現地時間10月17日、中国のTikTokはインドで教育プログラムのサービスを開始した。TikTokはショートビデオアプリとして人気だが、世界最大のマーケットのひとつであるインドでコンテンツを増やし、地元当局にアピールしようとしている。TikTokの広報はTechCrunchに対し、このようなプログラムの導入は世界初だと述べた。
世界最大のスタートアップであるBytedanceが運営するTikTokは、インドで多くのコンテンツクリエイターや制作会社と連携して教育用ビデオのプラットフォームを作っていると語った。学校で学ぶ内容の科学や数学から新しい言語の習得まで、幅広いトピックの短いビデオがそろっている。心身の健康のヒントや啓発的な内容もある。
TikTokはインドで1カ月に2億人以上に利用されている。教育プログラムは「インドのデジタルコミュニティにおける学びの民主化」を目指しているとしている(TikTokの今年4月の月間アクティブユーザーは1億2000万人だった)。
Vedantu、Toppr、Made Easy、Gradeupといった教育テックのスタートアップが協力して、TikTok用の教育コンテンツを制作する。ソーシャル企業のJosh TalksやNudge Foundationとも連携してインド全体で5000人を指導する(こうした連携の一部は数カ月前に明らかにされていた)。Josh Talksの幹部は、TikTokでは2カ月足らずでほかのプラットフォームより多い3500万人以上にリーチすることができたと語る。
TikTokのセールス・提携担当ディレクターのSachin Sharma(サチン・シャルマ)氏は、教育分野への進出はユーザーの需要に応えるものだと言う。同氏はニューデリーでの記者会見で、世界的に見て教育ビデオは人気がありエンゲージメントが高いと語った。
シャルマ氏によれば、ここ数カ月で1000万本以上の教育ビデオが制作され、TikTokで共有されて480億ビュー以上を記録したという。同氏は、クリエイターとのパートナー契約に関する財務構造は明らかにしなかった。
低価格のデータ通信とAndroidデバイスの急増によりインドでモバイルビデオ視聴のブームが起きており、インド国内の教育テックの数も増えてオンラインでコンテンツを配信している。
学習アプリを提供している創業8年のスタートアップのByju’sは、ここ数年でカスタマーベースを大幅に増やしている。同社の評価額は57億5000万ドル(約6200億円)で、7月時点のユーザー数は3500万人だ。
教育コンテンツは広告主にとっても魅力がある。教育コンテンツはTikTokが効果的なマネタイズの方法を探るのに役立つだろうとアナリストは見ている。
eラーニングへの進出は、地元当局に対するTikTokのブランドイメージの向上にも役立つだろう。TikTokはこれまでに数回、インドで問題となっている。今年の4月には、ポルノなどの違法なコンテンツを公開し促進しているとしてインドの裁判所がTikTokを禁止した。この禁止措置はその後解除された。
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(翻訳:Kaori Koyama)