ネイティブ広告とは、配信媒体の編集基準にマッチし、尚且つ、オーディエンスの期待に沿う有償のコンテンツである。
BuzzFeedでのCaptain Morgan(酒造メーカー)のキャンペーン、とりわけ、「キャプテン、コマンダー、征服者について知らなかった15の事実」を思い浮かべてもらうと良いだろう。
まず、記事のテーマは、ブランドの価値 — Captain Morganは、実際に存在した海賊であり、冒険と荒々しい征服を生き甲斐にしていた — とマッチしている。そして、このテーマは、BuzzFeedの読者にとって、それほど異質ではない。
その上、この記事は、BuzzFeedの編集基準も満たしている — 大きな画像と短く、奇抜なコピー。これはBuzzFeedのオーディエンスが期待する形式である。
ここで重要なポイントを3つ挙げておく:
- コンテンツには明確に「BuzzFeedのパートナー」と記載されている。
- 何も販売されていない。コールトゥアクションは、「Captain MorganのYouTubeのページへのアクセス」であった。
- Captain MorganのBuzzFeedの作者ページは、同ブランドによって運営されている。
これは典型的なスポンサード、または、ブランデッドコンテンツである。ネイティブ広告の例をもう一つ見ていこう。次に紹介する広告は、随分昔の作品である。
今のうちて言っておくが、お腹が空いてしまうかもしれない。
ネイティブ広告としてのPR記事
デビッド・オグルヴィによる「The Guinness Guide to Oysters」は、古典的なPR記事だ。ちなみに、ブライアン・クラークが、数週間前にこの広告記事を検証していた。以下に大事なポイントを挙げていく:
- 関連する背景: 生活や食べ物に関する雑誌の中で、もしくは、パブやクラブでポスターとしてこの広告が掲載されていたはずだ(オグルヴィ& メイザーに連絡を取ったものの、誰も分からなかった)。
- 明確なコールトゥアクション: カキを食べるときは、Guinessを飲もう。カキを食べなくても、Guinessを飲もう。とにかくパブに行って、Guinessを飲もう。
このガイドは典型的なPR記事であり、Betty Crocker(ケーキミックスのメーカー)等の企業が、料理本の中で、製品を楽しむための便利な方法を紹介する取り組みと同じ働きをする。
要するに、消費者の想像力に火を付ければ、売り上げは増加するのだ。
もっと最近では、AtlanticでのIBMの取り組みや、サウスウェスト航空のThe Onion Labの動画等が例として挙げられる(下の動画を再生するか、ここで視聴してみよう)。
すべてのケースにおいて、コンテンツにブランドの宣伝が色濃く反映されている。
スポンサード/ブランデッドコンテンツ、そして、PR記事の後に続くのは、フィード内広告、コンテンツウィジェット、プロダクトプレースメント、そして、プロモーテッドポストとリスティングである。
また、ポール・キアーズも言っているように:
当然だが、料金を支払うブランドにとって適切であり、個性を維持する必要があるパブリッシャーにとって適切であり、そして、コンテンツに価値を見出さなければ没頭することはないオーディエンスにとって適切なコンテンツを作る能力に成功は左右される。
少し先走りしてしまったようだ。
Copybloggerが実施した「ネイティブ広告の現状調査 2014」
イントロの段階で、くどくどと説明したのは、ネイティブ広告の調査結果を公開する前に、実用的な定義を確立したかったためだ(この件に関しては以前約束した通りだ)。
その場しのぎでも構わないなら、Copybloggerのローレン・マンケがデザインしたシェア可能なポスターにざっと目を通すだけでも良い。
ポスターの下には、見解、そして、2088名の参加者の意見の一部を掲載していく。
サイトにポスターを埋め込む
次のコードをコピーし、ブログの記事やウェブページに貼り付けよう:
調査結果と参加者の言葉
まずは基本から。この調査では:
- 2080名を超える方々が参加した。
- 640点以上のコメントが寄せられた。
言うまでもないが、一番気に入ったコメントは、「ネイティブ広告って何なの?」であった。今なら、何だか説明することが出来るのではないだろうか — 348番さん。
1. ネイティブ広告が何だか分かりますか?
- いいえ、全く分かりません – 49%
- あまり分かりません – 24%
- 少し分かります – 24%
- 良く理解しています – 3%
参加者の半分近くが、ネイティブ広告について全く知識を持たず、また、48%は少ししか理解していないことが判明した。曖昧な広告モデルなのではないか、と言う疑いが、この問いの答えで証明されたことになる。
2. 次のうちネイティブ広告と考えられるのはどれですか?
- プロモツイート – 9%
- PR記事 – 16%
- ブランデッドコンテンツ – 14%
- 上の3つすべて – 23%
- 分かりません – 38%
正解は「上の3つすべて」である。
私自身は「プロモツイート」と「Facebookのスポンサードポスト」がネイティブ広告だとは考えていなかったものの(後ほどその理由を説明する)、リサーチによって複数のソースがこのモデルもネイティブ広告として扱っていたため、この問いを設けた。
3. ネイティブ広告に関して、どんな感情を持っていますか?
- 全く気にしていません – 25%
- 反対です。邪悪な取り組みだと思います。 – 3%
- 大好きです。 – 21%
- 疑っています。 – 51%
「全く気にしていません」と答えた25%の回答者は、ネイティブ広告が何だか分からなかった可能性が高い(Gravity Formsの条件機能を利用するべきであった)。
4. あなた(または、あなたの会社)はネイティブ広告に予算を用意していますか?
- はい – 9%
- いいえ – 91%
思った通りの結果であった。
5. 広告予算のうち幾らをネイティブ広告に当てていますか(毎月)?
- 0ドル – 100ドル – 91%
- 101ドル – 500ドル – 5%
- 501ドル – 2000ドル – 2%
- 2001ドル – 5000ドル – 1%未満
- 5000ドル以上 – 1%未満
意外にも、ネイティブ広告に毎月5000ドル以上を費やす参加者が16名もいた。この人達のことをもっと知りたくなった。
6. フリーランスとエージェンシーの方へ: 仕事のうち、ネイティブ広告は何%を占めていますか?
- 0% – 81%
- 少なくとも25% – 13%
- 少なくとも50% – 3.5%
- 少なくとも75% – 1.5%
- 100% – 1%
この問いの答えも予想通りであった。
7. ネイティブ広告を広告、または、サービスの選択肢として今後提供する可能性はありますか?
- 絶対に提供しません – 37%
- 恐らく提供しません – 22%
- もしかしたら提供するかもしれません – 30%
- 提供する可能性が高いです – 11%
ネイティブ広告を利用する人達よりも、しない人達の方が明らかに多い。しかし、11%の差は大きな差ではない — ネイティブ広告を深く理解していくと、このギャップは埋まるだろう。
8. ネイティブ広告を効果的に利用しているブランドを一つ挙げて下さい。よく名前が挙げられた10社のブランドを以下に掲載する。
- Amazon
- Apple
- Buzzfeed
- Coke
- Copyblogger
- Nike
- Red Bull
- Starbucks
- Target
- Virgin Mobile
特に意外な名前は出てこなかったが、コンテンツマーケティング全体をネイティブ広告と認識している人達が多少いるのではないかと、私は気になった。AmazonやStarbucksがネイティブ広告を利用しているとは、少なくとも私は認識していない。もちろん、私にも知らないことはある。
9. ネイティブ広告は読者を欺くと思いますか?
- はい – 39%
- いいえ – 61%
この問いに対して、「時々」や「たぶん」を答えに用意して欲しいとコメントした人達がいた。その通りであった。このような選択肢を用意していたら、どのような答えになっていたのだろうか?
10. New York Times等のメディアで、ブランドがコンテンツを作成したら、どの程度懸念しますか?
- まったく懸念しない – 33%
- ほとんど懸念しない – 18%
- 少し懸念する – 31%
- 大いに懸念する – 18%
参加者の一部もコメントしていたように、The New York Timesは既にネイティブ広告を利用している。ご指摘に感謝する。
結果がほぼ二分したため、興味を惹かれた。懸念しない派を合わせると51%になり、懸念する派は49%に達する。
BuzzFeedとは大きく異なる結果であった…
11. ブランドがBuzzFeed等のメディアでコンテンツを作成したら、どの程度懸念しますか?
- まったく懸念しない – 45%
- ほとんど懸念しない – 27%
- 少し懸念する – 22%
- 大いに懸念する – 6%
ある参加者は「既にBuzzFeedはブランドのコンテンツを提供しているのではありませんか?」と指摘していた。その通りだ。
否定的な意見(下の2つ)はたった28%だったが、肯定的な意見は72%に達していた。The New York Timesは真面目なジャーナリズムの媒体と見られ、一方、BuzzFeedは、全く毛色の違う媒体と見られているような気がした。
12. 企業や広告スポンサーがニュースを報道したら、どの程度懸念しますか?
- まったく懸念しない – 19%
- ほとんど懸念しない – 12%
- 少し懸念する – 25%
- 大いに懸念する – 44%
信じられない結果が出た — 参加者の半分近くが、大いに懸念すると答えていた。信じられない、と言ったのは、企業は既にニュースで報道を行っているからだ。あらゆるメディアが収益を得ている。メディアも企業である。
この調査に寄せられたコメントを幾つか紹介していく:
「最後の方の問いは、個人的には、特に重要だと思った。有償の広告をニュースのコンテンツや作成を混合することに、当初は懸念を持つべきだと考えていた。つまり、編集者と企業お抱えのライターを一つ屋根の下で生活させる方針(宗教と政治)には、反対であった。しかし、もともとニュースを信頼していない市民は多く、だからこそ、ネイティブ広告に懸念を持たない人が多いのではないだろうか。結局、コンテンツが面白く、役に立つなら、作成費を誰が支払ったかなど、わざわざ気にしない。」 No. 631
「新しいトレンドだとは思えない。良くてもPR記事、卑劣なものもある。宣伝戦略だと思う。」No. 15
「消費者が目にするコンテンツが、企業/ブランドによって作られたことが明確なら、ネイティブ広告がメディアに掲載されることに、特に問題があるとは思わない。うまく実施すれば、とても簡単に消費者とのつながりを築くことが出来るような気がする。緻密さが要求されそうだ。」No. 1417
「支持するスタンスに左右される。PR記事は、企業を宣伝する素晴らしい手段ではあるものの、経験上、私のようなライターは、トピックに関して何も知らない企業が、まるで権威のように思えるような記事を作ることが出来る。誤解を招く恐れがあるが、企業が成功するためには、欠かせないマーケティングツールである。しかし、結局、あまり前には進めない。成功は、宣伝ではなく、結果に現れるのだ。」 No. 1822
「編集済みのコンテンツとしてコンテンツを提示するものの、実はブランドによって作られているなら、その点が判明した際に、欺かれた気になる。」 No. 971
次の記事では、ネイティブ広告の定義を深く追求し、起源を探り、さらに、ネイティブ広告に対する土壌を整えた、3点の新しいディスラプション(破壊)について検証していく。
お楽しみに。
この調査結果に関して言いたいことがあるなら
皆さんの意見を是非聞かせてもらいたい。
「ネイティブ広告の現状調査 2014」に関する記事をブログで投稿し(目玉としてポスターを利用する手もある)、@copybloggerにリンクをツイートして、私達が目を通せるようにしてもらいたい。
また、Google+で議論に加わることも可能だ。
この記事は、Copybloggerに掲載された「Copyblogger’s 2014 State of Native Advertising Report」を翻訳した内容です。
米国で注目を集め出しているネイティブ広告ですが、まだまだ知らない人も業界内でも多数いる状況なようですね。ネイティブ広告の1種であるPR記事やタイアップ広告はジャーナリズムとメディアの境目が良くも悪くも緩い日本では米国以上に長年行われてきたことですが、その境界線が日本よりははるかに厳格な米国ではある種の気持ち悪さを感じる人も多いようですね。とはいえ、広告の新しい形として注目されていることには疑いがありませんし、普及も相当進んでいくと思われるだけに、今後の発展に注目していきたいです。 — SEO Japan [G+]