SXSWは、3月13日から22日にかけて米国テキサス州オースティンで開催される予定だったテックと音楽の祭典を新型コロナウイルス懸念のため中止すると正式に発表した。ただ、日程を変更しての開催を模索している。「先立って緊急事態を宣言したが、公衆衛生当局そして我々の衛生担当責任者の勧めに従ってSXSWを中止する命令を発出した」とオースティン市長Steve Adler(スティーブ・アドラー)氏は3月6日の記者会見で述べた。
SXSWは「市長の命令に従い、カンファレンスをキャンセルする」と説明している。「我々はイベントの日程変更を模索しており、SXSW EDUで始まる2020年のイベント参加者になるだけ早くバーチャルSXSWをオンラインで提供できるように努めている。登録済みの人、クライアント、参加者に可能な限り早く連絡を取り、FAQを公開する」。出席者やスポンサーが払い戻しを受けられるのかどうかは不明だ。
オースティン暫定保健局(Interim health authority)のMark Escott (マーク・エスコット)氏は、トラヴィス郡で新型コロナウイルス(COVID-19)感染のケースは確認されていないが、今回の中止は「嵐に見舞われるのに備えた、先を見越した措置」と話した。「SXSWに参加する人々はパネルやコンサートで互いに近い位置で長時間を過ごし、また登録している出席者は新型コロナウイルスにさらされている国内外から参加するため、SXSWの中止は正しい動きだ」エスコット氏は説明した。
今回のニュースの3日前には、アドラー氏が「現時点でSXSWの中止が安全確保につながるか、証拠はない」と発表するために記者会見を開いた。3月3日の時点でトラヴィス郡は新型コロナウイルス感染のケースはゼロだとしていた。
SXSWはテック、音楽、そしてテキサスの天候とビール、バーベキューを楽しみながら知り合いを増やすメディア業界が集まる場所として知られる。10年前は新しいソーシャルアプリを立ち上げるのにホットな場所だった。過去数年間はオタクっぽくも主流でもなくなり、SXSWは資金潤沢な企業が“クール”であることを示す場になっていた。
今年のカンファレンス中止を求める請願は5万4000人もの署名を集めた。起業家インフルエンサーのTim Ferris(ティム・フェリス)氏はアドラー氏にイベントの中止を求めた。SXSWは展示ブース購入者や出席者への払い戻しを拒んでいた。カンファレンスにフルにアクセスできるプラチナバッジは1550ドル(約16万円)する。
中止決定に先立ち、著名なスポンサーやスピーカー、パーティーオーガナイザーの多くが不参加を決め、カンファレンスは難しい状況に置かれていた。NetflixやApple、Amazon、Twitter、Facebook、LinkedIn、Google、Vevo、TikTok、Warner/HBO、そしてCNNなどはすべてイベントや製品発表、映画試写会、従業員による登壇をキャンセルしていた。
Google I/O、Facebook F8、GDC、Collisionトロント、MWC(モバイル・ワールド・コングレス)など、ほかの主要なテックカンファレンスの多くもすでに開催を中止したか、オンラインに移行した。マイアミのウルトラ・ミュージック・フェスティバル、そしてベルギーのトゥモローランドもキャンセルされた。Limeの会長、Joe Kraus(ジョー・クラウス)氏と筆者はSXSWでトークイオベントに出席する予定だったが、それもキャンセルとなった。
オースティンが受ける影響はかなり大きなものになりそうだ。SXSWは広大な敷地で開催される伝統的なフェスティバルではない。市内の何百もの場所でパネルやパーティー、コンサートなどが同時に開催される。特にミュージシャンにとっては日程調整による旅費はかなり高額で、またツアーのスケジュールはタイトだ。今回のキャンセルは収益面での負荷が大きく、日程再調整は難しい。何十万もの出席者の恩恵を受ける市内のバー、レストラン、小売店も売上に大きな打撃を受けることになりそうだ。
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(翻訳:Mizoguchi)