過去数年における、Googleの品質と権威性の捉え方の変更は、今後のSEOの流れを大きく変更させるものである。Googleはアルゴリズムの改善を継続しながら、”品質評価者”への依存も強めている。
自動生成のコンテンツや手っ取り早いハック的な古い手法は、長期的で安定的なSEOの成功を約束するものではなくなっている。
”新鮮なコンテンツ”の名のもとに、ブログ記事を矢継ぎ早に作成するなどの手法は過去のものとなった。また、オンライン上で手に入る情報を(しかも、引用しているという告知なしに)再利用しただけのコンテンツに、効果的で安定的な結果を期待するという戦略は成り立たなくなっている。
こうした状況の中で成功するために、SEO担当者は、Googleがコンテンツに対する品質と権威性のルールを変更したという事実を学ばなければならない。また、自身のWebサイトが、ターゲットとする領域において権威があるとみなされるために必要なタスクも学ばなければならない。
Path Interavtiv社のSEOディレクターであるリリー・レイ氏は、権威性に関するGoogleのアップデートが、彼女のクライアントのサイトに対してどのような影響を与えたかについて、数ヶ月に及ぶ調査を行った。「1月30日にサンノゼで開催されるSMX Westにて、レイ氏は上記の調査結果に加え、この新しい時代を生き抜くためのアドバイスも共有してくれる」
私はリリー氏にインタビューを行い、我々が注力すべき領域はなにか?また、アルゴリズムの判断が前提であるものの、人による評価の介入も認められる昨今の状況において、SEOの成功をおさめるために必要になるものはなにか?などの質問を投げてみた。
過去数年間で、Webサイトが評価され、順位づけされる方法において、一番変化があったものはなにか?
2018年は、GoogleがWebページとドメインの品質と信頼性を分析する方法を大きく変更させた年であった。以前は、よく知られたランキング要素(タイトルタグや内部リンクの修正)を調整することで、SEOの成果は十分に認められていた。たとえ、そのWebサイトが特定の領域において権威とみなされていなくても、だ。
このような簡易的な内部最適化の手法は、もはや検索結果の最高順位を約束するものではなくなっている。特に、品質や信頼性が重視される領域においては。Googleは、コンテンツの作成者を含め、Webサイト自身の評判や信頼性を重視している。また、ページスピードやモバイル・ファースト・インデックスに関わる変更からも、ユーザー体験に大きな比重を置いていることがうかがえる。
アルゴリズムの変更により大きくトラフィックを落としたクライアントに対し、あなたはどのような対策をとるか?
クライアントのWebサイトがアルゴリズムの変更による影響を受けた場合、品質と信頼性に関わる、Webサイト内外の要因を調査する。影響を受けたページはどこか、サイト全体が影響を受けているのか、を確認するのだ。もちろん、E-A-T (expertise:専門性、authoritativeness:権威性、trustworthiness:信頼性)に課題はあるか、サイト全体の権威性が疑われているのか、なども確認する。また、影響を受けたページと、競合サイトのページとの比較も詳細に行う。情報量、引用数、ページ構成などが、検索クエリに対する答えとして十分であるのかを確認するのだ。
次に、“Site:”を使用し、自身のサイトの自然検索結果における状況を調査する。内容が薄い、重複している、品質が低い、などのコンテンツが多くインデックスされていれば、これらを統合したり削除したりすることで、大きな改善が見込めるためだ。また、(これはGoogleも推奨していることだが)コンテンツ作成者やWebサイト自体の評判も確認する。解決すべき、Webサイトの信頼に影響を与える外的要因が存在することもあるのだ。
Googleの品質評価ガイドラインは、どの程度参考にするべきか?
我々のSEOチームは2018年度版の品質評価ガイドラインのコピーを書棚においている。アルゴリズムの変更の影響を受けたWebサイトを分析する際や、Googleが定義しているコンテンツの”高品質”を再確認する際など、すぐに閲覧できるようにするためだ。もちろん、このガイドラインに書かれている内容の多くが、そのまま現状のランキング要素ではないことは、十分に理解している。それらは、Googleが検索アルゴリズムにいずれ組み込むことを目指している、長期的なマーケティング戦略であると、我々は認識している。
さらに、ここ数ヶ月のアルゴリズムの改良は著しく、人間が行うようにWebサイトの品質の分析が行われており、我々はそうした痕跡を十分に確認することができている。また、多くのSEO担当者にとっては明らかであることだが、現行のガイドラインの内容は、過去のSEOの手法が通用しなくなっていることを指し示している。つまり、キーワードの詰め込みや自動生成、新しいコンテンツの作成のみを目的とした品質の低いブログ記事の大量生産などは、将来に渡って良い結果を生み出す安定的な手段ではなくなっているのだ。
人工知能と機械学習は、ランキングアルゴリズムにどの程度の影響を与えているのか?
私は、過去数ヶ月のアルゴリズムの更新は、Googleが急速に進めている機械学習の進歩に依るものであると考えている。Googleのベン・ゴメス氏は品質評価ガイドラインを”我々が、検索アルゴリズムを向かわせたい場所”と述べている。また、ゴメス氏は、「品質において(少なくとも今のところは)人間が最良の判断を下すことができるし、それは今後も続くだろう」としながらも、「アルゴリズムが人間の判断のレベルに追いつくためにするべきことはまだ残っている」とも述べている。
機械学習はこのプロセスを、過去の例に無いほど急速に、また、安定的に進めることができる。しかし、検索結果の順位が大きく変動するたび(過去6ヶ月においては各アルゴリズムの更新後に急激に順位を上昇・下降させたサイトがあった)、それらは、アルゴリズムが何らかの指標を見落としており、まだ改良すべき点があることを指し示しているのだと思う。
今年になって起こる大きな変化は、どのようのものになるのか?
Webサイト自体、また、コンテンツの作成者の評判が注視されるのだと思う。特にYMYL(Your Money Or Your Life*)においては顕著であり、平凡なコンテンツや専門性に欠けたコンテンツが上位に表示されることは難しくなるだろう。2019年は、上位表示を叶えるために、これまで以上に時間と努力が必要になってくる。短期的なハックはもはや安定的な成功を約束するものではないからである。
※金融や医療など、誤った情報を与えてしまうことで、ユーザーの人生に大きな影響を与えかねない領域
検索結果における露出拡大に注力している個人や企業は、自身のオンライン上での評判に気を配るべきだ。そして、信用や信頼に影響のある施策は、なんだって行うべきだと思う。これには、顧客の意見を聞いたり、多くのプラットフォームで発せられている意見に対する対応などの施策も含まれている。もちろん、圧倒的なコールトゥアクションや広告を提供するという話ではない。なにか問題があったときに顧客が簡単に連絡をとれる機会を増やしたり、彼らからのフィードバックをオペレーションに反映させるなどといった施策だ。
これらを達成するまでには困難がつきまとうだろう。デジタルブランドは、長期的な自然検索結果における露出を確保するために、全精力をもって取り組まなければならない。人間による評価が重要であることは変わりないが、検索エンジンは人間が評価をするプロセスに急速に近づきつつあるのだ。
「上記以上にも、リリー氏やその他のエキスパートからアルゴリズム変更への対応についてのアドバイスをもらいたいならば、2019年1月30日-31日にサンノゼで開催される、SMX Westに、ぜひ、ご参加いただきたい。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「Machine vs. man: What really matters for SEO success」を翻訳した内容です。