まずWeb Shufuさんの記事ですが、「コンテンツマーケティングが新しいSEO」という物言いが嘘であり、それを私がわかったままSEOの権威を守るためにあえて掲載している、というような指摘をいただきました(ざっくり&個人的視点すぎてゴメンナサイ)。記事全体の書かれている内容自体は同意できる点も多かったのですが、この記事タイトルが嘘である、という点について私の意見を述べさせていただきます。
記事の前段の説明によれば嘘の理由は「SEOはコンテンツマーケティングの手段であるから」、ということかと思いますが、もちろんそれはそうかと思いますが、SEOをずっと行ってきた人間からすると「コンテンツマーケティングはSEOの手段」でもあります。コンテンツマーケティングを昔から実践していた!と偉ぶるつもりはありませんが、サイトへの集客窓口を広げるためのコンテンツ提案やコンテンツ作りはSEOの作業範囲で過去も10年前からやっています。
あくまで私自身の考えですが、SEOは検索エンジン、コンテンツマーケティングはコンテンツを主軸に置いているだけで、基本マーケティング施策という意味では似たような話かとは思っています。検索エンジンじゃなくて検索ユーザーだろう、という話もありますがそういう面倒な議論は省きます。コンテンツマーケティングの定義はもっと拡い、SEOは集客だけで視点が狭い、という意見もありますが(その前提でWeb Shufuさんの記事も書かれていると思いますが)、SEOはSEOなりに集客だけでなくその後のコンバージョンや顧客育成、ブランディング等もそれなりに考えています。コンテンツマーケティングが言葉として話題になる以前は、SEOの範囲は集客に加えどこまでが含まれるのかという話がSEO界隈でよく議題になりましたし、実際、集客以降の施策を行っているSEO会社やSEO担当者も少なからずいるとは思います。
最も、現時点でもSEOは主に検索エンジン経由の集客のみをさす言葉ですし、どちらかというと普及以前に定義に関する議論がされているようなコンテンツマーケティングに比べるとマーケティング施策としての定義や体系化はきちんとされていません。本当は検索マーケティングの中核手法であり、立派に体系化できるマーケティング概念のはずなのですが、検索広告と分けて取り扱われていたり、SEOサービス会社も部分的手法の提供に従事し自らの範囲を狭めてきた点は否めませんし(反省)、特に日本では検索エンジンマーケティング(Search Engine Marketing / SEM)が検索広告とほぼ同一視されSEOと分けて考えられただけでなく(私は元々SEOというよりSEMを提唱していたのですが)、ネット広告市場の成長ドライバーだったので仕方ありませんが、検索広告部分のみ注目され、集客以降の施策は余り注力されてこなかったこともあり、Web Shufuさんのような批判が展開されるのは十分理解できます。
同時に、またこれも個人的な印象になってしまいますが、大規模事業者の場合はSEOを集客のみの1パーツとして扱う場合も多いですが、中小規模サイトなどではSEOからウェブマーケを始め、同じ担当者がそのままマーケ全般をやりきっている場合も多いと思いますし、ユーザーの検索行動調査から始まる全体のマーケ活動全てをSEO(検索マーケティング)で括ってしまっている場合もあると思います。その観点からいえばコンテンツマーケティングもその一部と考えることができなくはないのでは、と思っています。
私自身も自身が15年前、お金が無かった時にベンチャーを起こして検索エンジン経由で集客を始め成功したのが今の仕事のきっかけですし、SEOサービス以外にもウェブメディアやECサイトを運営していますが、それこそ企画の段階から常に検索ユーザーを意識してそこから最後まで考えていきますのでコンテンツマーケティング的なこと(&顧客育成的なこと&ブランディング的なこと諸々)もその過程で実施していますが、実際にやっていることはともかく全てSEO(正確に言うと検索マーケティングですが)起点で考えてしまっています。浅はかな奴といわれればそれまでですが、とりあえずどうにか各事業回っていますし個人的にはネットの検索行動自体が衰退するまではその路線で進めて今後も良いと思ってはいます。
元記事の筆者はその代表格のような人間で、B2Bのサービスサイトで長年ウェブマーケに取り組み、結果サイトの集客の大半を検索エンジン経由で獲得し、そこから多くの顧客を得続けているからこそ、検索エンジン経由の集客を最重視しており、それを実現するためのマーケティング施策をSEOと呼び、その手法として今後はコンテンツの活用が重要と考えており、そのままタイトルにした、という話かと思います。多少キャッチ―さは意識したかと思いますが、嘘をついているつもりはないと思いますし、私自身そのタイトルが嘘にも思えません。私はSEO屋ですから「SEOの権威を守るため」といわれても仕方ありませんが、元記事の筆者はウェブサービス運営会社の経営者ですし。そういう記事を掲載したのはお前だろ、といわれるかもしれませんが、記事の内容を読んでいただければ分かりますが、どちらかというとSEOよりコンテンツマーケティングを大絶賛している内容ですし。。。過去のSEOに頼り続けたければそもそもこんな記事は載せません 汗
2000年代検索マーケティング全盛時代からウェブマーケに取り組んできた事業者の中にはソーシャルメディアの活用や、コンテンツ等を活用した中期長期型の顧客育成や手法に対応できていない所も多くありますし、SEO Japanでもそんなサイトやウェブマーケッターさんを支援、そして私自身が勉強する意味でもSEO以外の幅広い記事を日々紹介しています。ただ元々紹介するソースにしても私のコメントにしても検索・SEOよりの視点になりがちなので、今回のご指摘は逆にありがたく読ませていただきました。
本来は、SEO/SEM側の人間が、コンテンツマーケティングやインバウンドマーケティングに対抗できるようなサーチマーケティング論や体系を構築・提示・実践していくべきなのでしょうが、現状、私のそこまでの覚悟も知力も体力もありません。批判は甘んじてお受けいたしますが、自分の価値を守るため嘘と知りつつ釣りタイトルの記事を掲載する奴と思われるのに耐えられなかったので 汗 私の考えを一筆書かせていただきました。所詮SEO屋の枠を抜け出せない奴。。。と思われればその通りかと思いますが、嘘で人を欺くつもりはなかったことはご理解いただきたく思います。Web Shufuさんはじめ、今後も皆様から様々なご意見いただければ嬉しく思います。
またこういう記事を書くと「コンテンツマーケティングとSEOの主導権争い」と思われそうで怖いのですが、そういう意図は一切ありません。その点に関しては結論からいうとどうでもいいですし、主導権なら喜んでお譲りいたします。パンダアップデートにしろ、最近のコンテンツマーケティングブームにしろ、皆さんに心配される程、ビジネスへの影響もありませんし、所詮その程度のレベルでやっていますので。私自身がSEOに長年取り組んできた人間ですし、このブログも名前通りSEO Japanですし、SEOに興味がある読者の方を想定してSEO起点に視点がなりがちというだけという話です。重要なのは「検索エンジンで検索しているユーザーの集客と顧客化」のみであり、SEO Japanではそれに効果がある手法は積極的に紹介しています。
結果、SEO Japanでも日本でコンテンツマーケティングという言葉が騒がれる前から見出しの書き方から記事のソーシャル拡散方法までコンテンツマーケティング系の記事を大量発信していますし、逆にリンク関連の記事やテクニカルなSEO手法の解説記事は最近は余り紹介していません。SEO屋がコンテンツマーケティングをPRしてどうする?という話もありますが、その点は特に余り気にしていません。そもそも私自身はコンテンツマーケティングは人に教えられたり、人や会社に代行させるものではなく、自らが日々のマーケティング活動の中で体感し、会得していくものだと思っており、その部分をビジネスにするつもりもありませんし、SEO Japanが基礎知識習得の参考になればそれで十分です。結果、私の会社のSEOサービスを利用しない会社さんも出てくるかもしれませんが、それはその会社さんの事業にも貢献できた&自身の「大人の余裕ブランディング」にプラスになったとむしろ喜びたいです。
私の会社も総合マーケティングサービスを手掛けられるにこしたことはありませんが、リソースも限界がありますし、ピンポイントでのサービス(インフォグラフィックやLPOなど)しか提供していません。このブログが直接的にビジネスに役立つことは多分他の業種特化型ブログに比べると少ないでしょうし、コンテンツマーケティング・インバウンドマーケティング的には正しくないアプローチな気もしますが(実際、趣味?のスタートアップ系の記事も多く会社の人にSEOの記事を増やして!と怒られることも多々あります)、まぁ多少なりとも会社のブランディングには役立っていますし(と、信じたい)、幅広い種類の記事も多少は最近話題のフィルターバブルを打ち破るきっかけにもなり良いのでは勝手に納得しています。何より、私自身が興味があることじゃないと長続きしませんし。経営者だから許される道楽ともいえますが、少なくとも今日食べた豪華ディナーの自慢をするよりは多少は価値のあることを提供できているのではと思いたいです。
ダラダラと長文かつ何故か最後は自虐的になってしまい恐縮ですが 汗 私の一意見ということでWeb Shufuさん始め皆様今後ともよろしくお願いいたします m(_ _)m — SEO Japan [G+]