F1公式ライセンス取得のブロックチェーンゲーム「F1 Delta Time」がイーサリアム手数料高騰問題解決へ

F1公式ライセンス取得のブロックチェーンゲーム「F1 Delta Time」がイーサリアム手数料高騰問題解決へ

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、過去1週間分について重要かつこれはという話題をピックアップしていく。今回は2021年2月14日~2月20日の情報から。

中国・香港拠点のゲーム開発会社Animoca Brands(アニモカブランド)は2月18日、Ethereum(イーサリアム)ブロックチェーンのレイヤー2ソリューション「Polygon」(ポリゴン。旧Matic Network)を提供するMatic Networkとのパートナーシップ契約を発表した

F1(フォーミュラ1)公式ライセンスを取得した同社開発中のブロックチェーンゲーム「F1 Delta Time」を皮切りに、Animoca BrandsのREVV TokenモータースポーツブロックチェーンのエコシステムをPolygonに対応させていく。

F1公式ライセンス取得のブロックチェーンゲーム「F1 Delta Time」がイーサリアム手数料高騰問題解決へ

F1 Delta Timeは、レースゲームの要素とコレクションゲームの要素を持つブロックチェーンゲーム。コレクション部分では、ERC-721準拠トークンのNFTとしてレースカー、トラック(レース場)、ドライバー、手袋、スーツ、ブーツ、ヘルメットなどを収集できる。NFTマーケットプレイスでの売買も可能。

またこれらNFTはレースゲーム部分で管理可能。一般的なレースゲームのようにレースカーをコントロールし遊べるようになっており、NFTの組み合わせなどがレース結果に影響する仕組みを備えている。例えば、NFTのひとつであるレース用タイヤは消耗品となっており、使用することで劣化する。レースを続けるには新しいタイヤを購入したり、タイヤを休息させたりなど、レースを盛り上げるための重要な要素として組み込まれている。

F1公式ライセンス取得のブロックチェーンゲーム「F1 Delta Time」がイーサリアム手数料高騰問題解決へ

Animoca Brandsは、今回のパートナーシップによりF1 Delta TimeをMatic Network提供のPolygonに対応させていく。Polygonは、Ethereumブロックチェーンのレイヤー2ソリューションにあたる仕組みで、高騰するEthereumのトランザクション手数料(GAS代)問題を解決する。また同社モータースポーツゲームの主要トークンREVV Tokenを使用したモータースポーツブロックチェーンゲームにも順次対応していく。

Ethereumブロックチェーン上のアプリケーションやERC-20準拠のトークンは、昨今のEthereum自体の価格上昇やDeFi(分散型金融)の普及によりトランザクション発行数が大幅に増加。トランザクション手数料(GAS代)が高騰していることから、そのアプリケーションの動作にも影響をおよぼすほどの問題となってきている。

これら問題を解決すべく、トランザクション発行時にGAS代を安価に実行できる技術としてEthereumのレイヤー2ソリューションやスケーリング技術が注目を集めており、そのひとつがMatic NetworkのPolygonとされている。

ステーキングできるレースカー

F1 Delta Timeでは、レースカーおよびレース出場に必要なNFTのセットを「クレート」と呼び、クレートセールとして販売が実施された。2020年2月25日から3月9日までの期間に開催された1stクレートセールでは、36万4000米ドル(3800万円相当)を売り上げたという。

クレートは、ERC-20準拠トークンとなっており、コモン、レア、エピック、レジェンダリーの4つのレアリティが存在する。各クレートには、ランダムで、レースカー、ドライバー、カーコンポーネント、ドライバーギア、タイヤなど5種類のNFTが入っており、ユーザーは、クレートを開けるか、他のユーザーに売るか、将来のために保管するかを選択できる。

またユーザーは、保有レースカーをF1 Delta Timeに一定期間預けることでステーキング報酬としてREVV Tokenを受け取れる。このステーキングでは、希少なレースカーほど報酬が高く、預ける期間も長いほどREVV Tokenを獲得しやすい。

一方ステーキングとして預けている期間、ユーザーはそのレースカーを使用できなくなる。ゲームとしては不思議な仕組みに見えるものの、レースカー自体の価値はREVV Tokenにあるため、保有暗号資産を取引所に預けてステーキング報酬を得ることと同等の仕組みとなるとしている。

F1公式ライセンス取得のブロックチェーンゲーム「F1 Delta Time」がイーサリアム手数料高騰問題解決へ

なお、これらトークンエコノミーによるレースの仕組みはホワイトペーパーで発表済みなのだが、現在開発中で一部の機能のみの実装にとどまっている。

このほか、レースカーをテストできるタイムトライアル機能は公開済みだが、グランプリなどのレース部分は、F1 Delta Timeフルリリース版により利用可能となる。

またREVV Tokenの取引なども開発中であり、未実装の部分ではEthereumを併用するなど、テストとして運営されている。

関連記事
スマートアプリがPolygon利用しNFTマーケット事業に向けイーサリアム手数料高騰問題に取り組む
ブロックチェーン活用し「唯一無二」のアニメ原画データなどを販売する「AniPic!」が4000万円調達
Enjin基盤ブロックチェーンゲームやARアバター生成アプリで共有できるデジタルファッションNFTが販売
湘南ベルマーレが国内初のプロサッカークラブトークン発行、クラブファンディング開始
原宿発アイドル「神宿」がアルバム発売記念にブロックチェーン利用のNFTデジタルコレクションカード発行
暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.8.2~8.8)
ブロックチェーンサービスのGaudiyとマンガアプリのコミックスマートがイーサリアム基盤の電子書籍事業を推進

カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:Animoca Brands(企業)Ethereum(製品・サービス)ブロックチェーン(用語)NFT(用語)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。