Aptive(アプティブ)とHyndai(ヒュンダイ)が自動運転車の商業化を目的に計40億ドル(約4165億円)を投資して設立した合弁会社Motional(モーショナル)は、完全無人の自動運転車両を公道で走らせる準備をしている。ネバダ州から走行許可を取得した。
同社の会長でCEOのKarl Iagnemma(カール・イアグンマ)氏は米国時間11月17日、安全ドライバーが乗り込まない自動運転車両のテストをネバダ州が許可した、とブログへの投稿で発表した。
といっても、そうした車両が明日からラスベガスの通りを走るわけではない。自身のAVスタートアップであるnuTonomy(ヌートノミー)が2017年にAptivによって買収されたイアグンマ氏はその後Motionalに移ったが、Motionalが今後数カ月を同氏がいうところの「自ら課した厳しいテストと評価の期間」の完了に費やすと話した。目下進行中のテストと評価の期間には、公道・私道での自動運転車両のパフォーマンス・安全の研究が含まれる。そうしたタイムラインに基づくと、ドライバーレス車両の公道でのテストは2021年初めに始まりそうだ。
イアグンマ氏はまた、Motionalが「世界で最も尊敬されている安全評価者」の1人と協業していることも明らかにした。その人物の名前は明かさなかったが、安全と評価の進展度合いについての詳細が数週間内に発表されるとTechCrunchに語った。
Motionalはラスベガスを多少は知っている。Aptiv Autonomous Mobility GroupとしてMotionalは、バックアップドライバーが運転席に乗り込んだ自動走行車両のテストをラスベガスで数年間行った。同社は2018年1月、CES期間中にロボタクシーサービスをテストするためにLyft(リフト)と1週間のプログラムを展開した。ドライバーが乗り込んでの一時的な実験は延長され、現在も展開されている。2020年2月時点で、LyftアプリのためのAptivの自動運転車両で10万回超の有料の乗車があった。
Aptivのラスベガスでの投資は乗車数が増えるにつれ拡大した。同社は2018年12月に自動運転車両、そしてソフトウェアとハードウェアのシステムのR&Dと認証、マッピングを行うエンジニアチームを収容するため、13万平方フィート(12万平方メートル)のテクニカルセンターを同市に開所した。
イアグンマ氏によると、完全ドライバーレスのテストは、ラスベガスにおけるLyftネットワーク上での同社の自動運転車両の展開とは別となる。
Motionalと命名されたヒュンダイとの合弁会社が、ラスベガスそしてピッツバーグなど米国内の他都市、そしてシンガポールや韓国など海外でも取り組みを進めている。目的は、左側走行や右側走行、炎天下、大雨、高速道路、街中の通り、環状交差点、制御されていない交差点などさまざまな国の道路環境でナビゲートできるAVテクノロジーを構築することだ、とイアグンマ氏は話す。
不明なのは、こうしたドライバーレスの車両がどこで展開され、いつ一般利用が可能になるのかということだ。もしMotionalが、ドライバーレスのサービスをフェニックスエリアで広く展開し始めたWaymo(ウェイモ)に続くのであれば、プロセスはゆっくりしたものになり、テストは数カ月続くことになりそうだ。
もう1つわからないのは、Motionalがドライバーレスのサービスを展開するのにLyftや他の企業と提携するかどうかだ。2020年10月、MotionalとオンデマンドシャトルのVia(ヴィア)は一般向けの共有ロボタクシーサービスを2021年上半期に米国の都市で立ち上げる計画を発表した。両社はその際、オンデマンド共有ロボタクシーサービスの「青写真」を描き、こうした車両がどのように大量輸送に組み込まれるかを理解することが目的だと述べた。Viaとの提携はまずセーフティドライバーが乗り込んだ車両で始まる。
提携とサービスについての詳細は乏しい。MotionalとViaはサービス展開都市を特定せず、 サービスを展開する地理的範囲、使用される車両の台数やタイプも明らかにしなかった。ただ、サービスはMotionalがすでに展開している米国の都市の1つで立ち上げられると述べた。つまりボストン、ピッツバーグ、ラスベガス、サンタモニカのいずれかになると考えられる。
関連記事:Via、現代自動車、Aptivが米国でロボタクシーサービスを2021年上半期に展開
カテゴリー:モビリティ
タグ:Motional、Aptiv、ヒュンダイ、自動運転
画像クレジット:Motional
[原文へ]
(翻訳:Mizoguchi)