[寄稿] SEO?リスティング広告?限られた予算の中で投資するならどっち?

寄稿記事の第2弾です。今回は、SEOとリスティング広告、どっちがいいの?どっちに予算を割くべき?というよくある質問に対する解説を、株式会社スタビライザーの小松氏にまとめて頂きました。

投資するべきことはいくらでもあるけれど…

SEOに取り組むべきか?リスティング広告に予算を割くべきか?サイトを作り変えるべきか?ランディングページを作るべきか?

限られた予算の中で、何をするべきか迷った経験された方は多いと思います。予算も時間も限られていれば、「失敗したら次行けばいいよ!」とはいきません。

そういう時こそ、客観的に自分のサイトの現状を把握し、できるだけ適切な判断をしなければなりません。そのためにどんなことを考えればいいの?というのが今回のテーマです。

「売上増やす為に何から手を付ければいいんだよ~」という方に読んで頂きたい内容です。

編集者注:
・この記事内では、リスティング広告=検索連動型広告としています。
・主に、アクセス数が~数千という規模のサイトを想定して書かれた内容です。

何も分からず悩んでいる方へ

  • まずはSEOにしようか
  • それともリスティング広告を出稿しようか?
  • そもそもサイトをリニューアルしないとダメなんじゃないか?

などなど。。Web担当者の方なら一度は迷われた事があるんじゃないでしょうか。でも、

SEO会社に相談すると、
「そのキーワードなら上位表示出来て売上上がるのでSEOやりましょう。」

リスティング広告の代理店に相談すると、
「そのキーワードなら、○○に関連したもの入れてCV取っていきましょう。」

Web制作会社に相談すると、
「リニューアルしないとアクセスを集めても無駄になりますよ」

ということになりますよね。

良くも悪くも、どの会社も自分の会社の商品でクライアントの悩みを解決しようとします。いわゆる自社のポジショントークです。

おそらく、それは普通のことなのでしょう。普通なのはわかりますが、インハウスの担当者が知りたいのは「やれば効果が見込める施策の中でどれが一番売上に貢献するのか??」ということです。

実際に、弊社にも最初に何をすべきか?という相談はよくあります。そんな時、私がいつもアドバイスしているか?について、ここから解説していきます。

まずは現状把握から

こういう相談をされた場合、多くのケースでは現状把握が出来ていないことが多いので、まず現状を把握してください。それほど難しいことではありません。

まずは現状のサイトが、

  • そもそもアクセスがないのか
  • アクセスはそこそこあって、コンバージョン(お問い合わせ)につながっていないのか

まずここからです。すごくシンプルに考えれば、「母数を増やす」ことと「コンバージョン率を改善する」こと、突き詰めれば、新規集客の改善ポイントはこの2点に集約されるのです。

※どれくらいが、「アクセスがある」と判断して良いか分からない方は、自社のサイトから目標の売上が上がっているか、いないか。の2つでも結構です。

サイトにアクセスがない場合

そもそもアクセスがない状態でSEOかリスティング広告か悩む場合、多くの場合、どちらもやるのがベストですが、どちらかにのみ投資する、であれば少額で動かすリスティング広告から始めるのが良いでしょう。

もちろんこれには理由があり、

  1. リスティング広告を運用してからSEOをやっても遅くない
  2. まずは、どのキーワードが当たるかを把握できる

などのためです。特に、どういうキーワードが有効なのか?ということを把握する(キーワードレベルで市場を調査する)ということからでも遅くありません。

また、

  • すでに同業種のSEOをやったことある
  • 過去に同じ商材でリスティングをやったことがある

など既にそのジャンルでの知見を持っている方もいらっしゃいます。こういう方に予め話を聞けるかどうか、というところも、初めての方には非常に大きなポイントと言って良いと思います。

前回の記事でも同じようなことをお伝えしましたが、ご自身でいろんなセミナーやイベントに参加して知識のある人と知り合いになる、代理店の担当者や上長と話を聞く、というのはやはりどんなときでも大切です。

さて、話を戻します。

リスティング広告を運用してからSEOをやっても遅くない

リスティング広告でどういうキーワードでCVするのかデータを溜めてから本格的にSEOを実施しても遅くありません。

なんの知識も無いまま、SEOに取り組むのは、釣具も釣場も選ばずに魚釣りをしに海に出るようなものです。きちんと「狙い」を定めることは少なからず必要です。

まずは、どのキーワードが当たるかを調べる

先ほどお伝えした内容でいうところの、釣具と釣場をきちんと知りましょう。ということです。

なにも知らずに施策を行うと、SEOでターゲットとしたキーワードがCVを生むものなかどうかも不明な為、仮に結果的にそういうキーワードで上位表示出来たとして、売上にほとんどつながらないという事態も起こりえます。

リスティング広告であればキーワードの軌道修正は容易です。また、リスティング広告の運用を通じて得られたキーワードのデータは、自社の資産になるため、次の施策に活かすことができます。

編集者注:

補足しますと、SEOでは(not provided)の問題もあり、キーワード毎のパフォーマンス測定とか意外なCVキーワードの発見などが以前に比べかなり困難になっています。

それに加えて、どうしてもサイト側のコンテンツに流入キーワードが依存するという制限もありますので、リスティング広告のような柔軟性やスピード感はSEOでは難しいんですよね。。

SEOで大半が(not provided)となっているケースでは、キーワード軸の分析ではなく、自然検索経由のランディングページ→CVなどといった経路の分析を中心にシフトすることも多くなってきました(例えばこのサイトは85%くらいが(not provided)です)。

アクセスはあるがコンバージョン(お問い合わせ)に至っていない場合

そこそこアクセスがあってコンバージョン(お問い合わせ)が目標に到達していないという場合、

  • サイトに来ているユーザーのニーズとサイトの内容が合致していない
  • CVが取れると予測しているキーワードと違うキーワードでのアクセスが多い
  • SEOでの最適化ができておらず、望まないページが上位表示されてしまっている。
  • スマホのアクセスが多いのに対応していない

などなど理由はさまざまです。

月間で数十万とか数百万のアクセスがあれば、解析専門の方に分析を依頼することが最も有効な方法となりうることもありますが、一般的な中小企業の場合、月間で数百~数千という小さい規模のアクセスをどのように売上につなげるか、ということを考えなければならないのです。

その場合は、まずは自社のアクセス解析を見て、下記の点を確認してみましょう。

  • 流入元(どこからのアクセスが多いか?)
  • 検索キーワード(どんなキーワードで検索しているか?)
  • デバイス(PCとスマートフォンのどちらが多く見られているか?)
  • エリア(ターゲットとなるエリアの人に見られているか?)

ということです。アクセスが無い場合でもお伝えしましたが、まず、大事なことは何より現状把握です。すると、問題点が浮き彫りになってきますので、そこから対応策を考えることが必要です。

例えば、これまでWeb担当者がいない会社の場合、スタッフ全員(できれば、受付の方やバイトの方なども一緒にいると良いです)で、一度、自社の状況をお話してみましょう。
普段意識をしていない人でも、インターネットに触れない人は少ないので、

  • あれ、うちの会社このキーワードで出ないんですか?
  • 僕、このサイト使うんですけど、ここに出せないんですかね?
  • 私はこんな感じのサイトだったら信頼感が出るわ〜。

など、結構色んな意見が出てくることが多いのでオススメです(もちろん、意見が出やすいように、ある程度の準備はしましょう)。

この場合、

  • コンバージョンに至りそうなキーワードでリスティングをやってみる、
  • SEOを見直す
  • リニューアルしてみる

という選択肢は変わりませんが、実際の生の声が聞けるので、優先度をつけて行動することができます。

リスティング広告の推奨書籍

もしもリスティング広告をしっかりと学びたいと言う方は、まずこちらの書籍を読まれることをおすすめします。

書籍:新版 リスティング広告 成功の法則

リスティング広告の世界で知らない人はいないであろう、アナグラムの阿部氏の著書です。基礎的な考え方から実務的なテクニックまで網羅されていますので、読まれていない方は是非手に取ってみてください。

本日のまとめ

インハウスで始めるにしろ外注するにしろ、仕組みを理解することが成功への第一歩です。

何度もいいますが大事なことは、現状把握です。その上で、下記手順で進めてみましょう。

  1. 自社のサイトがお問い合わせがとれているか?アクセスが足りてるかを把握する
  2. どのキーワードでコンバージョンが取れるかわからない場合、まずはリスティング広告で調査を行う
  3. その上で、SEOで対策を行うキーワードを決める

さて、いかがでしたでしょうか。

Webマーケティングを実践されてきた方にとってはとても基本的なことかもしれませんがが、ネットに蔓延している新しい技術やテクニックに目を奪われるのではなく、まずは足元をしっかりと見つめる事から始めてみることをおすすめします。

株式会社スタビライザー 小松 雅直