Uberは、オンデマンドのフードデリバリーアプリUber Eatsに新たにMomentsというタブを設け、料理教室や高級コース料理など、食にまつわる体験を販売する。「小規模のテストを現在サンフランシスコで展開している」とForbes(フォーブス)が報じた。
それによると、サンフランシスコのUber Eatsユーザーに11月17日までUber Momentsを予約できる、と電子メールで案内があった。手始めに予約できるのは、餃子作りクラス(75ドル)とナイジェリア料理ディナー5コース(55ドル)だ。
Forbesにパイロット事業について尋ねられたUberの広報は「我々は常にEatsの体験をより良いものにすることを考えている」と話した。
このテストは、Airbnbが過去3年間オンデマンドの宿泊予約プラットフォームに盛り込んで展開してきた「体験」のコンセプトに似ている。食に関する体験、そしてガイド付きのハイキングツアー、グランピング、動物との触れ合い、舞台芸術クラスなど、人々がやってみたいと思うあらゆることを網羅する数万もの「体験」を提供している。
配車サービス大手のUberが、空腹を素早く満たすのが使命であるフードデリバリーの部門に、手の込んだ食事を準備するレッスンという料理体験を持ってこようとしているのは奇妙に聞こえるかもしれない。しかし同社は、 CEOのDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏が先月「毎日の暮らしのためのオペレーティング・システム」と表現したものを構築しようとしている。
6月にTechCrunchは、ユーザーが毎日の決断を行いやすいよう、Uberが複数のサービスを1つのアプリに統合する計画を公表する前に、Eatsをメインアプリに盛り込むテストを開始したことを報じた。究極的にはUber Momentsは、Uberが展開する配車サービスからマイクロモビリティ、雇用、オンデマンド配達といったサービスの一環となる。
ちなみに、雇用もまたUberにとって関心のある分野だ、今月初めにUberはシカゴで派遣会社と提携してシフト業務ファインダーアプリを立ち上げた。同社はこのアプリを「すぐに他のエリアにも拡大する」ことを表明している。
そのほか、新たなサービスの立ち上げも大いにあり得る。しかしまずは現在展開しようとしているサービスを収益の上がるビジネスモデルにする必要がある。
もしUberが旅行に今後フォーカスしていくのなら、Uber MomentsがUber Stays、Uber Trips、Uber Coverなどを、オンデマンドのホームサービスに注力するのならUber Clean、Uber Care、Uber Fixなどを展開すると想像できる。
先月Uberは、計画している「なんでもアプリ」につながる新サービスを開発するためにインキュベーターを立ち上げた。アプリは「Uberが提供できる全てのサービスへのワンクリック・ゲートウェイ」になる、とコスロシャヒ氏は加えた。ただし、人々が欲しいと思うどういうサービスを提供できるかは今後明らかになる。
Uberの評判はこのところ低迷している。今年初めにいくつかのスキャンダルがあり、また乗客の安全に関する疑念は今も渦巻いていて、Uberが自社のカルチャーの改革や、消費者がUberを頼りたい、より利用したいと思うようなブランドにするための取り組みを十分に進めているかは不明だ。
もしUberの配車サービス事業で問題のあるドライバーをまだ排除できていないのなら、Uberが日々の暮らしにおける幅広いサービスを提供したとしても消費者がUberを信頼するとは考えにくい。
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(翻訳:Mizoguchi)