Benchmark(ベンチマーク)はかつて、シリコンバレーの典型的なベンチャー企業だった。小規模で、専門的で、創設者らに友好的でありながら同時にアグレッシブでもあった。4億5000万ドル(約477億円)の範囲内で次々と資金を調達し、常に同程度の資金規模を維持していた。
長年が経過し、世界は変わった。ベンチャービジネスの主要ブランドの多くが過去10年の間に巨額の資金調達を繰り返し、現在は数十億ドルを管理するようになった。彼らは現在、大規模な「才能あるチーム」を監督しているのである。
しかしBenchmarkは違った。1995年の設立当時とほぼ変わらず、ファンドをクローズするたびに同程度の比較的保守的な額の資本を調達している。一握りのジェネラルパートナーと各パートナーについたエグゼクティブ・アシスタントのみで運営し、プリンシパルもアソシエイトもいない。いまやBenchmarkは典型的なベンチャーキャピタルではなくなった。むしろ異例の存在となったのだ。
この企業の舵を取っているのは誰なのか。同社の全パートナーが、投資していた時期が90年代後半であっても10年前であっても、Benchmarkとの関係を維持しているようだが、現在最上級の位置にいるのはPeter Fenton(ピーター・フェントン)氏だ。Benchmarkで最も有名な投資家であるBill Gurley(ビル・ガーリー)氏が同社に参加してから21年。同社での積極的な役割から離れ、バトンを渡した相手がフェントン氏だ。2006年に33歳でAccel(アクセル)から引き抜かれたフェントン氏は、2018年にBenchmarkでの積極的な投資を辞めた同僚のMatt Cohler(マット・コーラー)氏やMitch Lasky(ミッチ・ラスキー)氏などの誰よりも長く同社での投資を続けている。
フェントン氏は、Benchmarkの現在のメンバーを確立させる際にも重要な役割を果たしている。ジェネラルパートナーのSarah Tavel(サラ・タベル)氏がまだGreylock(グレイロック)でパートナーだった頃に初めて連絡をとり引き抜いたのがフェントン氏だ。
最近同社に加わった2人のジェネラルパートナー、Eric Vishria(エリック・ヴィシャリア)氏とChetan Puttagunta(チェタン・パッタグンタ)氏を呼び寄せた背景にどの程度フェントン氏が関わっているのかは明らかではないが。しかし、実は公の場に登場するのが比較的珍しい同氏が今年のTechCrunch Disruptに登壇するため、直接話を聞くことができる。
フェントン氏と話せるのはとても楽しみだ。長い間トップVCと見なされてきたが、控えめで目立たない人物でもあるため、フェントン氏と幅広い議題について話し合う機会を心待ちにしていた。ベイエイリアからの人口流出が現地のスタートアップシーンに及ぼす影響や、回転資金制度に対する同氏の考え、BenchmarkがSPACを後援したり、さらには管理したりする可能性があるのかなどを話し合う予定だ(SPACの詳細については最近別の記事を寄稿している。またその後すぐ、ビル・ガーリー氏も、SPACが以前よりも理にかなうものになった理由について書いている)。
また、フェントン氏が今後Benchmarkを代表してより大きな役割を引き受けていくのか、という点も聞いてみたい。Uberへの早期投資だけでリミテッドパートナーに70億ドル(約7400億円)以上の利益をもたらしたと報告されていることもあり、同社の巨額の利益を考えるとそれは必要ではないのかもしれない。とは言え、BenchmarkやSequoia(セコイア)のような企業はこういった偉業を成し遂げるからこそトップに留まっているのである。
どちらにしても、今年のイベントでフェントン氏とのトークは見逃せない。同イベントはどの点をとっても素晴らしいプログラムになるように形作られている。Disrupt 2020は日本時間9月15日〜19日まで開催され、今年は100%バーチャルで行われる。Digital Pro Pass、またはDigital Startup Alley Exhibitor Packageを購入して、是非フェントン氏の講演中継を最前列でご覧いただきたい。
他の登壇者の情報など、イベント詳細は以下の特設ページで確認できる。なお、同ページを経由してチケットを購入すれば5%の割引が適用されるので、活用していただきたい。
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(翻訳:Dragonfly)