リーンスタートアップは、実験と学習がすべてだ。それは、アプローチにおいて客観的に率直かつ系統的になることが重要だ。それは、速く進む前にゆっくりと進むことが重要だ。それは、前進する前に後進することが重要だ。
一方、投資は、ストーリーテリングと大きなビジョンがすべてだ。それは、証明と、急激なカーブを描くけん引力が重要でもある。
では、資金調達をする時、どうやってこの2つのバランスを取るのか?
ここ数年で、リーンスタートアップの人気が出てきたため、多くのスタートアップが“私たちはリーンだ!”という信念を持って資金調達に向かった。1,2回ピボットして人気が出れば、シードキャピタルを調達した。リーンは、スタートアップと投資家にとって、会社を築くという厳しい現実に光を当てる新鮮な息吹だった(今もそうである)。投資家は、より厳密なアプローチを高く評価した;もっと現実的なものを売られているように感じたのだ…。
しかし、途中で悪いことが起きた。リーンスタートアップの効力が弱められ、ピボットの価値が下がったのだ。スタートアップは一切のビジョンもなく2,3日で現れた;しかし、リーンのドラムを叩いて、どちらにせよ資金調達に向かった。当然のことながら、リーンという言葉を繰り返し何回も聞くことに疲れた投資家の間で反動が増大した。私なら、“私たちはリーンスタートアップだ”と言って投資家に売り込むことはお勧めしない。それでは上手くいかないのだ。はっきり言って、それがこれまでに適切な戦略だったとは思わない。
重要なのは、最高のストーリーテリングおよび大きなビジョンと、爪の内側に泥のついた実践的な戦略および戦術を混合することにある。
説得力のあるストーリーを伝えて投資家の心を掴むことができなければ、あなたは彼らの注目を得られない。多くの創設者は生まれつきのストーリーテラーではないが、それはあなたが積極的に取り組まなければならないスキルなのだ。それが大きな違いを生む。優れたストーリーを鮮やかに描き出し、果てしないビジョンを表現すれば、投資家を引き込むチャンスはある。
同時に、ただ手を振り回して“こんな世界を想像して…”と力強く言って、彼らが食いつくのを期待することはできない。私はそれをすることのできる人を何人かは知っているが、大部分の人にはそれができないのだ。だからあなたは、戦略および戦術にまで詳細に触れ、あなたがどうやって自分のビジョンに向かって積極的かつ知的に実行するつもりなのかを投資家に示す必要がある。そこでリーンの出番だ。リーンスタートアップとリーンアナリティクスは、戦略と戦術が全てだ。それらは、どのように実行すべきかに関する実践的なガイドブックを私たちに与える。あなたは、最高の絵を描き、素晴らしいストーリーを紡ぎ、果てしないビジョンを共有し、そして、投資家に詳細を伝えることができる。彼らに、あなたが何を学んだのか、どのように実験しているのかを説明するのだ。そのアプローチについて自信を持って話し、それがあなた自身の想像だけに根差したものではないことを示すのだ。あなたのやっていることをしっかり固めるためにリーンの原則とアナリティクスを使用するのだ。あなたの描くビジョンとストーリーは、あなたが戦略的に実行し“終わらせる”能力を示す(リーンスタートアップとリーンアナリティクスを基本ガイドとして使って)時に、もっとリアルになるのだ。
成功する起業家は、夢を売ることができ、そして、それを実現するのが自分であることを投資家に示す/説得することができる(ここで実践的な“こと”が大きな役割を果たす)。それがストーリーテリングとリーンを混合するカギであり、回りまわって資金調達の効果的な手段としてリーンを利用するカギなのだ。
この記事は、Instigator Blogに掲載された「Lean Startup Versus Raising Capital」を翻訳した内容です。