Click Z Live Chicago-The Huffington Postが披露する、ネイティブコンテンツの作成事例。ブランドとパブリッシャーの共同作成による高品質なコンテンツ。

米大手ニュースサイトのThe Huffington Post(日本語版はこちら)によるコンテンツマーケティングのセッション。通常のニュースに加え、ブランドとの共同によるコンテンツも多数配信しています。純粋にコンテンツとしての質の高さがあり、ブランドへの貢献も期待できます。それぞれの強みを合わせたイイトコどりの手法となっていますが、その内容とは?– SEO Japan

原題:How to Create Kick Ass Native Content
Speaker:Lauri Baker, VP Brand Strategy, The Huffington Post

業界のトレンド

ブランドはパブリッシャーである
The Huffington Postのニュースフィード内で、ブランドが発信するコンテンツの数は2年前と比べ、60倍になっている。複雑さも増している。リアルタイムペースで行う必要がある。

B2Bのトレンド
86%のB2Bのマーケターがコンテンツマーケティングに取り組んでいる。しかし、明文化された戦略を持っているマーケターはその内の35%しかいない。これは問題だろう。

B2Cのトレンド
77%のB2Cのマーケターがコンテンツマーケティングに取り組んでいる。しかし、ROIをしっかりとトラッキングしているマーケターはその内の23%しかいない。優れたコンテンツを作成することは大切だが、”なぜ”、”どうして”はさらに重要。単純な”作成して配信する”作業から、フォーマルなビジネスにおける規律へとシフトしよう。

今後の展望
アテンション(注目)は新しい貨幣と言える。Intel社のBryan Rhoades氏の言葉を借りれば、”ブランドはコンテンツが貨幣であることを認識しつつある。また、ソーシャルでのアクションがこのマーケットプレイスにおいて、消費者の注目を集めるトランザクション(取引・相互作用)であるのだ”、ということになる。今日の状況を正確に表していると言えるだろう。コンテンツが人との関わりを作るのだ。

消費者の期待
61%の消費者が、内容が優れていれば、ブランドがそのコンテンツのスポンサーだとしても構わない、と答えている。彼らはただ楽しみたい、もしくは、有益な情報があればよいのだ。

The Huffington Postからのレッスン

レッスン#1:ソーシャルは新たなフロントページだ
人々はソーシャルで良い記事に出くわすとそこから訪問してくれる。2005年と2013年では明らかに異なる行動だ。以前は1人の講演者にみんなが注目していたが、今は自分のデバイスを持っており、そこでニュースを消費している。コンテンツがモバイルでどう表示されるかを非常に気にしているのだ。

レッスン#2:トラフィックは偶然ではない。判断だ。
目立つことが何より重要。ユニークなボイスで、感情に訴えるのだ。

レッスン#3:スピードの文化におけるコンテンツ
タイムリーでいよう。ニュースサイクルと常に共にあるべきだ。

レッスン#4:参加を発生させよう
会話と行動を喚起させよう。全員が意見とストーリーを持っている。ブログのコメント欄での会話は非常に速く行われている。上手くやっている企業は、Google+などを使ってニュースストリームに参加させたりしている。また、招待をしてメンバーを増やしている。アイスバケツチャレンジは好例だ。ヒューマナイズし、ソーシャルを使用するのだ。71%の消費者は、良い体験をした場合、そのブランドの製品やサービスのプロモートを手伝ってくれる。友達に有益な情報を共有しようという気にさせよう。

レッスン#5:長期間の関係性の構築を狙おう
そのためにはオーセンティック(真正)である必要がある。透明性を持とう。コンテンツにあなたの名前を必ず記載するのだ。競争力ではなく、質が大事だ。コンテンツの数が大事なのではない。また、関連性を築こう。ブランドとつながっているという実感が必要だ。

ネイティブ広告をやっつけろ

Citiの例
ポイントはインフォーム(情報提供)。読者にとって複雑な問題を噛み砕いて説明し、彼らが想像していなかったソリューションを提供する。そこでのアドバイスはありきたりなものではなく、オリジナルでユニークなものであることを忘れずに。Citiの記事は”女性であることが最適であるTOP25の国々“。女性のエグゼクティブからの支持を得、250万ページビュー、3万2千のソーシャルアクション、2万四千のいいねを獲得。年間共有数の第3位の記事になった。

Toyotaの例
インフォームの別例。”最も家族に優しい、アメリカ全土のロード・トリップ“。記事の内容とブランドとのつながりは強い。6万ユニーク・ビュー数、10万以上のTwitterでのリーチ、1万7千のソーシャルアクションを獲得。

有益な情報について
実用性のある情報があるコンテンツに対する反応はよりポジティブなものになる傾向がある。下記のグラフは、紫が平均的な実用性のある記事で、黄色がより実用性のある情報を載せた記事である。ブランドリコール(想起率)、親しみやすさ、より多くの情報への興味、の3つで高い数字を出している。

Patronの例
メキシコの有名なテキーラのブランド。ポイントはタイムリーであること。永続的な記事もよいが、リアルタイムの記事はより良い。”あなたがテキーラについて知らないであろう13のこと“は、ナショナル・テキーラ・デイにソーシャルで人気になった。10万以上のページビュー、76万のTwitterでのリーチ、18万のソーシャルアクションを獲得。

Barillaの例
イタリアの大手食品会社。ポイントはヒューマナイズ。顔と名前が透けて見えるような、親近感のあるストーリーは読者の注意を惹きつけやすく、行動を喚起しやすい。食事と家族にフォーカスしたネイティブコンテンツを作成。”全ての親が夕食時にやめるべきたった一つのこと“、”二人種の家庭である私が夕食を一日のうち最も重要な時間にした方法“、”レズビアンの母親の私にとって今までで一番難しかった夕食時の子どもとの会話“など。10万以上のページビュー、3万9千のソーシャルでの言及を獲得。

Nordstromの例
アメリカの大手ファッション小売店。ポイントは売り込みをしないこと。質の高いコンテンツを提供することで、読者にあなたのブランドへのポジティブなイメージを構築させる。この場合、商品の売り込みを含める必要はない。あくまで自然に感じてもらうことが大事だ。”流行りのミスマッチドレスが素晴らしい結婚式7選“は掲載後1日で最も読まれたコンテンツになった。百万ページビュー、1万7千のソーシャルアクションを獲得。

JetBlueの例
アメリカの航空会社。売り込みをしないコンテンツの別例。”あなたの次の旅行先をプエルトリコにするべき21の理由“は旅行カテゴリーの中で最もバイラルしたコンテンツ。3万2千のユニークビュー、2万2千のソーシャルアクション、96万のリツイートを獲得。

Chipotleの例
アメリカのメキシカン・レストラン。ポイントは目立つこと。通常の認識や、問題に対する型通りの理解とは別の場所へ自身を置いてみる。驚きのあるデータと興味深い事実を用いてあなたの意見を強化しよう。”人生で今まで食べてきたものについて、あなたが知らない9つの実にうんざりさせる事実“は2014年の3月にWeb全体で最もシェアされたコンテンツだ。140万ページビュー、70万のソーシャルアクション、56%のエンゲージメントを獲得。

ブランド×パブリッシャー

ブランドとパブリッシャーが一緒に働いたらどうなる?
非常によい友達になるだろう。パブリッシャーはプラットフォームと読者を良く知っている。ブランドは自社の製品が他とどう異なるか知っている。それぞれの良さを組み合わせることができるのだ。

より多くのブランドメッセージをもたらす
カスタムしたコンテンツと組み合わせることにより、そのページの広告がスポンサーの認知度を向上させる。下記のグラフは左から、ブランドコンテンツのみ、スタンダードなディスプレイ広告との組合せ、プレミアムなフォーマットとの組合せを表している。コンテンツと広告のミックス効果がよくわかると思う。

BMWの”RE:FORM”キャンペーン
ブログプラットフォームのMediumとのパートナーシップキャンペーン。デザインに特化した、ゴージャスなサイトに仕上がっている。コンテンツは建築物、デイリーアート、デザインを刺激させる様々な内容になっている。

Which Brew Are you?
アメリカのケーブルTVのEsquire NetworkとThe Huffington Postのコラボ。クイズに答えていくことで、ピッタリのビールを選んでくれるというもの。視覚でのアピール性が高く、レイアウトは非常にキレイ。コンテンツは突飛であるが、非常にキュートだ。友達に共有したくなるような愉快なものになっている。

STARBUCKSの広告であることを隠すコンテンツ
アメリカのニュースサイトのthe ONIONに掲載されたSTARBUCKSの記事。通常、人間の生産性は月曜の9:00amに始まり、金曜日の5:00pmに終了してしまうが、マサチューセッツ工科大学が科学的に”生産的な週末”を過ごすことができると紹介するという内容。記事の最後に、STARBUCKSのダブルショット・エスプレッソのページヘのリンクが含まれているが、見事にコンテンツの一部となっている。少々皮肉に扱われているが、ブランドへの注目を十分に集めており、単純に全てが完ぺきな内容になっている。

まとめ
・戦略を持とう。なぜ作成し、どうすれば達成でき、どのように測定するか、を考えよう。
・目立つこと、情報を提供すること、ヒューマナイズであること、タイムリーであること、
 真正であること。
・全てを一人で行う必要はない。優れたパートナーを見つけよう。

先月に参加したContent Marketing Worldでは、ネイティブ広告のセッションをレポートしましたが、今回の内容は、よりコンテンツへの意識が高いものだと感じました。コンテンツの質を高めながら、いかにブランドをアピールするか。そうした”戦略”がこの手法での肝となりそうですね。より細分化されたターゲティングが現在のマーケティングの特徴の一つですが、ターゲットの選定とともに、内容に則したコンテンツの作成も求められています。自社のリソースで確保できれば理想的ですが、外部とのパートナーシップによる作成も、非常に効果的といえるかもしれません。– SEO Japan

投稿者:

SEO Japan

002年開設、アイオイクスによる日本初のSEOポータル。SEOに関する最新情報記事を多数配信。SEOサービスはもちろん、高機能LPOツール&コンサルティング、次世代SEOに欠かせないインフォグラフィックを活用したコンテンツマーケティング等も提供。 SEOブログながら、ウェブマーケ全般。アドテク、ソーシャル、スタートアップ、インフォグラフィック等。