新型コロナの影響で減便・運航停止ラッシュの中でカタール航空は提供座席を1万席増

国内、国際航空便を飛ばす多くの航空会社が、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を受け、何千ものフライトをキャンセルしている一方、カタール航空は異なるアプローチをとっている。同航空は一部従業員の解雇を発表したものの、一部の路線でフライトを増やして提供する座席数を1万席増やした。

この輸送量の増加は、同航空のハブ空港があるドーハからパリ、パース、ダブリンへの臨時便運航、そしてフランクフルト、ロンドン・ヒースロー、パース便でのA380活用によるものだ。加えて、米国やアジアから欧州へのチャーター便も飛ばしている。

他の航空会社と異なり、カタール航空は米国を含む75都市へのフライトをまだ続けている。もっとも、各国が規制を強化する中で状況が急変しうることは認識している。

多くの点でカタール航空の決断は理解しにくい。中東における競合相手であるエミレーツ航空がほとんどの便の運航を取りやめ、米国の航空会社はいまやほんの一握りの国際便のみを運航しているといった状況を考えた時、特にそうだ。しかしカタール航空は、現在のミッションは「立ち往生している乗客を愛する家族や友人と再会させること」と主張する。同航空のデータがこれを裏付けている。「英国、フランス、ドイツへのフライトは提供座席の80%が売れたが、帰りの便の座席占有率はわずか36%だった。同航空は過去7日間で乗客10万人を運んだ」としている。

ここで見られる需要は明らかに自国に帰ろうとする乗客のものだ。そしてこの需要はおそらく長続きするものではなく、同航空もまた他の航空会社と同じく多くの路線の運航を取りやめることになる。しかし当面は上記のルートの多くでフライトをまだ提供する、数少ない航空会社の1つだ。これは同航空のドーハのハブがトランジット客向けにまだ営業しているために可能となっている。たとえば、エミレーツ航空とエティハド航空は飛行機を飛ばしたいはずだが、両航空会社のハブ空港は現在閉鎖され、シンガポールや香港といったメジャーなハブ空港は全トランジットを禁止している。

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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