2014年の1月、Googleのスパム対策を統括するマット・カッツ氏が、「ソーシャルシグナルは、検索結果のランク付けにインパクトを与えない」と動画の中で明言した。以前から、SEOの関係者は、インパクトを与えると仮定した取り組みを行っていた。本当にソーシャルシグナルが、検索ランキングに影響を与えないなら、今後、何をすればいいのだろうか?
今回の投稿では、ソーシャルシグナルが新たなSEOになる理由を説明していく。しかし、まずは、カッツ氏の発表を考慮して、私達が存在する新たなソーシャル/SEOのテリトリーについて説明していく必要がある。
それでは、ソーシャルメディアとSEOにおける変化を見ていこう。
その前に、ソーシャルシグナルに対するGoogleの矛盾したスタンスを、過去を振り返って簡単に紹介していく。
ソーシャルシグナルに対するGoogleのスタンス
まず、2010年5月、カッツ氏は、検索結果の要素として、アルゴリズムがソーシャルシグナルを利用していないと発言した。
続いて、同年10月、同氏は、アルゴリズムが、実はソーシャルシグナルを検索結果の要素として利用していると述べた。
そして、2014年の1月、カッツ氏は、検索結果における要素として、アルゴリズムは、ソーシャルシグナルを用いていないと告白した。
言うまでもなく、この一貫性のない姿勢によって、検索コミュニティで混乱が生じることになる。ここ数年、SEOの関係者は、カッツ氏本人の発言、つまり、ソーシャルシグナルが、アルゴリズムのランキングの要素だと仮定して、取り組みを行ってきた。
スタッツは、この仮定の正しさを証明しているように見えた。ソーシャルメディアの支持者が多ければ多いほど、SERPのパフォーマンスが良くなると思えるのだ。この証拠を参考にする限り、所謂「ソーシャルシグナル」が、SEOの主力であると考えられた。
しかし、今、ソーシャルシグナルは、格付けの要素ではなくなってしまったのだろうか?
もしそうなら、大勢のSEO関係者とソーシャルメディア担当者は、見当違いをしていたことになる。私達は、フォロワー、ファン、プラス、リツイート、そして、いいね!を増やして、SEOを改善するために、多額の資金と多くの時間を費やしてきた。
しかし、この取り組みは、SEOのメリットをもたらさないようだ。ソーシャルシグナルは、SEOにインパクトを与えない。
カッツ氏の発言を以下にそのまま掲載する:
FacebookのページとTwitterのページは、ウェブインデックスで、その他のページと同じように処理される。そのため、TwitterやFacebookで何かが起きた際に、Googleがクロールすることが出来るなら、検索結果に反映させられる。しかし、私の知る限り「Twitterのフォロワーの多さ、そして、Facebookのいいね!の多さ」を伝える特別な取り組みに関しては、Googleは、現時点では、ウェブ検索のランキングアルゴリズムにおいて、このようなシグナルを採用していない。
とりあえず、カッツ氏が正しいと仮定して話を進めることにする。
何をするべきなのか?
この情報を受けて、私達がするべきことが幾つかある。まずは、するべきではないことから伝えていく。
ソーシャルを無視する
この記事の最大のテーマは、ソーシャルが重要である点を伝えることだ。ソーシャルは新たなSEOだと言っても過言ではない。時間、労力、そして、マーケティングの資金を費やす上で、最も重要な取り組みの一つに数えられる。
私達が愛してやまないこの「シグナル」は、効果がないのかもしれない。「それがどうした?」と私は言いたい。ソーシャルは、宣伝、コンテンツ、配信、バイラル化、そして、シェアにおいて、今も有益なチャンネルであることに変わりはない。Googleが数多く抱えるアルゴリズムのランク付けの要素として登録されていないとしても、検索にとって重要な領域である。
ソーシャルを隅から隅まで把握するべきである。この点に関しては、後程詳しく説明させてもらう。とりあえずは、「頼むから、絶対にソーシャルを軽視するな」と声を大にして伝えておく。
「SEO」の考え方を変えてソーシャル検索エンジンを盛り込む
SEOは、Googleに対する最適化とほぼ同じ意味を持つ。SEOのアドバイス、上位のランキングを獲得するためのヒント、そして、SEOに関する指導を行う際、Googleは何を好むのか、Googleは何をするのか、Googleはどのようにクロールするのか、そして、なぜGoogleはこのような行動を取るのかが、話題の中心となる。
しかし、SEOには、ソーシャルメディアの検索エンジンで起きる検索も含まれることを、理解しなければならない。
検索エンジンはGoogleだけではない。Bingも、Yahoo!も、Askも、そして、AOLも検索エンジンである。 しかし、これらの検索エンジンが処理する検索の量は、Googleと比べると、取るに足らない。
以下に、典型的なトラフィックのソースを表す円グラフを掲載する:
この円グラフを見れば、Googleが検索エンジンのトラフィックの大半を占めていることは一目瞭然である。
このグラフには、あまり話題にならない意外な現実が隠れている。
それは、ソーシャルも検索エンジンに該当する点である。
ソーシャルのリファラーは、上の円グラフには盛り込まれていない。なぜなら、ソーシャルの検索ユーザーは、(追跡ツールを用意した)会社のウェブサイトではなく、会社のソーシャルページに到達するためだ。
ソーシャルネットワーク自体が、有効であり、尚且つ、幅広く利用される検索エンジンとしての役目を果たしているため、ソーシャルは新たなSEOだと言える。
これから、大きなソーシャル検索エンジン、そして、その機能を紹介していく。
YouTube
YouTubeは、Googleに続く、世界で2番目に大きい検索エンジンである。Googleは2006年にYouTubeを買収したが、YouTubeは、今でも異なる検索エンジンのアルゴリズムを持つ、異なるサイトとして存在している。 一秒当たり1140回の検索が、YouTubeでは行われている。
YouTubeでは、大量のコンテンツがインデックスされている。毎分100時間に相当する動画がアップロードされ、インターネットユーザーの50%がYouTubeにアクセスし、毎月60億時間もの動画が視聴され、月間ユニークビジターは10億に達していることを考慮すると、YouTubeを無視する方針は適切ではない。
そして、YouTubeは、ソーシャルメディアである。
YouTubeは動画共有サイトであり、共有するアクティビティが存在するため、ソーシャルに該当する。
YouTubeを利用していないなら、検索トラフィックの貴重なソースを見過ごしていることになる。トラフィックがホームページに到達しなくても、ソーシャルメディアでの存在感を強める効果はある。
その結果、多くのコンバージョンが寄せられ、ブランドアウェアネスが高まり、そして、従来のGoogleのSEOでは得られないソーシャルの成長をもたらす可能性がある。
Facebookは、高度な検索エンジンである。Facebookの検索エンジンは、Googleの検索エンジンと大きく異なる目的を持つ。Facebookは、コンテンツ、そして、個人および会社のアイデンティティの設定をインデックスするためだ。
Facebookの人物検索機能では、検索の設定を調整して、知り合いの可能性のあるユーザーを探すことが出来る:
これはユーザーの人間関係を直接活用するため、重要な検索情報の源になる:
また、具体的に絞り込むことが出来るため、自分が求めている結果を正確に反映させることが可能だ:
Facebookの検索バーは、あらゆるトピック、団体、個人、あるいは、アイデアで検索を実施することが出来る。毎日、大量の検索が行われており、利用方法を心得ている企業や事業に多くの的が絞られたリードを送り込んでいる。
これは全てGoogleとは関係がない。
Twitterも検索エンジンである。そのスケールはとてつもなく大きい。
Statisticbrainのレポートによると、2014年1月1日の時点で、Twitterの検索エンジンは、21億クエリ/日を処理していたようだ。これは驚くようなデータではない。検索エンジンのエキスパート達は、数年前からTwitterの検索スタッツに注目していた。
以下に、「google algorithm」をTwitterで検索した際の結果を掲載する。
1つ目の結果は広告である。このツイートは考慮しなくても良い。2つ目の結果では、Search Engine Roundtableでバリー・シュワルツ氏が投稿した「Top news story」が表示されている。これは最新のトピックであり、1時間前に投稿されたばかりであった。
この類の検索には、個人的に魅力を感じる。なぜなら、最新の結果を得ることが出来るためだ。さらに、絞り込みをかけることも可能だ:
それでも結果に満足できない場合は、「高度な検索」機能を用いる手もある。
これは、通常、Googleの結果には反映されないレベルの検索である。
それでも、検索エンジンが違うだけであり、検索エンジンを意識した最適化には変わりはない。また、毎日21億回の検索が行われているため、多くのトラフィックを獲得するポテンシャルを秘めている。
当然ながら、Twitterの検索で返される結果はTwitterのみである。Twitterの検索結果で上位にランクインするためには、次の取り組みを実施しなければならない:
- ホットなトピックをツイートで取り上げる。
- ハッシュタグを使ってツイートを投稿する。
- 定期的にツイートを投稿する。
Google+
Google+は、新たなソーシャルSEOにとって、恐らく、最高峰に位置するソーシャルネットワークだと言えるだろう。既にGoogle+は、既存のサークルのネットワークに属する人物、企業、団体、そして、グループに関して、パーソナライズされた検索結果を提供している。
パーソナライズされた結果に加えて、Googleのオーサーシップランキングも浸透している。Googleのオーサーシップは、Google+のネットワークを介して、ソーシャルと結びつきがあり、結果のランク付けと結果のクリックスルー率に既に大きな影響を与えている。
Google+は、検索への影響力を高め続け、「ソーシャルは新たなSEO」と言う指摘を裏付けていくのではないだろうか。
Googleはソーシャルページをクロール & インデックスする
つまり、フォロワーの人数は、アルゴリズムにとっては重要ではないのかもしれない。それでも、ソーシャルページのコンテンツは、インデックスされる。と言うことは、ソーシャルネットワークのページは、Googleに重要視されていることになる。
動画の中で、マット・カッツ氏は次のように発言していた:
FacebookのページとTwitterのページは、ウェブインデックスで、その他のページと同じように処理される。そのため、TwitterやFacebookで何かが起きた際に、Googleがクロールすることが出来るなら、検索結果に反映させられる。
若干、曖昧な表現である。「何かが起きた際に」と言うフレーズでは、何が起きるのか、そして、ソーシャルネットワーク上のどのようなページがインデックスされるのか分からない。
このレスポンスを基にして、私はカッツ氏の発言を次のように解釈した — 「Googleは一部のソーシャルページをクロールし、その結果の一部のみを返している」
自分自身で行った調査では、Googleは実際に個人のFacebookのページ、Twitterのアカウント、そして、LinkedInのページを検索結果に返していることが分かっている。 Facebookの場合、ページの特定のセクションを公開する設定にしている場合のみ、ユーザーのアカウントはSERPに表示される。
また、GoogleのSERPに関して言えば、会社のソーシャルページを用意することで、メリットが生まれる点も調査で明らかになった。強固で最適化されたソーシャルアカウントを持っている企業は、GoogleのSERPにソーシャルメディアのアカウントが掲載されることで、より大きな検索のメリットを得られる。
例えば、World Wildlife Fundの場合、クエリ「World Wildlife Fund」と「Wildlife Fund」で検索を行うと、Facebookのアカウントが1ページ目に掲載される。
Googleで「Quicksprout」を検索すると、このサイトのFacebookのアカウントとTwitterのアカウントがSERPの2番目と3番目に表示される。
これも毛色は異なるものの、SEOの一種である。
まとめ
SEOにおけるソーシャルメディアの役目を説明するカッツ氏の動画は、未来の検索結果には、ソーシャルの結果がより緊密に統合されるようになる可能性があると示唆している。ウェブは、どう考えても、極めてソーシャルな場所である。
ソーシャルネットワークのフォロワーの規模は関係ないのかもしれない。しかし、検索に関しては、ソーシャル世界の存在感は、とても重要度が高い。
アルゴリズムは、巧みなSEOの手法を駆使して、操作し、騙し、丸め込むことが出来るほど、単純でもなければ、精彩を欠いているわけでもない。今こそ、ソーシャルウェブの大きなインパクトを理解する必要がある。
ウェブは、データだけでなく、人物、組織、グループ、大義、アイデア、そして、人材によって構成されている。Appleによって音声検索(Siri)の普及が進み、そして、Googleがハミングバードアップデートを導入したことで、検索のスタイルおよびシンタックスでさえ、人間味、または、会話の要素(日本語)を持つようになった。
ソーシャルを軸とした新しいSEOの時代に向けて、ソーシャルネットワークで、活発に行動を続けることが肝要だ。ソーシャルに注意を払い、管理し、改善し、強化し、そして、この有益なリソースにつながる状態を維持するべきである。
ソーシャルメディアのSEOにおける役割について、皆さんの意見を聞かせてもらえると嬉しい。
この記事は、Quick Spourtに掲載された「Why Social Is the New SEO」を翻訳した内容です。