SEOの主目的はオーガニックトラフィックの最大化と考えることができますが、せっかく集客に成功しても、望むべく行動を取ってくれるユーザーが少ないと、コンバージョンの達成には至りません。
CROは、ユーザー行動を改善しコンバージョンを増やす施策として、上記の問題を解決します。
多くのケースでは、コール・トゥ・アクションがコンバージョンに対し大きな役割を果たすこととなりますが、効果的なコール・トゥ・アクションとはどういったものでしょう?
今回の記事は、画一的な事例を紹介するのではなく、風変わりであるものの大きな効果を得られたコール・トゥ・アクションの事例を紹介する記事となります。
全ての例が導入できるわけではないとは思いますが、少しでも参考になれば幸いです。
ユーザーをCTAに向かわせるものは何か?
ボタンの色?
使われている言葉?
それとも、周辺のコンテキストだろうか?
疑いもなく、これらの要素は重要である。しかし、珍しいCTAは他よりも目立ち、コンバージョンにもつながるのだ。
結果を確実に保証するCTAの作り方などは存在しないが、それゆえ、つまらない例も珍しい例もうまくいくことがあるのだ。
通常、コンバージョンを向上させるためにA/Bテストをマーケターは行う。また、その過程において、CTA自体を変更することもある。
こうしたミクロな改善には、色、CTAで使われる言葉、ボタンの形などが含まれる。
配置については、全く別の話となる。
たった1つのボタンやフレーズに多くの可能性があり、その中で何が最も効果を発揮するかの判断は、マーケティング担当の経験則に基づいている。
時には、最も奇抜なCTAが勝者となることもあり、そこには理論や理由が存在しないこともある。
CTAを奇抜とする要素を理解するために、マーケターは通常の基準というものをまずは理解する必要がある。そのため、奇抜で素晴らしいCTAの話を始める前に、まずは通常のCTAの話をしよう。
CTAのベストプラクティスの心理学
人間の感情は、人間の行動の原動力なる。
これは、マーケターにとっての、最も強力な文化的事実である。
これを知ることで、自分がかかわることについてオーディエンスがどのように考えているかを理解する際、合理的に考えることが可能となる。
マーケターがこのプロセスを考えるために、下記の共感マップが非常に役立つ。
- 誰に共感するか?
- 何を行う必要があるか?
- 何を見ているか?
- 何を言っているか?
- 何を行っているか?
- 何を聞いているか?
ターゲットオーディエンスの希望、夢、恐れをマッピングすることで、CTAのコンテキストやコピー文で、マーケターはそれらに語り掛けることができる。
また、オーディエンスはそれぞれ異なっているが、人間として共通する行動原理がある。それらが、CTAに関連する共通の慣習につながるのだ。
例えば、隠れていたり、読みにくかったり、理解しにくいボタンを作成することに意味はない。
簡潔な言葉を使い、明確な期待をユーザーに与えることが、CTAにおいては重要である。
この組み合わせは、ユーザーが感じている恐れや摩擦を、彼らが実際にアクションをする前に、軽減させることができる。
他の一般的なアドバイスと共に、こうしたアドバイスはWeb上のいたるところで見つけることができる。
- 簡潔に
- 緊急性を付与する
- 逆説的な心理学を活用する
- パーソナル化
- 対照的な色を使用したボタン
これらのテクニックが有効な理由は、それらが人間の心理学的な要素に働きかけるからである。簡潔であり、明るく対照的な色のボタンを使用することで、そこで求められている行動をさっと目を通すことだけで理解できる。
緊急性と逆説的な心理学は、潜在顧客が持つ見逃すことへの恐れ(FOMO)に働きかける。また、パーソナル化により、ユーザーが行動を起こすために必要な情報を与えることができる。
こうした原則を実践するために、言葉と色について考えてみよう。
言語
説得力のあるCTA作成という意味では、簡潔であることは、つまらないことではない。マーケターは短いフレーズでオーディエンスの注意を引き、行動を促さなければならない。
効果的ではないが、完結的な表現の例は下記のようなものである。
- ここをクリック
- 送信する
- ダウンロード
これらのフレーズは平凡であり、読者とのつながりを生むものでもない。
あまり多くの言葉を追加せずに、これらのフレーズを感情を呼び起こすCTAに変化させることができる。
下記は、簡潔であるものの、つまらなさとは程遠いCTAの例である。
- もっとください!(Give Me More)
- 楽しもう!(Join the Fun)
- 今すぐ見て!(Watch Right Now)
他国のマーケットで訴求するCTAを作成しているマーケターは、文字数を少なくすることに苦労しているだろう。その場合、遊び心のある言葉を使えば良い。
フランス語の“Allez-y”は、英語では“Go Ahead(さあ、どうぞ)”と訳されますが、あらゆるベストプラクティスを駆使し、親しみやすく、ありきたりでないCTAを作成することもできる。
逆説的な心理学を活用したCTAを作成することで、FOMOの潜在性を活用し、エンゲージメントを高めることも可能だ。
FOMOを活用したCTAのテクニックは、ユーザーに対し、望ましい行動、もしくは、良いとは言えない行動のどちらかの選択をさせることで機能する。これは、ユーザーの恐怖心を活用したものである。
反対のアクションがCTAの下部で強く強調されておらず、ウィンドウを閉じるための「×」ボタンの表示もなく、その結果、ユーザーはここでコンバージョンをしないと「見逃してしまう」という恐れを抱く。
この方法以外にも、パーソナル化と呼ばれる別のベストプラクティスを活用することもできる。
HubSpot社は、購買ファネルの各ポジションに応じたスマートCTAを作成することで、コンバージョンを200%以上増加させた。
彼らが行ったことは、Webサイトに訪れたユーザーの種類に応じて、CTAの言語や色を変えるというものであった。
これらのCTAはそれぞれ全くの別ものであったが、同じWebサイトに訪れた異なるユーザーに対し、どちらも効果的であった。
こうした情報を得ずにデータを収集した場合、トラフィックの一部しか対応していないという可能性が生じてしまう。
マーケターはファネルの上部や下部を無視することはできない。ファネルの全ての段階のユーザーに対して効果的なマーケティングページを作成するために、パーソナル化という手法が必要となるのだ。
色
HubSpot社は、上記の例で挙げた、購買ファネルの異なるポジションにいるユーザーごとに、異なる色を使用していたことは、非常に興味深い。
事実、黒と灰色が使用されたリード目的のCTAは、CTAの愛好家が推奨するものではない。
黒、灰色、茶色は、最も人気が低く、もしくは、CTAにおける最悪の色とされているが、それでもなお、HubSpot社は多くの種類の色をテストしていた。
実際にパフォーマンスの高いCTAを見てみると、色彩の心理学が思い浮かぶ。
道路から職場に至るまで、赤は停止や警告を連想する色である。
こうした色は、ユーザーにコール・トゥ・アクションを促すような、温かく柔らかな印象を与える色ではない。
しかし、200の広告を対象とした、過去に行われたグローバルな調査では、赤がCTAで使用される色の中で、最も人気のある色であった。
この調査は古い調査あるが、赤を用いたCTAは現在でもよく見かける。
この調査は至る所で引用されているが、この限られた調査が普及していることが、将来の赤のCTAにどのような影響を与えるかは非常に興味深い。
この研究を引用した素らしいビジュアルを紹介しよう。
これは、ブランドのロゴでよく使われている色と、それらが引き起こす感情が一致していることから見ても、偶然ではないと言えるだろう。
繰り返しとなるが、赤は摩擦を引き起こす色ではなく、興奮を引き起こす色として認識されている。
しかし、色彩の心理学に反することは珍しいことではない。多くの場合、企業が行うブランディングと合致していれば問題ないからである。
では、ここまでで紹介したベストプラクティスと心理学を念頭に置いたうえで、珍しいCTAの要因となるものを探っていこう。
奇抜なCTAの良い点
CTAの世界において、赤は停止や進行を意味する色ではない。おそらく、赤が効果的であるのは、単純に赤が目立つからであろう。
インターネットは広告であふれており、分別の無いバナーが蔓延している。
目立つことが、この状況を打破する鍵であり、奇抜なものが有効となるのだ。
ベストプラクティスの例を見て学んだことは、理屈や理由がCTAの成功の鍵となるわけではないということだ。ベストプラクティスがあるとはいえ、1人のオーディエンスに対して有効なものが、別のユーザーに対しても有効であるとは限らないのである。
マーケターは、他よりも目立たせるために、敢えて逆の行為をすることがある。
下記の例や、Convince and Convert社の例のように、多くの言葉を使用したCTAがそれにあたる。
また、特定の行動ではなく、潜在顧客の不安に注力することもある。
信頼と自信が金融業界では全てであることを理解しているため、下記の広告の作成者は、オーディエンスに信頼感を与えることを重視している。
これは奇抜なCTAと言えるが、決して不適切なCTAでもない。
時代の流れに逆らうことは、どんな手を使っても目立つ広告を作るということではない。
奇抜で、目立つCTAであっても、オーディエンスの心に訴えかけるCTAを作成することもできる。
それらは、ベストプラクティスと呼ばれる項目の全てを満たしているわけではないが、それでもなお、効果を得ることはできる(この記事に表示されている広告をスクロールすると、目を引く広告を発見できるかもしれない)。
下記に、私のお気に入りのCTAの例をその理由と併せて記載する。
1. Huemor
情報収集者:HubSpot
効果的である理由:
Webサイトを訪問し、「起動」というCTAに「押さないでください」というメッセージが添えられていたら、あなたはどうするだろう?きっと、押したくてたまらなくなるはずだ。この無害で逆説的な心理学を利用した試みは非常に遊び心があり、Huemorのブランドメッセージとも合致するものだ。
2. Firebox
情報収集者:econsultancy
効果的である理由:
「急ごう」や「さあ、行こう」という意味を持つスペイン語のこのフレーズは、休日をテーマとしたプロダクトのカテゴリーと上手く調和しており、遊び心と共にやる気を呼び起こすことで、ユーザーのクリックを促している。
3. Point Blank SEO
情報収集者:Wordstream
効果的である理由:
退屈な「サインアップ」や、最悪な「送信する」ボタンではなく、Point Blank SEOはニュースレターにサインアップすることを楽しく、コミカルに表現している。結局のところ、「素晴らしくある(Be Awesome)」ことを望まない人などいないのだから。
4. Whale and Dolphin Conservation
情報収集者:Campaign Monitor
効果的である理由:
読者の感情に働きかけ、彼らが自身の信念のために行動を起こすように仕向けている。このCTAをクリックすることは、CTAの上部に表示されている統計データに対し、誓いを立てるということになるからだ。
5. Humboldt County’s Tourism Website
情報収集者:HubSpot
効果的である理由:
映像が持つ神秘性を強化し、あたかもおとぎ話の世界に迷い込んだような気分を与えてくれる。
そして、私が最近見た最もお気に入りの風変わりなCTAが下記である。
6. Unqork
情報収集者:yours truly
効果的である理由:
この風変わりなCTAが効果的である理由は、ベストプラクティスを取り入れつつも、非常に目立つからである。私はいつも通りの日を過ごしていたが、このCTAを見た際に思わず笑ってしまい、同僚にシェアしてしまった。マーケターとしての自分に語り掛け、このCTAに対する自信と権威の雰囲気を評価している。
風変わりで素晴らしいCTAを作成しよう
今回の記事で紹介したアドバイスを参考にして、他のCTAよりも目立ちながらも、自身のブランドにとって意味があり、ユーザーの心に訴えかけるCTAを作成しよう。
まずは共感マップを作成し、オーディエンスの行動、言動、聞きたいことなど、ユーザーが自身を取り巻く世界をどのように感じ、それらとどのようにかかわっていくか、その方法の要因となるパターンを考えてみよう。
共感マップから得られたインサイトを参考にし、購買の各段階を重ねていこう。購買ファネルの各段階でユーザーが感じている恐怖心を作り出すものや、その段階でユーザーが抱く別の感情についても考えを巡らそう。
Webサイトのトラフィックをリードと新規ユーザーとで分けられる場合は、CTAをそれぞれのグループに対しパーソナル化することをお勧めする。
そして、ベストプラクティスを心にとどめながら、CTAを作成する。緊急性や行動を促す雰囲気を含めつつ、簡潔でありながらも、あなたのブランドにとって意味のあることを行う。
コントラストのある色は、注意を引くCTAを作成するために必要だ。ボタンやハイパーリンクの文章で使われることが一般的だ。簡潔であることも同様に推奨される。
風変わりなCTAにおける鍵となる要素は、目立つことである。ベストプラクティスに従うことは良いことではあるが、奇抜で素晴らしいCTAを作る際には、常識にとらわれないことも重要である。
自身のブランドにとって、それが意味のあるものであれば、リスクを取ることは必要だ。しかし、その際は、事前にテストを行おう。
敢えてコピー文を長文にすることで、素晴らしいCTAが作れるかもしれない。また、「魔法に従う(Follow the Magic)」のような、簡潔でありながらも型破りなコピー文が、ユーザーの目を引くかもしれない。
赤はCTAに使用される色の中でも人気の色であるが、自分の生活の中で他の意味で使われているかどうかにかかわらず、灰色や黒のような人気のない色が、CTAの色として非常に効果的であることもある。
ユーザーがあなたのWebサイトを訪れ、ゆっくりとスクロールしている間に、彼らの目を引き何かを感じさせるようなCTAを作成しよう。
ユーザーの恐怖心に注力したり、FOMOに焦点をあてたり、もちろん、その他の方法を駆使して、ユーザーとのつながりを見つけ出そう。ユーザーの琴線に触れることや、彼らを笑わせることは、非常に効果的であるのだ。
退屈で予測可能なWeb閲覧の体験の中、ユーザーに一瞬の喜びを感じさせることができれば、クリックやスクリーンショットを取る理由となり得るのだ。
あらゆる領域でベストプラクティスというものは存在し、それを守ることは非常に重要です。
しかし、他者との差別化を図る際には、「皆が行ってないことを行う」といった考えも必要となります。常にベストプラクティスにとらわれるのではなく、別の視点からの考えも取り入れたいものですね。
今回の対象はコール・トゥ・アクションでしたが、その他の領域でも積極的に活かしていきたい考えだと思いました。
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投稿 実際に効果が期待できる、あまり見ないCTAの具体例 は SEO Japan|アイオイクスのSEO・CV改善・Webサイト集客情報ブログ に最初に表示されました。