コンテンツなくして、オウンドメディアは運営できません。そんな、重要なコンテンツづくりの極意を深掘りする「コンテンツマーケティングの格言」。偉人たちが残した胸に響く名言・格言から、ユーザーを魅了するコンテンツづくりのヒントを学びます。
第1回はニーチェの格言、「足下を掘れ、そこに泉あり」。さて、その心は?
泉とは潜在顧客のこと
ニーチェはドイツの詩人であり、哲学者です。その名は誰しも聞いたことはあると思います。ニーチェの「足下を掘れ、そこに泉あり」という言葉には、価値あるものは自分の身近な所にあることを意味します。自分の身の回りを注意深くじっくり観察してみると、普段見落としていた価値のあるものが見つかるということです。
だから、足下を掘ってみる。では、「泉」とは、具体的に何を指しているのでしょうか。コンテンツマーケティングでいえば、「潜在顧客」です。
潜在顧客と顕在顧客
コンテンツマーケティングを実施するときに、まず決めなければいけないのがターゲットです。
ターゲットは、大きく「潜在顧客」と「顕在顧客(見込み顧客)」に分けられます。潜在顧客は、自分でそのニーズに気づいていない層です。顕在顧客は、ニーズが明確になっている層です。
コンテンツマーケティングの役割は、潜在顧客をいかに顕在顧客にするかということになります。
顕在顧客には、広告などで直接訴求することで興味・関心を持ってもらえますが、潜在顧客にはきっかけが必要となります。その商品やサービスの存在を知れば購入や利用の可能性があるものの、自分でそのニーズに気づいていない人もいるからです。だから、顧客を増やすには、潜在顧客にリーチし、顕在顧客へとステップアップさせる必要があります。
潜在顧客が多く存在する市場を見つけるには、性別、年齢、出身地、職業、住まい、家族構成、ライフスタイルなど、潜在顧客の属性や行動特性を定義し、自社のポジショニングに最適なペルソナを設定し、チャネルを選択します。
潜在顧客へのアプローチ
潜在顧客は、そもそも商品・サービスに対して興味がないので、まずは自社の商品・サービスに関わる悩みや課題を抱えるユーザーをターゲットにします。そして、ターゲットの悩みや課題に解決策を提供するコンテンツを盛り込んだオウンドメディアを拠点とし、そこから自社の商品・サービス関連のサイトへの流入を狙うことで、顕在顧客へと育成していくというわけです。
かつては、潜在顧客に対してのアプロ―チは、主にテレビや新聞・雑誌などのマスメディアに掲載される広告が担っていました。もちろん、現在もその役割を果たしています。しかし、これらのメディアで流された広告は、基本的に一過性のものに過ぎません。
こうしたマスメディアの広告に対し、オウンドメディアを拠点としたコンテンツマーケティングは、制作したコンテンツが資産として蓄積されるため、長期的な集客が可能です。また、広告と比べると、上手に運営すれば低コストでコンテンツを制作できるため、初期導入のハードルも低くなります。
潜在顧客は、みずからのニーズに気づいていないのが大きな特徴です。コンテンツマーケティングでは、この潜在顧客の抱える悩みや課題、潜在的欲求に応えることで、潜在顧客が自分で気づいていなかったニーズを掘り起こし、ファンにしていきます。
潜在顧客の多くは検索したキーワードを通して、なんとなくコンテンツにたどり着きます。「なんとなくたどり着く」ユーザーのアクションを無駄にしないことが重要であり、そんなユーザーの拠点となるのがオウンドメディアなのです。
ユーザーに「読んで良かった」と満足・納得してもらう
検索キーワードによる流入が認識できれば、次に「潜在顧客に何を読ませるか」を具体的に考えます。ここで注意したいのは、決してあからさまなセールス記事で埋めないことです。
例えば、「シェアオフィスを利用してみたい」という明確なニーズを持った顕在顧客であれば、会社や自宅の近くのシェアオフィスを探すかもしれません。この場合、このユーザーはシェアオフィスがどういうものかをある程度知っている可能性があり、どんなシェアオフィスを使いたいのかまで具体的に要望が決まっている場合もあります。
しかし、潜在顧客の場合、そういったニーズはありません。ただなんとなく「シェアオフィス」という言葉を知っているだけかもしれなかったり、「テレワークになったものの、自宅では落ち着いて仕事できない」「カフェで仕事するのも集中できない」など、漠然と思っていたりするだけかもしれません。
まだ、具体的にシェアオフィスを探している段階ではないユーザーに、広告色の強いコンテンツを押しつけると、かえってユーザーを遠ざけてしまうおそれがあります。
潜在顧客には、いきなりシェアオフィスのセールストークをするのではなく、あくまでも潜在顧客の悩みを解決するさまざま情報を提供しつつ、解決策のひとつにシェアオフィスがあるという選択肢を提示するにとどめます。そうすることで、シェアオフィスを利用するメリットについて理解が深まり、どんな環境や設備が自分に最適なのかも明確になってくるかもしれません。
シェアオフィスを売りたいのであれば、「シェアオフィス」「テレワーク」「リモートワーク」「在宅勤務」「コワーキングスペース」「レンタルオフィス」「ワーケーション」など、潜在顧客がどういったキーワードでオウンドメディアに流入してくるかを知り、それに対してオウンドメディアで最適なコンテンツを用意することが、潜在顧客を誘導する有力な方法です。
オウンドメディアで提供するコンテンツには、たまたま訪問した潜在顧客に、いかに興味を持って読んでもらうか、詳しくなってもらうか、楽しんでもらえるかということが最優先されます。ユーザーに、「読んで良かった」と満足・納得してもらうコンテンツを提供することで、少しずつユーザーの信頼を得ていきます。
コンテンツマーケティングは、短期的に購入に直結するものではありません。もちろん、最終的なゴールは自社の商品・サービスを利用してもらうことですが、あくまでも段階的に顧客育成を図り、ファン化させていく手法と考えてください。
顧客は、何もしなければ獲得できません。潜在顧客を発掘し、ニーズを認識させ、いかに商品・サービスを欲しいと思わせるまで顧客を育成していくかがポイントになります。
オウンドメディアをハブにした情報発信の方法
オウンドメディアは、自社でコンテンツ制作のコントロールができ、さまざまなチャネルと連携できるので、ユーザーの反応を見ながら長期的視点に立った計画的な運営が可能です。発信する内容をユーザーのニーズに合わせて定期的に配信し続けることで、継続的な訪問につなげます。
オウンドメディアをハブにして、これからご紹介する方法で、効果的に情報を発信していきましょう。
既存コンテンツを整理し、基礎情報の発信をする
ユーザーの反応を見ながら、予算に応じて少しずつ、これから紹介するチャネルを通じて基礎情報を配信しましょう。比較的労力がかからないものとしては、ブログやプレスリリース、メールマガジンなど、オウンドメディアの既存コンテンツを整理して作れるものがあります。ユーザーの動向に合わせて、定期的に配信していくと効果的です。
・ブログ
社員・スタッフによる、ブログを通じた情報発信によって、親近感や信頼感を育みます。一方的な宣伝や告知ではなく、あくまでもユーザーの役に立ち、読んで楽しめるコンテンツの配信を心掛けましょう。
・プレスリリース
プレスリリースを出すことによって、新聞、雑誌、ニュースサイトなどで、自社の商品・サービスを取り上げてもらう方法もあります。必ず掲載してもらえるとは限りませんが、認知度や信頼性の向上に役立ちます。潜在顧客のいそうな市場(メディア)にリーチすることで、多くの人の目にとまる可能性の高い方法です。プレスリリースというと、掲載するメディアがプレスリリースに書かれた内容をリライトしてくれると考え、従来は無味乾燥な文章が多かったのですが、昨今ではメディアが取り上げたいと思わせる印象深い文章を心掛けることも必要になってきています。
・メールマガジン
資料やコンテンツの提供と引き換えにメールアドレスを取得したら、メールマガジンで定期的に情報の提供をしていくことをおすすめします。宣伝メールを毎週送るようなことをすると拒否されますので、適度な頻度とあくまでユーザーが求める情報を提供しましょう。
オウンドメディアへの導線を強化する
オウンドメディアへの導線を強化するためには、次のようなチャネルを活用することが効果的です。
・SNS
SNSを活用することで、サイト内での回遊性を高めるだけでなく、ユーザーと親和性の高いチャネルを使って、サイト外から新しいユーザーをオウンドメディアに呼び込みます。TwitterやFacebook、InstagramといったSNSを活用する際には、すぐにユーザーの購入を期待するのではなく、信頼醸成を目的に、中長期的な視点でコンテンツを発信していくことが大切です。一方的な商品・サービスの宣伝だけに終始していては、潜在顧客の関心を得られません。
・広告
広告は、ウェブメディアの集客力や閲覧率を利用して、より多くの人の目にとめることのできる手法です。リスティング広告や、Facebook・Twitterなど情報の拡散が見込めるSNS広告などは比較的安価で始められますので、行ってみてもいいでしょう。
コンテンツを強化する
予算に余裕があれば、情報の補足や実際に使うシーンなどを動画や漫画で説明したり、インフルエンサーを起用したりしてコンテンツの強化を図ることも大切です。ユーザーに親しみやすいコンテンツを制作することで心理的障壁を下げたり、理解度を深めたりする効果が期待できます。
特に、動画コンテンツはテキストに次ぐ重要なフォーマットになりつつあります。拡散を狙ってYouTubeを利用するのもひとつの手です。動画の影響力の増大に伴って、最近は素人でも簡単に動画制作ができるツールや、格安で動画制作をしてくれるプロダクションも出てきているので利用してみるのもいいでしょう。
商品・サービスの深い情報を発信する
商品・サービスの深い情報は、潜在顧客が顕在顧客にステップアップするきっかけを作るコンテンツです。商品やサービスに関心を示したユーザーに向けて、より深度の深い情報を提供し、ロイヤルティの向上を図ります。
・FAQ(Q&A)
FAQとは、「よくある質問と答え」です。自社の商品・サービスについて、よくある質問と答えをまとめて掲載します。社内の営業や開発スタッフに取材したり、本人に原稿を書いてもらったりすれば、コスト的にも負担が少なくて済みます。
普段、顧客からどのようなご質問があって、どのように答えているかを定期的にヒアリングすることで、オウンドメディアの担当者も自社の商品・サービスへの理解が深まります。
・ケーススタディ(事例紹介)
ケーススタディでは、ある課題を克服し、成功に至った顧客の生の声にふれることができます。類似業態や同じような課題を持つ企業の成功事例を知ることで、潜在顧客の課題解決のイメージが描きやすくなります。
・ホワイトペーパー(白書)
ホワイトペーパーは、顧客の顕在化を促す上で効果的な手法です。ある程度作成に手間はかかりますが、長期的に見れば資産として残るので、決して無駄にはなりません。潜在顧客を対象とするホワイトペーパーは、まだ興味喚起の段階であるため、ニーズの気づきを促すことを意識する必要があります。ホワイトペーパーの役割は営業資料とは違いますので、あくまでもユーザー視点に立ち、企業における課題とその分析、解決手法の紹介といった構成にします。
足下には潜在顧客という泉がある
潜在顧客は、将来的に顕在顧客になりうる顧客です。ニーズが顕在化していないからといってアプローチしないと、市場は頭打ちとなり、売上の拡大には限界が生じます。かといって、潜在顧客に手当たり次第に商品訴求をしても、無駄打ちとなってしまうでしょう。潜在顧客を顕在顧客にするためには、段階的に育成を図り、ファン化させていく以外に方法はありません。
顕在化した顧客には、当然商品力・サービス力が求められますが、水面下に隠れた潜在顧客には、まず何よりも「ポジティブな関係性構築力」が求められるのです。
皆さんの足下には、「潜在顧客」という「泉」があります。
これからの時代、コンテンツを作って一方的に発信すれば終わりというわけにはいきません。長期的な視野に立って継続的にコンテンツを発信し、ユーザーと信頼関係を結ぶことが、泉にたどり着くためのコンテンツマーケティングのミッションなのです。
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足下を掘れ、そこに泉あり【コンテンツマーケティングの格言 第1回】は【SEO無料相談実施中!】ナイルのSEO相談室で公開された投稿です。