リアルタイム通訳・ビデオ会議のKudoが6.5億円調達、新型コロナが追い風に

2020年はSaaSが熱い。リモートワークを支えるツールも熱い。中でもビデオチャットに関連するものが今年ブレークしていることは多くの人が知っているところだ。この3つのトレンド要素を内包するKudo(クド)は、Felicis(フェリシス)がリードするラウンドで600万ドル(約6億5000万円)を調達した。

しかし、通訳と複数オーディオストリームのサポートが用意されているKudoのビデオチャット・会議ツールは、新型コロナウイルス(COVID-19)時代のためにつくられたものではなかった。始まりは2016年だ。なので、パンデミックやリモートワークブームが同社の成長をいかに加速させたのか(同社はニュースリリースで3500%成長と書いた)を語る前に、どのように現在に至ったのかについて取り上げよう。

プロダクトを証明するための苦難

TechCrunchは今週初め、Kudoの創業者でCEOのFardad Zabetian(ファルダド・ゼベティアン)氏に同社がどのようにして始まったのか話を聞いた。同氏によると、彼が言うところの分散したミーティングにサポート言語を加える必要を感じた後の2016年にKudoに取り組み始めた。

「インタラクティブな音声とビデオはリモート参加者のために500ミリ秒以下のレイテンシーで集められるか」という概念を証明した後、社を2017年に立ち上げた。さらに作業を進め、同社のプロダクトは2018年9月にマーケットに投入された。

その間、Kudoはエンジェル投資家や友達、家族から資金をかき集めたが、ゼベティアン氏によると合わせて100万ドル(約1億円)に満たなかったという。つまり、Kudoはたくさんの資金を使うことなく多くのことを成し遂げた。10年以上創業者らに話を聞いてきた筆者の経験では、それはいい兆候だ。

そうした取り組みは、新型コロナが世界を震撼させ、企業が出張を取りやめて代わりにビデオ会議ソリューションに頼らざるを得なくなった今年に報われた。現代ビジネスの世界的な性質を考えると、愛国主義者が欲しているものにかかわらずグローバリゼーションが事実であり、世界の会議における変化はKudoへの需要となって表れている。

Kudoの仕組みはこうだ。KudoはセルフのSaaSビデオ会議ソリューションを提供し、どの企業でも必要に応じて会議をサインアップできる。Kudoは通訳人材も抱えていて、もし顧客が必要とするならKudoは通訳者を会議にはりつけることが可能だ。もしくは、顧客が自分たちの通訳者を会議に連れて来ることもできる。

つまり、Kudoはオプションのサービスも提供するSaaSだ。ただ、ソフトウェアによるサービスが薄利であることを考えると、Kudoのサービス売上高をSaaS収入のヘルパーと考えるべきではないかと言いたい。言い換えると、Kudoの混ぜこぜになった粗利益への影響についてやきもきする必要はない。

ゼベティアン氏によると、顧客の4分の3が自前の通訳者を連れてくるが、4分の1がKudoの通訳者を雇う。

成長

前述したように、Kudoは2018年にマーケットに参入した。つまりパンデミックの前にソフトウェアをすでに販売していた。リード投資家のNiki Pezeshki(ニキ・ペゼシュキー)氏はTechCrunchに対し、Kudoは「パンデミック中に大きくステップアップした」が、新型コロナは「確かにKudoの成長を加速した。国境をまたいで移動したり、あれこれ準備しなくても複数言語による会議やミーティングを実際に開催することは可能だと顧客に示すことでKudoはマーケットにおける長期的シフトを可能にしていると考えている」と語った。Kudoは世界が向かおうとしていたところにすでにいて、パンデミックが成長を加速させただけのことだ。

ラウンドの規模をみれば追い風が吹いているのは明白だ。ゼベティアン氏は600万ドルではなく200万ドル(約2億円)を調達しようとしていたと述べた。差額の400万ドル(約4億5000万円)は、競争できるだけの資産を持つ企業であることを示している。

そしてKudoの成長は、キャッシュフローが数カ月間はポジティブであるなど財政上のメリットをもたらした。この創業年数とサイズのスタートアップではほとんど聞かれないことだ。しかしKudoは調達した600万ドルを使ってラインアイテムをネガティブにするつもりだ。同社は現在、セールスやマーケティング部門で30人を募集していて、今後数四半期内の採用を見込む。同社はこれらの部門にはこれまで投資していなかった(スタートアップがセールスやマーケティングにかなり支出することなしに長く活発に成長できるのは別のいい兆候だ)。短期的にはそれなりの出費となる。

以上がKudoと今回の資金調達についてだ。我々が次に知りたいのは2020年上半期の売上高が対前年でどれだけ成長したかだ。その数字を知っていたら書き込んでほしい。

画像クレジット: Alistair Berg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

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