細胞ファイバ技術を用いた細胞大量培養ソリューションの開発を手がけるセルファイバは10月14日、シードラウンドにおいて、第三者割当増資として1.05億円の資金調達を実施したを発表した。引受先は、リアルテックホールディングス運営のリアルテックファンド3号投資事業有限責任組合(グローカルディープテックファンド)。
セルファイバではこれまでに、高生産細胞培養技術を構築。すでに小規模試験における技術評価を完了し、2020年10月より事業会社1社と共同開発を開始した。さらに2020年度内に異なる細胞種類・用途の共同開発の開始も予定しているという。
今回調達した資金は、主として実験環境の拡充に伴う設備投資、開発加速のための専門人材採用、研究開発に充てる予定。2020年10月より実験室面積を2倍に拡張し、間葉系幹細胞およびiPS細胞の培養技術について、実製造へと移行するためスケールアップ、加えて規制への適合に取り組む。
2015年4月設立のセルファイバは、ひも状の細胞塊を形成する世界初の技術「細胞ファイバ」をコア技術とする東京大学発スタートアップ。「『細胞をつかったものづくり』で地球規模の課題解決に貢献する」をミッションに掲げ、現在は主として細胞治療用途の細胞量産技術開発に取り組んでいる。
細胞医薬品はがん免疫治療などを中心に注目が集まる一方で、依然手作業に依存した製造工程が主流となっており、製造の合理化が喫緊の課題とされる。セルファイバは、ファイバ培養技術を用いて高額な細胞医薬品の製造コストの削減・大量製造を可能とし、誰もが手の届く細胞治療の実現を目指していく。
細胞ファイバ技術は、髪の毛ほどの細さの中空ハイドロゲルチューブ内に細胞を封入し、培養する技術。周囲のゲルが内部の細胞を保護しつつ過剰な凝集を防ぐため、従来の懸濁培養(フラスコやタンクを用いて細胞を培地に浮遊させた状態で培養する方法)では困難だった、高品質な細胞を高密度で培養する「高生産培養」を実現した。また、細胞の分離回収が容易なことから、自動培養装置と組み合わせることによって1ロットあたりの生産量を飛躍的に高めることが可能となる。