米トランプ大統領はNASAの2021年度予算を約3300億円増額提案へ

米国のドナルド・トランプ大統領は、会計年度の2021年に、NASAの予算として256億ドル(約2兆8000億円)を要求するつもりであると、米国時間2月7日にWSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)が報じた。これはNASAの会計年度2020年の予算の226億ドルよりも30億ドル(約3300億円)近い増額となる。この増えた資金の大部分は、新たな有人月面着陸船の開発に充てられると言われる。

これは、この数十年間にNASAの予算について提案された最大の増額となるもの。そして、米国時間2月4日の一般教書演説で表明された、NASAの活動に対するトランプ大統領の新たなコミットメントを反映したものと考えられる。トランプ氏は議会に対して、「アルテミスプログラムに十分な資金を注ぎ込んで、月に到達する次の男性と最初の女性が、アメリカ人の宇宙飛行士になることを確実にする」ことを求めた。

NASAの長官、ジム・ブリデンスティーン(Jim Bridenstine)氏は、2024年までに最初のアメリカ人女性と次のアメリカ人男性を月面に派遣する、という目標を頻繁に繰り返してきた。これは現状のアルテミス(Artemis)計画に沿った目標だ。ブリデンスティーン氏は以前に、2024年までに再び月に到着するのにかかる費用を、200億から300億ドル(約22000億円〜33000億円)の間と見積もっていると表明していた。しかし長官は昨年の暮に、下院歳出小委員会によって、NASAの会見年度2020年の最終段階での16億ドル(約1750億円)の追加予算の要求について糾弾されていた。

WSJはまた、2021年の予算計画の一環として、NASAは月着陸船への入札を募るつもりだと報告している。これは以前の、アルテミス計画用の打ち上げ機に対しての取り組みと同様のもの。NASAは、すでに認定されたベンダーリストにある多くの商業パートナーと協力して、ロボットの無人月着陸船ミッションに取り組んでいる。2021年から、月面に実験装置や物資を届けるためのものだ。

NASAは、アルテミス計画用の有人着陸システムに関して、業界からコメントを募るため、昨年7月に広く告知している。また続く8月にはそれを改定し、20199月には公式な提案の要請を公開した。NASAの宇宙飛行士を乗せる有人着陸船については、2社が選ばれることになっている。NASAによれば、2024年の着陸に向けて1社が着陸機を完成させている間に、もう1社は2025年のミッションの準備をする。そうした賞を競い合う会社としては、ボーイングのような伝統的な会社だけでなく、SpaceXやBlue Originなど、新規参入の会社も含まれているという。

トランプ政権としては米国時間2月10日に予算を提出する予定となっている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)