Facebook監督委員会の正式立ち上げは2020年晩秋に、最も必要とされる大統領選の後

Facebook(フェイスブック)は、コンテンツやポリシーに関する難しい判断を補佐する機関として計画していた「監督委員会」の立ち上げを、秋の終わりごろに行うと発表した。それはつまり大統領選挙選挙後ということになるが、誰もが心配しているように、選挙こそがフェイスブックが自らを監督できないことが深刻な影響を及ぼすイベントだ。

取締役会はTwitterで「コンテンツに関するFacebookの決定に独立して監視することを開始する」と投稿していたが、当分の間、それができなくて残念だとしている。さらに「私たちは長期にわたって具体的な結果を生むような強力な機関を作ることに専念したい」と説明している。

それは大いに結構なことだが、多くの人にとって2018年の終わり頃から姿を見せ始めていた監督委員会の創設は、激戦とされる次期大統領選挙に備えることが目的だった。

公式に委員会が発表された際、本誌の同僚であるNatasha Lomas(ナターシャ・ロマス)氏は次のように説明している

この監督委員会は、Facebookが日々行っているコンテンツの適正化管理(モデレーション)の苦労の上に位置する。モデレーションは、密室の中で守秘義務契約を交わした人間によって行われ、アウトソーシングされた契約部隊が、一般ユーザーに代わって下水のように流れ続けるヘイトや嫌がらせや暴力に目を光らせている。これは問題解消のためのよく目に見えるメカニズムであり、口論を収めることができる(とFacebookでは期待している)。

しかし、すぐにわかるように、多くの人がFacebook上で最も危険なコンテンツと呼ぶ、短時間で拡散する誤情報と委員会は無関係だ。委員会が主に配慮するのはコンテンツの取り下げをめぐる論争であり、その対象となっているコンテンツそのものではない。多くの問題について、委員会の決定は単なる助言に過ぎないだろう。

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同社は、情報操作されたメディアや意図的な誤報、誤解を招く政治広告などに対して比較的放任主義な態度をとっており、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏をはじめとする幹部たちは、その態度を定期的に強化してきた。

Facebookの財布を狙った攻撃は、意外にも功を奏した。多くの大企業が、同社のポリシーに抗議するため、少なくとも一時的にフェイスブックから自分たちの広告を止める約束している。Coca-Cola(コカ・コーラ)、Ford(フォード)、 REI(レクリエーショナル・イクイップメント)、それにTechCrunchの親会社であるVerizon(ベライゾン)までもが、#StopHateforProfitにサインしている。同社は米国時間7月7日に、この活動の代表者たちと会ったが、予想どおりその結果は彼らの失望で終わった

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「本日は見るべき成果も、聞くべき言質も何もなかった」とAnti-Defamation League(名誉毀損防止同盟、ADL)のCEOであるJonathan Greenblatt(ジョナサン・グリーンブラット)氏は会談後に語った。Facebookはこの金銭的制裁が、真剣な対応するべき重大なものだと考えていないようだ。

約束されていた監督委員会立ち上げの遅れはまさに、ぎりぎりまで荷物を乗せたラクダの背に、たった1本の藁を載せるようなものだ。つまり、わずかであっても限度を超えると取り返しがつかなくなってしまうだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

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TechCrunch Japan

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