Rocket Labが打ち上げ後のブースター回収に初成功!

ニュージーランドにも拠点を置くロケット打ち上げ会社であるRocket Lab(ロケット・ラボ)は米国時間11月20日、ペイロードを軌道に乗せた後にElectronのブースターを安全に落下させて回収し、再使用可能ロケットへの一歩を踏み出した。上の画像は、ブースターをパラシュートで安全に落下させている様子だ。

ロケットの第1段、つまり地上から宇宙までペイロードを運ぶブースターを再利用することで、打ち上げコストを大幅に削減できる可能性がある。数百万ドル(数億円)もの費用をかけて製造されるロケットは何十年もの間、再突入時に分解され放棄されてきた。

SpaceX(スペースX)は何度かの失敗の後、2015年にFalcon 9ロケットの回収を初めて成功させ、ドローン船に着陸(未訳記事)させた。使用済みの第1段は2017年に初めて再打ち上げられた(未訳記事)。

Rocket LabのPeter Beck(ピーター・ベック)CEOは2019年に、使用済みブースターを回収する独自の方法を試みると発表した。Falcon 9のような複雑な推進力で制御する着陸の代わりに、ブースターはパラシュートにより安全に降下し、着水前にヘリコプターで捕獲するというものだ。

画像クレジット:Rocket Lab

しかし今日のミッションでは、最初の試みとしては少し野心的すぎるとして、ヘリコプターのステップをスキップした。約30機の人工衛星と3Dプリントされたノーム(精霊の人形)を大気圏の端に投入した後、Electronのブースターは地球に戻り、約2時間後に着水した場所も確認された。

打ち上げ後に公開されたRocket Labのプレスリリースによると、ブースター降下と回収は計画どおりに実施された。

打ち上げの約2分半後、標準的なミッション手順に従ってElectronの第1段と第2段が高度約80kmで分離されました。Electronの第1段エンジンが停止すると、反応制御システムがブースターの向きを180度変え、再突入に最適な角度に調整し、地球に帰還する際の「壁」として知られる膨大な熱と圧力に耐えられるようにしました。小型パラシュートは降下中の第1段階の抗力を増加させ安定させるために展開され、その後に大きなメインパラシュートが最後の高度1km時点で展開されました。そして、第1段は計画通りに着水しました。Rocket Labの回収チームがブースターを同社の生産施設に送り返し、エンジニアがステージを点検して将来の回収ミッションに役立つデータを収集します。

「本日、チームが達成したElectronの第1段の回収は、決して離れ業というわけではありません。Rocket Labの多くのチームの多大な努力の結果、Electronを再使用可能なロケットにするための大きな一歩として、その成果を見ることができて興奮しています」とベック氏は語る。

打ち上げのリプレイは以下で見ることができる。

関連記事:Rocket Labが次に打ち上げるのは小型衛星30基とゲーム業界のレジェンドが搭乗料金を支払ったノーム人形

カテゴリー:宇宙
タグ:Rocket Labロケット人工衛星
画像クレジット:Rocket Lab

原文へ

(翻訳:塚本直樹 / Twitter

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。