[寄稿] 「検索順位で1位になる」ことがSEOの成功なのか?を、事例を踏まえて考えてみる

スタビライザー小松氏からの寄稿記事、久々にSEOにフォーカスした内容です。「1位になる」と言っても流入可能なキーワードは限りなくありますが、今回はとりわけビッグキーワードとされているキーワードでの順位は重視されるべきなのか?という話題です。

[寄稿] 公開2週間で1日1万セッションを超えた、地域の祭りサイトの解析事例

先日、第38回目黒区民まつり(目黒のさんま祭)が盛大に行われました。「目黒のさんま」という小咄にあやかって始まった区民まつりなのですが、認知度も上がり、今年も3万人以上の来場者であふれました。

縁があって私は、目黒区民まつりの実行委員の事務局を務めております。その関係でWebサイトのGoogleアナリティクスの内容を見る機会があり、普段見ているサイトとやはりちょっと違うなと感じる点があるのでご紹介したいと思います。

Webサイトを制作した目的として

  • (目黒)区民への広報的な意味合い
  • プレスへの対応目的
  • 当日のお知らせや状況はSNSで行う。
  • アーカイブとして残せるような構成で行う。

まずは、こういったざっくりした内容でスタートしました。

(公開までの単語の使い方など行政機関との折衝等裏話もあるのですが・・・)
開催3週間前にティザーサイトを公開し、開催2週間前に本ローンチとなりました。

アクセス状況

大きな山が祭り当日のもの10,000セッション以上あります。

Google アナリティクス ユーザーサマリー アクセスが9月7日付近で一度高まり、ピークを超えた後に徐々に9月14日の当日に向けてアクセスが増え、終了後はアクセスは底

小さな山が前の週に行われた、目黒駅周辺の品川の商店街のさんま祭りの開催日です。品川のさんま祭が広報していましたので、それを見たユーザーが【さんま祭】で検索してやって来たようです。

Webで出来そうなこと

  • 品川のさんま祭目当ての人たちに、来週もやってますよと一週間ほどリマケで訴求。
  • さんま祭の様子の動画をTrueViewで訴求。
  • デング熱の注意を促す訴求のリマケ。目黒区からも注意を促してほしいという要望がありました。

リマケの訴求はさんま祭ではなく、虫よけスプレーして来て下さいという訴求も結果がどうなるか来年はテストしてみたいところです。

デバイス

想像以上にスマホが多かったです。約60%がスマホからのアクセスでした。これは列に並んでいる際に概要を確認したり、来る途中に見る人が多いものと推測しています。

閲覧デバイスは7割モバイル、2割デスクトップ、1割タブレット

モバイルを前提としてページをレスポンシブにするなどの対応もせず、別でファイルを作ったりということもなくPCのものを見せしていましたが、こちらも要検討課題ですね。

検索キーワード数

1ページもので特にロングテールのSEOを狙った訳でもありませんが、集客キーワード数(種類)が1,000を超えています。オーガニックのセッションが25,000程度なのでかなり多いです。

実際には、not providedで隠されたキーワードが大半ですから、実際はこれよりもかなり多くの種類のロングテールキーワードでの流入があったと推測できます。

検索トラフィックは26000、目黒さんま祭りを指定する指名キーワードを中心に多くのキーワードから流入がある

検索クエリを大別すると

  • さんま祭の時間や開催日といったさんま祭り自体のことを探している人
  • さんま祭の中で行われている展示物を探している人
  • さんま祭の中で行われているイベントを探している人
  • 雨天時の対応を探している人
  • さんまの列がどのくらいの時間になるのか探している人

に分けられます。

これは来年ページを作る際に非常に参考になりますね。雨天決行とは記載があるもののもっとPRしても良いかも知れません。また待ち時間はWebサイトで告知するのはなかなか難しいので、ただいまの待ち時間はこちらとSNSにリンクさせても良いです。

気になったクエリ

中目黒さんま祭りと検索している人が結構な数います。仮説としては目黒駅徒歩10分、中目黒駅徒歩15分の記載があるので中目黒のさんま祭と検索しているユーザーがいるのかも知れません。

これだと中目黒近辺の会社も協賛してくれる可能性がありますね。

表記ゆれ

キーワードの多さの理由は表記ゆれの多さです。

目黒_さんま
目黒さんま祭り
目黒_さんま祭り
さんま祭り
目黒のさんま祭り
目黒サンマ祭り
目黒のさんま祭り2014
目黒_さんま_祭_2014
目黒さんまつり
さんま祭り_目黒
目黒区さんま祭り
目黒区_さんま祭り

これはごくごく一部です。あまりの多さにびっくりするとともに、正式名称というのは自分たちが思っているほど世の中には浸透していないものだと実感しました。

これは自社のサービスをリスティングで入稿する際にも気になるところです。

先日リスティングで完全一致の表記ゆれのオプションが廃止になるというアナウンスが出ましたが、この表記ゆれの多さを見るとどこまで対応出来るのか非常に疑問に思います。
(参考:http://sem-labo.net/blog/2014/08/18/0955/

まとめ

企業向けのSEMの仕事に従事される方がほとんどと思いますが、こうしたサイトに関わる機会は決してそんなに多くないと思いますので、実データや考え方など参考にして頂けますと幸いです。

【初心者向け】 アクセス解析を売上につなげるカギは「目標設定」と「現状分析」

スタビライザー小松氏による寄稿5記事目。今でこそアクセス解析を行っていないWebサイト自体少なくなりましたが、一方でツールを導入していてもなんとなく数字を眺めているだけ、、というケースも少なくないのでは。基本に立ち返り、なぜアクセス解析が必要なのか?改めて見直してみてはいかがでしょうか。

「アクセス解析って、何のために行うんですか?」

さて、この質問、あなたならどう答えますか?

これは、最近私のクライアントの方から立て続けに聞かれた質問です。この記事を見られている方の多くはアクセス解析をしてる人のほうが多いかもしれませんね。

Webサイトじゃなくて、自分の体でまずは考えてみましょう。

「アクセス解析って必要なの?」という質問は「健康診断って受けないといけないの?」によく似てます。

ちなみに、会社の健康診断は安全衛生法により定められている為、会社は健康診断を受けさせなければなりません。

では、皆さんは、法律で決まっていなかった場合、健康診断は受けますか?受けませんか??

「悪いところあったらやだから、受けようかな・・・」という人、「体調悪くないし別に受けなくてもいいや」と思う人など、様々かと思います。ただ、あくまで「現状確認」にすぎないと思います

今の自分のカラダがどうなっているのかな?というのを知りたい、そしてなにかしら対策をするべきなのか?それを知りたい方が多いかと思います。

「Webサイトのアクセス解析、よくわからないけどちゃんとやった方が良いのかな?」という方は、この状況に近しい方が多いです。

アクセス解析して悪いところを直そうと思う人もいますが、見たって別に修正しないし、修正すると費用かかるし…。

そういうことであれば、売上や問い合わせが増えない、急激に落ちたと体感した時に原因を探る一つとして参考程度に見ればよいのです。まさに、自分のカラダの健康診断と一緒ですね。

売上をWebサイトであげよう!と思っている場合はどうするか?

一般的なサラリーマンの健康診断に例えると上記のような話ではあるのですが、Webを活用して売上を上げよう!と考えている場合はまた少し違います。つまり多くの場合はこちらの話です。

この場合はアスリートの体力測定です。

皆さんがアスリートとして大会に向けて例えば背筋力、持久力、肺活量Upの為にトレーニングに励んでいた場合、体力測定って受けますか?受けませんか?

この場合はおそらく積極的に受けるはずです。

トレーナーの方がつく場合もありますが、まずは、トレーニング前に一度は体力測定を行い、一定期間トレーニングを行った後、改めて同じ項目を測定します。そして、数値を測った結果、

  • もっとここの筋肉をつけたほうが良い
  • このトレーニングをもっと増やしたほうがいい
  • こっちは達成しているから別のトレーニングにしよう

と、まず

  1. 現状を分析し、
  2. 結果をもとに差異を測り、
  3. 今後の計画をたてる

といったようなことをされるのが普通ではないでしょうか。そして、Webで売上をあげるためのアクセス解析は、このアスリートの体力測定と同じです。

大事なことは目標設定と現状分析

CV(コンバージョン)目標を決めて、まずは現状分析を行います。その上で、例えば

  • アクセスを増やす施策を行った、広告出してみた、SEOに取り組んだ
  • サイトの改善を行って直帰率の高いページを改善した
  • CVRが1%だったので、エントリーフォームを改善することで1.2%を目指したetc

など、あくまで【現状】を元に【目標】を設定し【計画】を立てる

アクセス解析は【現状(結果)】しか分かりません。大事なのは目標を目指して何かをした結果をどう捉えて、どう次のアクションに結びつけるか?ということです。

アクセス解析で改善点を見つけ、手を打つ。また、アクセス解析して打った手がどうだったか検証する。この繰り返しです。

アクセス解析に必要なのはGoogleアナリティクスのテクニカルな使い方とか、タグマネージャーの高度な使い方を細かく知ることではありません。

アクセス解析をすることは、Webサイトの目標設定と目標を達成する為の手法です。目標設定なしにアクセス解析のデータをいじくり回しても何の価値もありません。

理想と現実のギャップを埋めるのがアクセス解析のやり方の一つですから、まずは現状分析から初めて、その上で、目標設定してみることが大事だと言えます。

目標なしにWebサイトを運営するのはただ、その辺をうろうろと散歩しているのと同じです。決して目的地に着くことはありません。登る山(目標)が決まれば必要な装備(施策)も決まってきます。

まとめ:目標なしにアクセス解析をしても無意味

とはいえ、下記のような方も多くいらっしゃるのが現実です。

  • 現状Webサイトはあるが、何となく運営していて目標が明確でない
  • Webサイトを全面リニューアルしたいが、どのような戦略で進めていいのか分からない。
  • アクセス解析は実施しているが、何を見ていいか良く分からない

そのような方は、お気軽にご相談ください。

[寄稿] 経験者が語る、インハウスWeb担当者の採用で失敗しないための3つのポイント

このメディアのメインライターになりつつある株式会社スタビライザーの小松氏による執筆。Web担当者の採用基準は、スキルセットももちろん重要ですが、将来的な成長幅や、業務やチームへのコミットメントも加味すると、やはり相応のマインドセットを有した人材は大事ですね。ということでとても納得する内容でした。

「自社のWebを担当する人で誰かいい人いませんか?」

こう聞かれることが多くなってきました。

私自身、過去8年間、自社のWeb担当者(以下、インハウスWeb担当者)を確保する為に採用面接は人事部任せではなく必ず自分で行っており、これまでに数百人以上の採用面談を行ってきました。

採用する側としては、縁があって採用した社員全員に結果を出してもらい、会社とともに成長していけるのが一番だという想いで採用活動をしているかと思います。(私自身もそうでした)

しかしながら、これまで全ての採用がうまくいったというわけではありません。

結果が出せず辞めてしまう人。
どうしても行き違ってしまう人。
スキルを発揮しきれなかった人。

非常にツライ思いもたくさんしましたし、もっと最適な人材を採用出来たのではと思うことも多々ありました。

今回はそういった経験も踏まえ、インハウスWeb担当者の採用基準についてお互いに一番結果が出せる人との出会いについてお伝えいたします。

インハウス担当者を採用するときの悩み

そもそも、インハウスWeb担当者が担当するべき業務って、一体どのようなことがあるのでしょうか?

  • Web制作
  • SEO
  • リスティング広告運用
  • アクセス解析
  • アフィリエイト
  • アドネットワーク

etc…

これらのWebマーケティングに関する幅広い知見に加え、さらには、自社の業界・商材に関するマーケット事情にも精通していないと思うように成果が出ません。

会社の規模によっては、部署の人数が多く、SEO専任・リスティング専任という立場の方も もちろんいらっしゃるかと思います。

ただ、多くの会社のインハウスWeb担当者は「アレもコレも。」「それが出来るならこれも。」と要求スキルが増えて行きます

たくさんのスキルが必要だからこそ、採用の現場では非常に困った事態が起こります。

どのスキルに焦点を当てて採用すればいいか?

これが分からなくなります。

例えば、こういう状況が起こります。

  • この人はSEOは強いけど、リスティングやったことないって言ってるし、どうしよう。
  • リスティングやったことあるって言ってるけど、アクセス解析は苦手って言ってる。
  • Webの知識は十分だけど自社の業界については未経験だ。
  • スキルも業界経験も問題ないけど、年収が合わないなぁ。

などですね。なかなか悩ましいものです。

ですが、ここではっきり言います。

「スキルと業界経験が申し分なく、年収が想定範囲内の人を採用出来る」

残念ですが・・・ありえません!

もちろん、ゼロでは無いかもしれませんが、確率的にはほぼ不可能と思ったほうがいいと思います。

しかしながら、スキルや経験の観点からではなく、別な観点から見ると「スキルや業界経験は足りないけれどやってくれそう!(実際採用しても想定通り) 」という方はいらっしゃいます。

では、実際そういった方はどういった方が多いのでしょうか。

インハウスWeb担当者の採用の基準

どういう観点で採用すると良いか?ポイントは3つです。

  1. 素直である
  2. 好奇心が旺盛
  3. 運が良い

なぜこの3つが大事なのかご説明します。

1. 素直であること。

これは決してイエスマンのことを指している訳ではありません。 ここで言う、素直であるということは自分の意見を持っているものの相手の意見をきちんと受け入れられる人です。

Webの施策に正解はありません。過去の成功体験に基づいて行動しようと思っても 違う意見が出てくることは多々あります。 その際、自分の意見を押し通すのではなく、他人の意見を取り入れてまずやってみる素直さは必要です。

これがないと採用した後に多くの社員とぶつかることになります。一緒に仕事がしづらい状況が生まれます。

2. 好奇心が旺盛

Webに関して好奇心が旺盛であれば業界が未経験であったりスキルが足りなくてもある程度のことは 採用後でも何とかなると感じます。

逆にスキルがそこそこあっても好奇心が少ないと新しいことを覚えることもなく、やがて行き詰まります。

好奇心があると自分で調べたり、人に会って話しを聞いたり分からないことを理解しようとしますし、 この施策やったらどうるんだろ?と様々な施策を考えるようになります。

  • 好奇心の限界は、情報の限界。
  • 情報の限界は、思考の限界。
  • 思考の限界は、行動の限界。
  • 行動の限界は、結果の限界。
  • 結果の限界は、自分自身の限界。
  • 好奇心の限界は、自分自身の限界。

まさにそうだと思います。

3. 運が良い。

宝くじや懸賞によく当たるという意味ではありません。

運が良いと言っている人は自分の力だけでなく周りのおかげと思っている人が非常に多いです。 その人のおかげで成功したとしても周りのおかで成功しましたと素直に思っている方が多い。

逆に運が悪いと感じていている人は、他人のせいにする方が多いです。 Webの施策では失敗することもあると思います。その際、周りのせいにしていては改善出来ません。

運が悪いと思っている人は上手く行かないのは、競合のせい、予算が少ないせい、アルゴリズムが変更したせい、そもそも自社製品(サービス)が悪いせいと改善点が見いだされません。

故松下幸之助は「優秀<ツキ」と考えていたようで、ツイてる人・運の良い人を何より優先していたようです。

「わたしは運がいい」と言える人の深層心理には、「成功したのは自分の力だけじゃない」というまわりに対する 「感謝」の気持ちが必ずあるのだそうです。そういう人は逆境に陥っても他人のせいにせず、前向きにとらえることが出来ると考えていたようです。

精神論に聞こえるたかもしれませんが、意外とWeb担当者として必要なスキルです。

採用は戦略上非常に重要です。自社の採用スペックから判断するとなかなか採用出来ない人材であっても、 角度を変えてみると優秀な方は数多くいらっしゃいます。

「え…きちんとスキルを保有している人のほうがいいんじゃないの?!」

と、ここまで読んで思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかしながら、必要なスキルというのは、「これまでどうあったか」ではなく、「これからどうなるか」という点だと思います。

特に、Webマーケティングの世界というのは日々とてつもないスピードで進化していっています。

これまでの経験というのはもちろん大切です。しかしながら、素直さ・好奇心があれば、そのスピードに追い付くことも可能です。

採用する側としては、もちろんそういった人が成長できる場を作る。というのももう一つ大切な仕事ですね。

まとめ:インハウスWeb担当者の採用基準
  • 素直であること
  • 好奇心旺盛であること
  • 運がいいこと。

お知らせ:Web担当者向けイベント開催します

7月15日(火)、私が所属するコミュニティ「SEMカフェ」主催でWeb担当者向けの情報交換をイベント開催予定です。採用の件なども相談可能ですのでお気軽にお越しください。

詳細:Web担当者向け:やること多すぎ!よそはどうしているの?ワンコイン相談&情報交換会

[寄稿] 品質スコアを気にするインハウス担当者、気にしないリスティング広告代理店

寄稿記事4発目。最近も少し界隈で話題になっておりました、リスティング広告の「品質スコア」に関わる問題。今回は仕組みとしての話ではなく、実際には現場で起こっている”駆け引き”に関わるお話で、共感できる方も多いのでは。スタビライザー小松氏の執筆です。

品質スコアの捉え方

最近、リスティングの品質スコアの話題をしばしば目にします。寡聞にして存知上げませんが、インハウス・代理店側双方ともに品質スコアがKPIになっていることはほとんどないと思います。

それなのに、度々話題に上る「品質スコア」って何なんでしょうか?

代理店側からは「品質スコアはこういう仕組みなんです」とか「目標達成してるから低いままで問題ない」とかの代理店側の見解を多くみかける一方、品質スコアが低くてどうすれば上がるのか、上げ方が分からず悩んでいる担当者が多くいるということもまた事実なのです。

弊社は、代理店として広告運用の代行をすることもありますが、広告主側のWebマスターとして代理店と打ち合わせすることも多々あります。この記事では、インハウス担当者、代理店の双方の視点から、品質スコアをどう捉えれば良いかについてご説明します。

※前職ではこちらに取り上げて頂きました。
実践 インハウス・リスティング広告 「丸投げ体質」から脱却するSEM成功の新条件

SEOでいう検索順位とちょっと似てる?かも

オーガニック検索で問い合わせを増やしたい、アクセス数を増やしたい場合、ほとんどの場合でSEOを実施することになりますが、この場合もSEOの順位より、自然検索経由のアクセス数、CV数を主なKPIとしている会社が多いのではないでしょうか。「順位だけ上がってもさ、全然売り上げに繋がらないじゃない」ではどの会社も困るわけですね。

SEOを外注し圏外から1ページ目下部くらいに表示され、問い合わせ(売上)もアクセス数も仮に対目標150%目標達成!となっても、目標達成して良かった。となるのは一瞬のこと。更に目標数値が高くなって、SEOに対する要求も強くなる。

そして、経営層から『目標達成したのは良かった。SEOで1ページ目下部にいてこの数値だからもっと上位に来ればもっと売り上げ上がるよね?』と言われます。担当者としてはそこで

『いや、SEOってのは特定のキーワードの順位だけじゃなく、様々なキーワードで…。』
『アクセスして来た人をCVしてもらう為、アクセス解析をして…。』

などと言ってみるものの、

『それは分かった…。それなら1位にしてから、それをすれば更にいいよね!』

と気軽に言われます。上司なのでここで無駄に争っても仕方ない訳です。

※編集者注:

もしホワイトハットなSEOを行う場合ですと、実際には、「○○とか○○のような施策を行うとまずはこういう結果が見えまして、そういうのを積み重ねることが、このキーワードでの上位表示にも繋がるんですよね」というような順序になることが多いです。ヘッドキーワードで上位にしてから周辺を強化するのではなく、外堀から強化していって最終的に中核が伸びてくるようなイメージでしょうか。

弊社のサイトも「アプリ」とかで上位表示されたのは月間1000万PV超えたくらいからでした。まあこの辺はジャンルに大きく左右されうるものですが、順番としてはそういう感じになります。サイトをどう強化していくのかイメージ出来る方であればこの辺りはすんなりかと。

品質スコアを巡る社内の会話は…

品質スコアの話題ってこれと非常によく似ています。

リスティングの運用を代理店に依頼して目標数値達成しました!という場合も喜びはつかの間、経営層からは

『それは良かった。それなら来月から同じ予算でもっとCV増やして』
『予算減らして同じ数字達成して』

のようなことを言われるようになり、更にハードルが上がるなんてことがよくあります。

しかも、どこからか品質スコアってやつを上げるとクリック単価下がるらしいという噂を聞きつけた上司から

『CV同じのまま品質スコア上げて予算下げて』
『予算同じでいいから品質スコア上げてCVもっと増やして』

などとインハウスの担当者は言われることもしばしば。

そこで、インハウス担当者としては

『品質スコアよりもユーザーのニーズに叶った広告文を…』
『デバイスやマッチタイプを工夫して…』

などと、ごくマットウなことを言ってみるものの、先ほどのSEOの例と同じく

『品質スコアを10にした上で、さらにそれやったら?』

と気軽に言われます。上司なのでここで無駄に争っても仕方ない訳です。

また、外注しないで自社で行っている場合でも、何でこのキーワードで上に出せないの?と突っ込まれることも多々あります。

『品質スコアが高いほど、広告の掲載順位を決めるオークションで有利になり、より安い費用で上位に広告を掲載することができます。』

ってはっきりとAdWordsヘルプに書いてくれちゃっているので、なおさら『品質スコアを上げないと…』などという話になる訳です。Googleも公式サイトに品質スコア上げれば安くなるって書いてあるだろ!って言われてしまったらインハウス担当者としては品質スコアなんとか改善しなきゃ、と悩むことになるのです。

そして、こういう時に代理店側に品質スコアの話が行くことが多いのです。なので、「この時点で目標達成してるので気にしないで下さい。品質スコア上がってもCV取れるとは限りませんし。」という当たり前すぎる回答が来ると、担当者としては(目標は達成しているわけですし)代理店に強く言えないのですよね…。

完全に板挟みになります。本質ではないことなのかもしれませんが、担当者が仕事をしやすい環境で仕事を出来るということも成果を出す上では大切なことだったりします。

※編集者注:

ちょっとズレるかもしれませんがSEOでも似たようなことがありまして、例えば企業向けに広告掲載の営業をしているWeb媒体さんに、「いや送客数もPV数も順調に伸びてますし、ビッグキーワードの順位にこだわっても仕方ないですよ」とか安易にいうと多くの場合、普通に怒られます。「広告の営業コストが上がったり、掲載企業からクレーム来るんだよ」と。

つまり「このキーワードで○位のサイトです」というのがビジネスにおいて(Webの本質かどうかの話ではなくて)重要なファクターだったりすることもあるわけです。あまり無責任なことは言ってはいけません。

 

品質スコアはクリック率と密に連動していると言われています。が、クリック率を上げる施策が必ずしもCVを取る施策につながらないこともある。ちょっと刺激的な広告文でクリック率は高いものの実態を反映せずCVRが悪化するなんてこともあります。

ユーザーの為に広告文を変えたり、マッチタイプを工夫してCV数を増やす。そういう施策を続けることで結果品質スコアに反映されてくるので、品質スコアから入っても必ずしも成果が出るとは限りません。

リスティング広告やSEOに限らず、このWebサイトは誰に見て欲しいのか?見た人にどういうアクション取って欲しいのか?を考え続けて運用しないと枝葉末節にこだわることになり、結果的に上手く行かないことが多いのではないでしょうか?

結論

リスティング広告代理店の方

目標達成しているから品質なんて全く関係ないよね!と言わず、少しだけ耳を傾けてください。。現場では色々な事情があり、インハウス担当者はちょっと困っている場合があります。

インハウス担当者の方

品質スコアが悪くても、昇給しなかったりボーナス少なかったなんてことは自身の経験ではありません。もし言われてもあまり過度に気にしないようにしましょう!

[寄稿] 初心者でも失敗しない、リスティング広告代理店の上手な選び方

株式会社スタビライザー小松氏による寄稿3記事目、リスティング広告代理店の選び方について。やろうと思えば自社でもできることを外注するのであれば、そのメリットを十分に享受するために良い代理店を選ぶポイントを知っておくことは特に不慣れな発注担当者にとっては非常に重要ですね。

リスティング広告代理店選びは難しい

以前こちらのブログでSEO会社の選び方についての記事を寄稿したところ、「リスティング会社の選び方はどうするんだ?」というご意見を頂きましたので、私のこれまでの経験をもとに失敗の少ない比較方法や選ぶためのポイントをお伝え致します。今回はリスティング広告を初めて外注しよう方向けの記事です。

※リスティング広告運用に関するテクニカルな話題は別なサイトに多数掲載されているのでそちらを参照してください。

さて、SEO会社選定では要約すると以下のポイントで選んだ方が失敗が少ないという話をしました。

  1. しっかりとした情報を発信しているかを見極める
  2. 信頼出来る人と交流を作り、人づてに紹介をもらう
  3. 順位の提案ではなく収益につながる提案かを見極める
  4. 明らかな新人に単独で担当させない。

それに比べると、リスティングの外注先を選ぶのは私の経験上ホントに難しいと思います。

以下、SEO会社の選び方のポイントと比較しながら説明します。

「しっかりとした情報を発信しているかを見極める」について

SEO会社の担当者や中の責任者がSEOに関するブログで情報を発信していたり、SEOのセミナーを開催しているところもあります。

積極的にそういうことをしている会社(人)は、そうでない場合に対して、信用できる確率が比較的高い。あまりメディアに登場しない凄腕のSEO会社ももちろんあるのですが、初心者ではそれはなかなか判断しづらいです。

リスティング広告運用はSEOよりもはるかに属人的要素が強いと思っています。特に、外部に向けて情報発信している人がアカウントを作成し運用まで行うとは限らない(そうでない場合が多い)ので、会社選定が間違ってはいなくても、SEOに比べると精度が落ちがちです。

編集者注:
もちろんSEOでも属人性を完全に排除することは出来ませんので同様の側面はあります。ただし広告運用はあくまで運用実務担当者がスキルがダイレクトに結果に反映されやすいという点でより属人的、というのは間違ってはいないかなと思います。属人性を排除するためのルール作りはSEOもリスティングも重要だと思いますが、ここも属人化することのメリットデメリットのバランスの問題で、個人的には属人化の排除で失われるものは大きいかなと思う派です。

「信頼出来る人と交流を作り、人づてに紹介してもらう」について

自分の友人・知人でSEOを実施している会社はたくさんあると思います。取引実績のある会社からの紹介だと丁寧に対応してもらった、というケースは多くの方が経験されていることかと思います。

SEOも例外ではなく取引実績のある会社の紹介だときちんと対応してくれる可能性は高くなります。

どうしても知り合いがいないなどの場合は、インハウスのSEO担当者が集まるイベントが定期的に開催されているのでこちらで知り合った方から実際の評判を聞いたり、紹介してもらうのも手です。

これは、リスティング広告の話題で行ってもやはり正しいです。実績のある会社からの紹介であれば紹介された方も最大限、失敗しないよう対応して頂けます。

「順位の提案ではなく収益につながる提案かを見極める」について

そのキーワードで上位表示されるとキーワードの意図とサイトはマッチしているので収益が上がるとか、そのキーワードでは上位表示されても収益につながらないからこっちのキーワードが良いなど、依頼者の利益につながる話が出来ない会社や担当者と付き合っても、絶対にろくなことがありません。

こちらは、リスティング広告は検索順位の話ではないので該当はしませんが、収益に繋がる提案か?と言う部分は同じと言えます。

「明らかな新人に単独で担当させない」について

新人が担当の会社に依頼する場合でも、コンタクトは担当の人とするにしても必ずその人を単独で担当させないことです。出来れば、そのプロジェクトの責任者は誰で、施工項目の監修は誰が行うのか、なども教えてもらい、早い段階で顔合わせはしておくべきです。

営業担当とアカウント運用者は別なことが多いのでできれば運用者に会うor直接コンタクトを取るようにしましょう。新人営業でもベテラン運用者が成果を出す場合もあるし、ベテラン営業が来て、物凄い期待感を持って始めても運用者が新人というケースもあります。

これらの理由から、SEO会社とリスティング会社では、同じWebマーケティングというくくりではありながらも、違うという部分がご理解いただけると思います。

端的に言うならば、SEO会社は「実績(※1)」リスティング広告代理店は「人(※2)」。で選ぶ、と言いかえてもが良いかと思います。

※1:「上位表示○○%の実績!」「難関キーワード『○○』で1位!」という実績ではありません。自社と類似したケーススタディを持っているか、過去のSEO施工内容は信頼できるものか、という意味です。そういう意味で有識者や経験者からのポジティブな紹介は失敗率を大幅に下げてくれます。

※2:人とは、営業担当者ではなく、あくまで「誰が運用するか」「誰が監修するか」という意味での運用面での「人」を指します。

補足:SEOとリスティング広告では業務内容も求められるスキルも全く違う

どちらにしても、まずは、SEO会社とリスティング広告代理店では、それぞれの仕事が「全く違う業務」ということをご認識ください。

「検索」「売上を上げるという使命」は共通ですが、その業務内容や求められるスキルは全く異なります。そのため、上記のように選定基準も全く変わってきます。

例えば、カラダに異常があったときに、体にメスを入れる外科医と、投薬で治す内科医では、「医療」「体を正常にするという目的」は共通ですが、その手法は全く異なりますよね。

SEM(検索エンジンマーケティング)の現場でも、同じことが起こっているとご認識ください。

違うのは分かった。じゃあ、どうすればいいんだ??

ここまではSEO会社とリスティング広告代理店の比較のもとで解説を行いました。じゃあ、どうすればいいの?ということについてこれから解説をしていきます。

少額で良いので、まずは自分でリスティング広告を運用してみる

これです。とにかくまずはこれが重要です。

SEOと違って自分でアカウント作って運用することはそこまで難しくありませんし大きな時間やコストを要する取り組みでもありません。とにかくまずは自分でやってみるのです。

そうすると、多くの場合は上手く行きません。というか、上手く行ってるのかどうかすら分からない、という方が正しいと思います。

ですが、ひとまずはそれで良いのです。これはプロモーションではなく、学習に対する投資と考えた方が良いかもしれません(許容できるコストの中でやるようにしましょう)。

ある程度の試行錯誤を重ねた上で、「もう自分たちでは無理!」という状態のアカウントを見せてどう改善するのか代理店の方から提案をもらうと良いです。

少しの期間や金額でも、自分で経験していると、代理店の方が今のアカウントの内容や結果をどのように捉え、今回の提案をしているのか?という様に、提案の理解度が格段に変わってきます。

自社での運用がどうしても出来ない場合はどうするの?

もちろん、全てのケースでそうした学習投資が出来るとは限りません。人的余力の問題、社内的な事情や時間的な緊急度などにより、なかなか学習のためのテスト運用にコストを割けない場合もあるでしょう。

  • 土日対応、年末年始どうする?
  • LPのアドバイスくれるの?
  • アカウント構成の提案ある?
  • アクセス解析まで見てくれるの?別料金なの?
  • (運用の)担当者はどういう実績のある人なの?

リスティング広告代理店の営業を呼んで聞きたいことはこのように山ほどあっても、自分に知識や経験が乏しい場合、聞いてもそれが良いのか悪いのか、場合によっては本当なのか嘘なのかの判断も出来ないと思います。

そういう場合でしたら、(実際やるやらないは別にして)、自社のビジネスやターゲット層について理解してもらった上で、

「GDN(Googleディスプレイネットワーク)やYDN(Yahoo!ディスプレイネットワーク)であればどういう訴求でどういうサイトに出していくのか?」

こちらを担当者に質問してみてください。いわゆる「ディスプレイ広告」のマーケティングについて、提案を求めてみるのです。

その回答を聞いて、「うちの顧客やマーケティングをちゃんと理解してくれている」「問い合わせがありそう、売れそう」という感覚を持てれば、その人はおそらくターゲットの行動が推測出来ていて、リスティング広告でも成果が出すことを期待できます

GDNやYDNについての質問に的確な回答が返せない、ターゲットの行動をあまり想像できていない、という人ですと、検索も含めてリスティング広告でコンバージョンを上手に取っていくのは難しいかもしれません。

編集者注:
これはなるほどーと思いました。GDNやYDNでどういう面に出すかとか誰に出すか、とか、どんな広告をどのタイミングで見せるか、とかをパパっと話せる人って、最低でもそれなりに広告とかマーケティングに慣れてる人か実力ある人だと思いますし。ちなみにこれは自社で運用したことがある無しに関わらず聞いてみるべき質問かなと思います。

そういう意味ではSEOでも同じような質問が色々考えられそうですね。もちろん必要なスキル領域が割と広いので何パターンか質問用意しておく必要がありそうですけど。

まとめ

それでは、今回のおさらいです。リスティング広告の代理店を選ぶ時は、

  1. まずは少額で良いので自分でやってみる
  2. その上で、(できれば紹介してもらった)代理店から改善提案をもらう
  3. GDN・YDNで広告を出す場合のターゲット選定が間違っていないか聞いてみる

これらを確かめてみてください。

SEO会社の選び方のときにもお話しましたが、全てをSEO会社・リスティング運用会社におまかせするということは、正解にも不正解にもなり得ます。

まるっとお願いすることでパフォーマンスが上がるということはもちろんよくあります。しかしながら、自身の知識・知見が無い場合、担当者とキャッチボールを行うことができません

その結果、機会損失・営業損失が生まれ、仮に優秀な広告運用担当者がついても、良い結果が得られないことも少なからずありえます。

もちろん、全ての機能を知り、全ての運用を出来る必要はありません。そんなことが出来るWeb担当者はごく一部です。ただし、これから始めることをまずはご自身でも少しずつ理解を行うことは大切なことです。

Webマーケティングの世界は目まぐるしく変化します。事業をきちんと回すためにも、優秀な担当者と付き合うことはプラスになります。

そうした「人選び」ができるようになるためにも、まずはご自身から初めて見る。というのは是非チャレンジしてみてください!

[寄稿] SEO?リスティング広告?限られた予算の中で投資するならどっち?

寄稿記事の第2弾です。今回は、SEOとリスティング広告、どっちがいいの?どっちに予算を割くべき?というよくある質問に対する解説を、株式会社スタビライザーの小松氏にまとめて頂きました。

投資するべきことはいくらでもあるけれど…

SEOに取り組むべきか?リスティング広告に予算を割くべきか?サイトを作り変えるべきか?ランディングページを作るべきか?

限られた予算の中で、何をするべきか迷った経験された方は多いと思います。予算も時間も限られていれば、「失敗したら次行けばいいよ!」とはいきません。

そういう時こそ、客観的に自分のサイトの現状を把握し、できるだけ適切な判断をしなければなりません。そのためにどんなことを考えればいいの?というのが今回のテーマです。

「売上増やす為に何から手を付ければいいんだよ~」という方に読んで頂きたい内容です。

編集者注:
・この記事内では、リスティング広告=検索連動型広告としています。
・主に、アクセス数が~数千という規模のサイトを想定して書かれた内容です。

何も分からず悩んでいる方へ

  • まずはSEOにしようか
  • それともリスティング広告を出稿しようか?
  • そもそもサイトをリニューアルしないとダメなんじゃないか?

などなど。。Web担当者の方なら一度は迷われた事があるんじゃないでしょうか。でも、

SEO会社に相談すると、
「そのキーワードなら上位表示出来て売上上がるのでSEOやりましょう。」

リスティング広告の代理店に相談すると、
「そのキーワードなら、○○に関連したもの入れてCV取っていきましょう。」

Web制作会社に相談すると、
「リニューアルしないとアクセスを集めても無駄になりますよ」

ということになりますよね。

良くも悪くも、どの会社も自分の会社の商品でクライアントの悩みを解決しようとします。いわゆる自社のポジショントークです。

おそらく、それは普通のことなのでしょう。普通なのはわかりますが、インハウスの担当者が知りたいのは「やれば効果が見込める施策の中でどれが一番売上に貢献するのか??」ということです。

実際に、弊社にも最初に何をすべきか?という相談はよくあります。そんな時、私がいつもアドバイスしているか?について、ここから解説していきます。

まずは現状把握から

こういう相談をされた場合、多くのケースでは現状把握が出来ていないことが多いので、まず現状を把握してください。それほど難しいことではありません。

まずは現状のサイトが、

  • そもそもアクセスがないのか
  • アクセスはそこそこあって、コンバージョン(お問い合わせ)につながっていないのか

まずここからです。すごくシンプルに考えれば、「母数を増やす」ことと「コンバージョン率を改善する」こと、突き詰めれば、新規集客の改善ポイントはこの2点に集約されるのです。

※どれくらいが、「アクセスがある」と判断して良いか分からない方は、自社のサイトから目標の売上が上がっているか、いないか。の2つでも結構です。

サイトにアクセスがない場合

そもそもアクセスがない状態でSEOかリスティング広告か悩む場合、多くの場合、どちらもやるのがベストですが、どちらかにのみ投資する、であれば少額で動かすリスティング広告から始めるのが良いでしょう。

もちろんこれには理由があり、

  1. リスティング広告を運用してからSEOをやっても遅くない
  2. まずは、どのキーワードが当たるかを把握できる

などのためです。特に、どういうキーワードが有効なのか?ということを把握する(キーワードレベルで市場を調査する)ということからでも遅くありません。

また、

  • すでに同業種のSEOをやったことある
  • 過去に同じ商材でリスティングをやったことがある

など既にそのジャンルでの知見を持っている方もいらっしゃいます。こういう方に予め話を聞けるかどうか、というところも、初めての方には非常に大きなポイントと言って良いと思います。

前回の記事でも同じようなことをお伝えしましたが、ご自身でいろんなセミナーやイベントに参加して知識のある人と知り合いになる、代理店の担当者や上長と話を聞く、というのはやはりどんなときでも大切です。

さて、話を戻します。

リスティング広告を運用してからSEOをやっても遅くない

リスティング広告でどういうキーワードでCVするのかデータを溜めてから本格的にSEOを実施しても遅くありません。

なんの知識も無いまま、SEOに取り組むのは、釣具も釣場も選ばずに魚釣りをしに海に出るようなものです。きちんと「狙い」を定めることは少なからず必要です。

まずは、どのキーワードが当たるかを調べる

先ほどお伝えした内容でいうところの、釣具と釣場をきちんと知りましょう。ということです。

なにも知らずに施策を行うと、SEOでターゲットとしたキーワードがCVを生むものなかどうかも不明な為、仮に結果的にそういうキーワードで上位表示出来たとして、売上にほとんどつながらないという事態も起こりえます。

リスティング広告であればキーワードの軌道修正は容易です。また、リスティング広告の運用を通じて得られたキーワードのデータは、自社の資産になるため、次の施策に活かすことができます。

編集者注:

補足しますと、SEOでは(not provided)の問題もあり、キーワード毎のパフォーマンス測定とか意外なCVキーワードの発見などが以前に比べかなり困難になっています。

それに加えて、どうしてもサイト側のコンテンツに流入キーワードが依存するという制限もありますので、リスティング広告のような柔軟性やスピード感はSEOでは難しいんですよね。。

SEOで大半が(not provided)となっているケースでは、キーワード軸の分析ではなく、自然検索経由のランディングページ→CVなどといった経路の分析を中心にシフトすることも多くなってきました(例えばこのサイトは85%くらいが(not provided)です)。

アクセスはあるがコンバージョン(お問い合わせ)に至っていない場合

そこそこアクセスがあってコンバージョン(お問い合わせ)が目標に到達していないという場合、

  • サイトに来ているユーザーのニーズとサイトの内容が合致していない
  • CVが取れると予測しているキーワードと違うキーワードでのアクセスが多い
  • SEOでの最適化ができておらず、望まないページが上位表示されてしまっている。
  • スマホのアクセスが多いのに対応していない

などなど理由はさまざまです。

月間で数十万とか数百万のアクセスがあれば、解析専門の方に分析を依頼することが最も有効な方法となりうることもありますが、一般的な中小企業の場合、月間で数百~数千という小さい規模のアクセスをどのように売上につなげるか、ということを考えなければならないのです。

その場合は、まずは自社のアクセス解析を見て、下記の点を確認してみましょう。

  • 流入元(どこからのアクセスが多いか?)
  • 検索キーワード(どんなキーワードで検索しているか?)
  • デバイス(PCとスマートフォンのどちらが多く見られているか?)
  • エリア(ターゲットとなるエリアの人に見られているか?)

ということです。アクセスが無い場合でもお伝えしましたが、まず、大事なことは何より現状把握です。すると、問題点が浮き彫りになってきますので、そこから対応策を考えることが必要です。

例えば、これまでWeb担当者がいない会社の場合、スタッフ全員(できれば、受付の方やバイトの方なども一緒にいると良いです)で、一度、自社の状況をお話してみましょう。
普段意識をしていない人でも、インターネットに触れない人は少ないので、

  • あれ、うちの会社このキーワードで出ないんですか?
  • 僕、このサイト使うんですけど、ここに出せないんですかね?
  • 私はこんな感じのサイトだったら信頼感が出るわ〜。

など、結構色んな意見が出てくることが多いのでオススメです(もちろん、意見が出やすいように、ある程度の準備はしましょう)。

この場合、

  • コンバージョンに至りそうなキーワードでリスティングをやってみる、
  • SEOを見直す
  • リニューアルしてみる

という選択肢は変わりませんが、実際の生の声が聞けるので、優先度をつけて行動することができます。

リスティング広告の推奨書籍

もしもリスティング広告をしっかりと学びたいと言う方は、まずこちらの書籍を読まれることをおすすめします。

書籍:新版 リスティング広告 成功の法則

リスティング広告の世界で知らない人はいないであろう、アナグラムの阿部氏の著書です。基礎的な考え方から実務的なテクニックまで網羅されていますので、読まれていない方は是非手に取ってみてください。

本日のまとめ

インハウスで始めるにしろ外注するにしろ、仕組みを理解することが成功への第一歩です。

何度もいいますが大事なことは、現状把握です。その上で、下記手順で進めてみましょう。

  1. 自社のサイトがお問い合わせがとれているか?アクセスが足りてるかを把握する
  2. どのキーワードでコンバージョンが取れるかわからない場合、まずはリスティング広告で調査を行う
  3. その上で、SEOで対策を行うキーワードを決める

さて、いかがでしたでしょうか。

Webマーケティングを実践されてきた方にとってはとても基本的なことかもしれませんがが、ネットに蔓延している新しい技術やテクニックに目を奪われるのではなく、まずは足元をしっかりと見つめる事から始めてみることをおすすめします。

株式会社スタビライザー 小松 雅直

【寄稿】元インハウスSEO経験者が語る、失敗しないためのSEO会社の選び方、付き合い方

先日、半ば勢いでこんな記事を公開したところ、即時で「協力したい」とご連絡頂いた、株式会社スタビライザーの小松氏に連載寄稿をして頂く運びとなりました。最初の記事は、自分たちではポジション的に絶対に書けない「SEO会社の選び方」的な、非常に難しいテーマから。。。

はじめに

「今日から君、うちのホームページのSEO担当してね!」って・・・

そんなことサラッと言われても何をして、どうすればいいのか。とりあえず、「SEO対策」で検索してヒットした会社に連絡して話を聞いてみるか。

中小企業のWebマーケティングでは、往々にしてこのような状況があるかと思います。もしかしたらこのブログを読んだ方もそんな経験がある方もいらっしゃるかもしれません。

ごあいさつ

ごあいさつが遅れました。私は株式会社スタビライザーの小松と申します。はじめまして。縁あってこちらに記事を寄稿することになりました。

株式会社スタビライザー:http://www.stabilizer.co.jp/

簡単に自己紹介させて頂きます。大手医療系人材会社のインハウスのweb担当役員を経て独立。

インハウスでは約8年間、webマーケティングの部署立ち上げから担当役員まで経験。インハウス経験者ならではの視点が強み。Webの何かの分野の専門医ではなく”webの町医者“として幅広い悩みに応えます。

自社で対応出来ない場合は専門の会社(人)と一緒に解決します。現在はSEMカフェのメンバーとして活動中。

そうです。私自身もインハウスでWebマーケティングを担当してきたため、みなさまが一度は経験したことある悩みを経験しています。

今回の連載では、SEOに限らずインハウス経験者ならでは視点や、予算の大きなwebマーケティングだけでなく予算が小さい、サイト規模が小さいサイトについても取り上げていきたいと思います。

前置きが長くなりましたが、本題に入ります。

SEO会社の選び方、付き合い方

これからSEOを外注しよう、またはリプレイスしようと考えている方。とはいえ、SEO詳しくないし…という方。そういう方に読んで頂きたい内容です。

以前まで所属していた会社で2006年からSEOに着手し、大手から中小・個人まで様々なSEO会社とお取引させて頂きました。取引に至らず商談だけなら数十社です。

その経験をもとに、しっかりしたSEOの知識がない場合、どういう選び方をすれば「外れる確率」が少ないか、についてお話しします。

1. 実務担当者がきちんと情報を発信しているか?

SEO会社の担当者や中の責任者がSEOに関するブログで情報を発信していたり、SEOのセミナーを開催しているところもあります。

積極的にそういうことをしている会社(人)は、そうでない場合に対して、信用できる確率が比較的高い。あまりメディアに登場しない凄腕のSEO会社ももちろんあるのですが、初心者ではそれはなかなか判断しづらいです。

※ポイント※
ブログでしっかりとした情報を発信しているかを見極める

※注意点※
ブログやセミナーで発信していても、間違った情報を発信する人もいます。きちんと複数見比べて、ご自身でもSEOの知識を強くすることをオススメします。

編集者注:

直前のコメントは本当にそうで、発注者側にSEOの知識が多少なりはないと、単独での正しい判断は困難を極めます。ただ一方で、その知識をどこから得るか、何をもってしっかりした情報発信なのか、という判断も、それはそれで初心者の方にはとても難しく、かといって勉強しましょうと言って経験なしに簡単に習得できるものでもなく、、、
極端な話、SEOの知見が何もない方にとっては、このブログはもちろん、業界でも著名なブログであってもそれが内容として良いか悪いかの判断も出来ないのですよね。
むしろ「こいつら難しそうなことばかり言いやがって、、もっと簡単に出来るって言ってる人もいるじゃないか」みたいな方も多いと思います。ということで、次に紹介されるポイントこそ、現実的に最も重要なポイントなのではないかなと思います。

2. SEOにある程度精通した人から紹介してもらう

自分の友人・知人でSEOを実施している会社はたくさんあると思います。取引実績のある会社からの紹介だと丁寧に対応してもらった、というケースは多くの方が経験されていることかと思います。

SEOも例外ではなく取引実績のある会社の紹介だときちんと対応してくれる可能性は高くなります

どうしても知り合いがいないなどの場合は、インハウスのSEO担当者が集まるイベントが定期的に開催されているのでこちらで知り合った方から実際の評判を聞いたり、紹介してもらうのも手です。

※ポイント※
信頼出来る人からの紹介は大幅に失敗率を下げてくれます。

※アドバイス※
そういう知り合いがいない場合はセミナーやイベントで知り合いを作りましょう。

編集者注:

初心者の方であれば、まずはここが現実的に最重要と思います。SEOに精通した方が周囲にいないのであれば、セミナーや交流会に積極的に参加し、実際に業界事情に詳しい方との交流を作り、相談相手を外部に持つことで、”外れクジ”を引く確率は格段に下がると思います。

ちなみに上記で紹介されていたイベントはインハウスで経験豊富な人が多く集まりますので、間違いないと思います(基本的にSEO事業者はNGなので僕は行けません)。

3. キーワードや順位やリンクのことしか話さない会社はNG

「このキーワードで上位にします!」
「ロングテールでたくさんのキーワードを集めます!」

インハウスの担当者からするとSEOを実施したい訳ではありません。SEOという施策を通じてトラフィックや収益を上げたいだけです。

特に、ここの収益を上げるというところがポイントです。

キーワードの検索順位は確かに下より上が良いですが、収益につながらないワードで上位表示出来たからといってコストだけ出ていっては仕方がありません。

もっというと代替案があるなら解決策がSEOでなくても良いのです。

少なくとも、そのキーワードで上位表示されるとキーワードの意図とサイトはマッチしているので収益が上がるとか、そのキーワードでは上位表示されても収益につながらないからこっちのキーワードが良いなど、依頼者の利益につながる話が出来ない会社や担当者と付き合っても、絶対にろくなことがありません。

どんなに有名な会社や大きな会社であってもこの時点でNGです。

※ポイント※
順位の提案ではなく収益につながる提案かを見極める!

※アドバイス※
自分たちでもどのキーワードで収益が上がりそうか、アクセス解析のデータやリスティング広告のデータから仮説を持っておく。

編集者注:

今でもたまに営業の現場に出たりする身から補足しますと、順位とかリンクとかキーワードに限らず、自社の商材を売ることを主眼とした話しか出来ないのであればその時点で微妙と思います。

それは仮にホワイトハットな提案をするとしても同じで。手段が目的にとって代わるということはあり得ないためですね。

4. 明らかに新人と思える担当者に単独で担当させない

個人企業だと判別できませんが、そこそこの規模の会社で、新人に営業させて新人がそのまま単独で担当になるケースはありますが、個人的にはそれは極力避けたいところです。

新人が悪い、ではなく、社会経験が浅くビジネスに対する理解が不十分だったり、SEO会社内での力が弱く、スピーディーに対応してもらうことが出来ない可能性が高いということです。

新人が担当の会社に依頼する場合でも、コンタクトは担当の人とするにしても必ずその人を単独で担当させないことです。出来れば、そのプロジェクトの責任者は誰で、施工項目の監修は誰が行うのか、なども教えてもらい、早い段階で顔合わせはしておくべきです。

※ポイント※
新人には単独で担当させない。経験豊富なベテランに最低でも監修に入ってもらう。

※アドバイス※
1の会社を2経由で紹介してもらえば、新人が単独で来ることはまずない。

編集者注:

実際に各社どこまでそれが可能かは分かりませんので、その場合、最低でも、「あなたが一人で担当するの?一人じゃないなら、誰がどういう感じで関わってるの?」くらいのことは予め確認しておくべきと思います。どうみても実務経験の浅い担当者が単独で対応する、は危険すぎるので避けるべきなのは間違いありません。

まとめとおさらい

いかがでしたでしょうか?SEO担当にはなったものの専任ではない場合、この4つをクリアすれば失敗する確率はかなり低くなります。

最後に、もう一度ポイントのおさらいです。

  • しっかりとした情報を発信しているかを見極める
  • 信頼出来る人と交流を作り、人づてに紹介をもらう
  • 順位の提案ではなく収益につながる提案かを見極める
  • 明らかな新人に単独で担当させない。

とは言え、これから初めてSEOを始める方は、1の方法でいろんなブログを読んだりセミナーに行ってみたりすると知識が広がってより精度高くSEOを実施することが出来ます。

次回は、「限られた予算の中でSEOをやる?リスティングをやる?どっち?なんで?」についてお伝えしていきます。

株式会社スタビライザー 小松 雅直