米国の成人の大半はニュースをソーシャルメディアに頼っている

Pew Research(ピュー研究所)の最新のレポートは、ニュースの大半をソーシャルメディアプラットフォームで得ている米国の成人をより理解し、最近の出来事や政治情勢をどの程度理解しているのかをテレビやラジオ、ニュース出版物を情報ソースとしている人と比較しようという試みだ。同研究所によると、調査結果の最も注目すべき点は、ニュースをソーシャルメディアに頼っている人はニュースをさほど熱心に追いかけない傾向にあり、結果としていくつかの重要なテーマで情報不足となっていることだ。

これは、もちろん多くの人がすでに感じていることを裏付けている。それは、たとえば主にFacebook(フェイスブック)でニュースを得ている人はさほど情報が十分ではない、ということだ。

しかしピュー研究所がなぜこうした結論に至ったのかを理解し、データでは明確ではないが、そうしたプラットフォームにどの程度落ち度があるのかを議論することは重要だ。

ピュー研究所はまず、通常どのようにニュースを得ているかを人々に尋ねた。

おおよそ5人に1人(18%)が世間の動向を把握するためにソーシャルメディアを使っている、と答えた。この割合は、ローカルテレビ(16%)、ケーブルテレビ(16%)とほぼ同じだが、ニュースウェブサイトまたはアプリで直接チェックすると答え人(25%)より少なかった。他の13%はネットワークテレビと答え、新聞を読むと答えた人はわずか3%だった。

画像クレジット:Pew Research

はっきりさせておくと、自身がどれだけ何かをやっているかをユーザーに答えてもらう調査は、消費者が実際にやっていることについてのハードデータを集める調査ほど有益ではない。平たくいうと、ニュースの大半をテレビから得ていると考えている人たちは実際にはソーシャルメディアで費やしている時間を過小評価しているかもしれない。その逆もまた然りだ。

「主に」ソーシャルメディアニュースの消費者グループの8%だけが2020年米国大統領選の主要ニュースを「かなり熱心に」フォローしていると答えた。これに比べ、ケーブルテレビ視聴者では37%、印刷媒体を利用するユーザーは33%だった。ソーシャルメディアグループは、ローカルテレビグループ(11%)に近かった。

新型コロナウイルスに関しては、主にソーシャルメディアニュースに頼っている人のおおよそ4分の1(23%)が、新型コロナ(COVID-19)のニュースを「かなり熱心に」フォローしていると答えた。他のグループはまたしてもこのトピックに関する割合は高く、ケーブルテレビ利用者で50%、全国ネットワークテレビ利用者も50%、ニュースウェブサイト・アプリ利用者で44%、ローカルテレビ利用者で32%だった。

こうした結果に関連して、調査参加者はまた、トランプ大統領の弾劾や新型コロナパンデミックなどを含む最近のニューストピックに関する29種の事実ベースの質問を尋ねられた。こうしたトピックで最もスコアが低かったのは、ニュース源を主にソーシャルメディアに頼っていると答えた消費者だった。

基礎的な政治知識に関連する9つの質問では、ソーシャルメディアユーザーの17%のみが9つの質問で8つ正解という「高い政治知識」のスコアとなった。27%が「中程度の政治知識(6~7問正解)」、57%が「低い政治知識(正解は5問以下)」だった。「低い政治知識」割合が最も高かったのはローカルテレビのグループだった。

画像クレジット:Pew Research

一方、ニュースを主にウェブサイトやアプリから得ている人の45%が「高い政治知識」を有していた。ラジオでは42%、印刷出版物で41%、ケーブルテレビで35%、ネットワークテレビで29%だった。

ソーシャルメディアに頼るグループはまた、他のグループよりも陰謀論にさらされる傾向にあった。陰謀論とは、例えば新型コロナパンデミックは意図的に計画されたものだった、というような考え方だ。主にソーシャルメディアで情報を得ている人の4分の1近く(26%)が陰謀論について「かなり」見聞したと答え、81%が少なくとも「少しは」と答えた。この割合は他のニュースプラットフォームよりもかなり高く、陰謀論がいかにソーシャルメディアで多く拡散するかを示している。

画像クレジット:Pew Research

にもかかわらず、ソーシャルメディアを利用するグループは、作られたニュースの影響についてさほど心配していない、と答えた。おおよそ10人に4人の割合(37%)で、たとえば2020年大統領選に関する作られたニュースの影響について「かなり憂慮している」と答えた。これは、ローカルテレビ視聴者(35%)を除いて、他のグループよりも低い。ケーブルテレビ視聴者は58%と、最も憂慮していた。

おそらく最も心配なのは、そうした陰謀論が人々の心を支配するパワーだ。ソーシャルメディアニュース利用者の一部は新型コロナ陰謀論を認識していて、ソーシャルメディアで新型コロナ情報を頻繁に得ている44%が陰謀論のセオリーは少なくとも「おそらく正しい」と答えた。新型コロナ情報でさほどソーシャルメディアに頼っていない人では33%にとどまった。

画像クレジット:Pew Research

この調査ではまた同様の手法で、新型コロナ影響やそれに関する健康問題ニュースといったトピックについて、ソーシャルメディアニュース利用者の知識を他のソース利用者のものと比較した。そしてまたしても、ソーシャルメディアグループは知識の欠如を示した。

画像クレジット:Pew Research

今回の調査の結論はというと、ソーシャルメディアユーザーは情報を多く得ていないということだ。これはこうした特定のテーマに関してはかなり正確のようだ。しかし、結論が暗示するところ、少なくとも一部の人がこのレポートから得ることは、主要情報源としてソーシャルメディアに頼っているから情報が不足しているということだ。しかしこのデータからするに、それは必ずしも真実ではない。

そうした結論の問題の1つは、ソーシャルメディアの人口統計だ。ピュー研究所の踏査ではまた、ソーシャルメディアを主要ニュースソースとする人は若く、48%が18〜29才だ。彼らはまた受けた教育が高等ではない傾向にあり、カレッジを卒業している人は26%にとどまる。対照的に、ニュースウェブサイトを利用する人でカレッジ卒は47%、出版メディア利用者では49%だ。もちろん、高等教育の欠如は部分的にはソーシャルメディア利用者が若い世代に多いという事実と結びついている。

画像クレジット:Pew Research

これまでもそうだが、若い人は年配の人と同様には政治に関心持たない。また投票にも熱心ではない。彼らは大学や新たな仕事のために引っ越したり、あるいは投票する習慣がなかったり、そして往々にして有権者登録の期限を過ぎたりするため、地元の政治にさほどかかわらない。そもそも市民の義務について十分に教育を受けていなかったり、年配の人が受けてきた教育とはギャップがあったりするのかもしれない。若者の多くが政治から疎外されていると感じていたりする。

他のトピックに関しても、若い人は同様に距離を感じてさほどかかわらないのかもしれない。たとえば、多くの若年成人が新型コロナは年配の人にだけ影響を及ぼすと考えていつものような行動をとり、感染拡大に無頓着だ。

そうであれば、ニュースについての知識の欠如は使用しているプラットフォームのせいではなく、彼らの全般的な話題への関心や関わりの欠如のせいなのかもしれない。

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(翻訳:Mizoguchi