechCrunch Japan

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